生理の直前に体温が低下。妊娠の可能性はあるの?
コラム 不妊治療
生理の直前に体温が低下。妊娠の可能性はあるの?
生理直前に体温が下がっても妊娠された方はいますか? 妊娠を希望していますが、生理前にガクンと体温が下がってしまいました。でもまだ生理は来ていません。基礎体温が下がっても妊娠された方はいらっしゃいますか? 教えてください。
生理の直前に体温が低下。妊娠の可能性はあるの?
2017/1/18 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長)
相談者:ゆーさん(主婦/35歳)
生理直前に体温が下がっても妊娠された方はいますか? 妊娠を希望していますが、生理前にガクンと体温が下がってしまいました。でもまだ生理は来ていません。基礎体温が下がっても妊娠された方はいらっしゃいますか? 教えてください。
まず、基礎体温からどんなことがわかるのでしょうか?
基礎体温から、排卵日の予測や高温期の長さで黄体機能が保たれているかなどがわかります。人間の体温はその時の体調や外気などさまざまなものから影響を受けやすいため、ちょっとした条件の違いで基礎体温は変化します。あくまでも、おおまかな流れを知るためのものと考えていただくのがよいでしょう。
生理直前に基礎体温が下がる理由を教えてください。
排卵後から次の月経までは、排卵後の卵胞(黄体といいます)から分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)が基礎体温を上昇させます。妊娠が成立しないと、黄体がだんだん縮小し、プロゲステロンを分泌しなくなります。すると、プロゲステロンの作用で上昇していた体温も低下します。また、子宮内膜はプロゲステロンの作用により維持されているのですが、これがなくなることではがれ落ち、生理になります。生理直前になると基礎体温が下がるのは、プロゲステロンが低下するためです。
プロゲステロンに対する感受性は人によって違います。そのため、生理が始まってから体温が下がる人もいます。
妊娠した場合、生理直前の基礎体温はどうなるのでしょうか? ジネコに寄せられるコメントでは、基礎体温が下がった後、また上がって妊娠されたケースも見受けられます。これについてもいかがでしょうか。
着床した時にでてくるHCG(絨毛性性腺刺激ホルモン)が排卵後の卵胞である黄体を刺激して、プロゲステロンの分泌をうながします。これにより内膜が保たれ妊娠が成立します。体温は、いろいろな環境で変化するため、プロゲステロンが低下しなくても低くなることはあります。
つまり、体温が下がった後、また上がって妊娠するケースはがあってもおかしくはありませんし、実際に臨床上も経験します。だいたい高温期が3週間以上続いたら妊娠の可能性があります。
市販の妊娠検査薬で確認されるのもよいでしょう。ご心配であれば、しばらく様子をみて病院でより正確な検査をされてはいかがでしょうか。
中村先生より まとめ
基礎体温は、あくまでも大まかな体のリズムを知るためのもの。体温の微妙な上下変動は人によりさまざまで、体温が下がった後、また上がり妊娠することもあります。高温期が3週間以上続いたら妊娠の可能性があるでしょう。