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卵巣機能不全で卵子の質も悪いとのこと。妊娠の可能性はあるの?

コラム 不妊治療

卵巣機能不全で卵子の質も悪いとのこと。妊娠の可能性はあるの?

「FSHは最高50代の値。タイミング1年半で、AIH6回、採卵8回、移植2回。卵巣機能不全で、卵子の質もすこぶる悪そうです。希望がもてません。」

2016.11.1

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卵巣機能不全で卵子の質も悪いとのこと。妊娠の可能性はあるの?



相談者:さまこさん(34歳)
卵子の質について
いつもこちらで質問させていただいています。AMHは0.16ng/ml未満(2014年12月測定)、FSHは最高50代の値。タイミング1年半で、AIH6回、採卵8回、移植2回。卵巣機能不全で、卵子の質もすこぶる悪そうです。希望がもてません。水が溜まったような卵ができたり、採卵しても空胞の部分があったり、変性卵もあります。卵子の質が悪いと、手の施しようがないのでしょうか? こんなに悪い方はそういないとは思いますが、ご意見いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。



 そもそも卵巣機能不全とは、どのような状態なのでしょうか。また、卵子の質も含め、改善する方法はありますか?


石原先生:さまこさんは、AMHが0・16ng/ml未満と測定感度以下、FSHは最高50代の値とあり、40歳未満で卵巣内の卵胞が枯渇する「早発卵巣不全」に近い状態だと思います。年齢は若いですが、卵巣の中に残っている卵子が少ないという、この方の体質ともいえるので、卵子の質も含めた卵巣機能不全を改善するというよりは、今後の治療をどこまでするかだと思います。


 先生であればどのような治療をされますか?


石原先生:さまこさんの場合は、先述のように、卵巣内に残っている卵子の数が少ない可能性があるので、GnRHアゴニストを使ったロング法、ショート法、アンタゴニスト法を行っても、採卵できる個数はほとんど変わりません。そのため、担当医の方と同じように自然排卵周期、またはクロミッドⓇやアロマターゼ阻害剤を使ったマイルド法で採卵を行います。卵子が1〜2個採れるかどうかわかりませんが、採れた卵子が受精卵まで成長すれば、それを移植する。この方法を繰り返すしかないと思います。34歳と若いので、うまく受精卵が育っていけばチャンスはあるでしょう。


 先ほど、先生がおっしゃっていた「今後の治療をどこまでするか」とは、どのような意味でしょうか?


石原先生:先ほどお話しした一般的な治療がすべてではないということです。たとえば、クリニックを変えて、卵子にとっての環境を変えてみることもひとつです。実際にクリニックを変えたら妊娠したというケースは、当クリニックと他のクリニックの間でお互いにあります。同じ刺激法でもタイミングの違い、受精卵を培養する環境の違いなど、それぞれの先生が考える治療の微妙なタイミングの差によって、うまくいくこともあると思います。
また、早発閉経や卵巣摘出により排卵がむずかしい場合、体外受精を繰り返しても結果が出ない場合は、第三者から卵子の提供を受ける「卵子提供」という選択肢もあります。
いずれにしても、さまこさんの場合、卵子の残存量は少ない可能性がありますが、34歳と若いので採卵数は少なくても、卵子の質はそれほど悪くない可能性があります。卵子の質については、34歳と10年後の44歳ではまったく違います。すでに2回移植をされている実績があるので、他のクリニックに変えて、受精卵を育てる環境を変えてみることで、妊娠に至る可能性もあると思います。





久保みずきレディースクリニック 石原 尚徳先生

高知大学医学部卒業。神戸大学医学部大学院修了。医学博士。兵庫県立成人病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008年より久保みずきレディースクリニック菅原記念診療所。不妊治療から周産期・小児医療まで、地域に根ざした総合的なサポート体制が整う同クリニックで、不妊治療/婦人科、産科の外来を担当する

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出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter
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