ドクターが解説 !!生殖医療用語「HMG製剤」
コラム 不妊治療
ドクターが解説 !!生殖医療用語「HMG製剤」
難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。
HMG製剤
下垂体から分泌されるFSHと同じ作用をもつ、ヒト下垂体性性腺刺激ホルモンです。閉経後の尿中に排泄されたヒト閉経期ゴナドトロピン(hMG)を精製したもので、卵巣に直接作用して卵胞の発育・成熟を促します。FSH製剤とともにゴナドトロピン製剤ともいわれ、調節卵巣刺激法で強い排卵誘発力をもつ薬剤の1つです。
この薬はFSH製剤と比べてLH成分を含んでおり、また医薬品によりLHの含有比率が異なります。このうちhighly purified HMG(HP-HMG)は、不純物が少ないためアレルギー反応を起こすリスクが低いという利点があります。さらにrFSH製剤や他のHMG製剤と比較して発育卵胞が少ないのですが、その分卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こすリスクが高い人に向いています。一人ひとりホルモンの分泌状態が異なるため、その人に合った薬剤の投与方法、使い分けや組み合わせが必要になります。
血中のLH 濃度が低い視床下部性・下垂体性の無月経の場合の排卵誘発の第一選択薬です。
ノア・ウィメンズクリニック(神奈川県川崎市) 波多野 久昭 先生
日本医科大学卒業。ハンブルク大学産婦人科学教室留学後、日本医科大学付属病院産婦人科学教室講師、飯田市立病院産科科長を経て、2005年ノア・ウィメンズクリニックを開院。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer
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