子宮内膜症が見つかりました。不妊クリニックに行くべき?
コラム 不妊治療
子宮内膜症が見つかりました。不妊クリニックに行くべき?
「婦人科に行ったら、また嚢胞がありました。痛みは嚢胞によるものだったのでしょうか。消えたものが、また現れることはありますか?」
子宮内膜症が見つかりました。不妊クリニックに行くべき?
神谷 博文 先生(神谷レディースクリニック)
相談者:みーぽこさん(32歳)
子宮内膜症発覚
半年前から近所の婦人科で超音波検査をし、タイミング指導を受けています。左卵巣に4㎝の腫瘍が見つかり、大学病院の超音波検査で子宮内膜症、5㎝弱のチョコレート嚢胞が発覚。嚢胞は一度なくなり、その時期に左下腹部の激痛、嘔吐、悪寒、過呼吸の症状が出ました。5日後、婦人科に行ったら、また嚢胞がありました。痛みは嚢胞によるものだったのでしょうか。消えたものが、また現れることはありますか? 最近はざくろ酢を豆乳や牛乳で割って1日1杯程度、ルイボスティーを朝晩マグカップで1杯のほか、300mlの水筒に入れて仕事に行っています。子宮内膜症への影響はありますか? また、不妊クリニックを予約したほうがいいでしょうか?
超音波検査で子宮内膜症が見つかりましたが、不妊症の原因になりますか?
ご相談内容からみーぽこさんには、子宮内膜症、嚢胞があるのは間違いないと思います。子宮内膜は、通常は卵巣からのホルモンの影響で厚くなりますが、妊娠しなければ剥離し、月経となって体外へ排出されます。ところが、この子宮内膜が子宮内腔以外の、骨盤内の腹膜や子宮筋層内、卵巣などの中に入り込んでいるのが子宮内膜症。不妊症の原因のひとつと考えられています。子宮内膜症の罹患率は一般では0.5〜5%ですが、不妊症患者の場合は25〜50%と高くなっています。
みーぽこさんの急な下腹痛やその他の症状は、嚢胞と関係がありますか?
チョコレート嚢胞はお腹の中で破裂したり、リーク(嚢胞に穴があり、そこから徐々に古くなった血液などが漏れ出ること)したりすることがあります。みーぽこさんの症状も、破裂やリークによるものではと考えられます。
嚢胞は月経周期によって大きくなったり、小さくなったりしますが、みーぽこさんの場合、破裂やリークで嚢胞が一時消滅し、その後、また嚢胞に液がたまることで戻ったのではないでしょうか。この症状はこれからも起きますから、きちんと対処してもらったほうがいいですね。
みーぽこさんの場合、どう治療していくとよいのでしょう?
子宮内膜症は状態によってステージ1(微小病変)、ステージ2(軽症)、ステージ3(中等症)、ステージ4(重症)の大きく4期に分けられます。病状が進むにつれて、卵管と卵巣、腸管が癒着するようになり、卵子の卵巣からの放出、卵管采からの取り込み、卵管内の受精卵の移動などがしにくくなります。妊娠率もステージ1〜2は30〜40%ですが、ステージ3〜4は5〜10%と低くなります。みーぽこさんは嚢胞が5㎝弱あるということでステージ3〜4にあたると思います。
治療法は嚢胞を摘出処置したのち、卵管の疎通性がよければ早めの人工授精がおすすめです。人工授精を4〜6回試して妊娠しなければ、体外受精へのステップアップをすすめられる可能性が高いですね。
ざくろ酢やルイボスティーなどを積極的に摂られています。
チョコレート嚢胞がある場合、ざくろやルイボスティー、豆乳など女性ホルモン様作用があるものは、できるだけ摂らないほうがいいと思います。嚢胞を大きくする作用があります。子宮内膜症が治ってから摂るといいですね。
今後、みーぽこさんは、どうすればいいですか?
超音波検査だけでなく、MRI、腫瘍マーカー、子宮卵管造影など多角的な検査が必要です。専門外来を予約して、少しでも早く不妊治療をスタートすることをおすすめします。
神谷 先生より まとめ
●子宮や卵管の状態、ホルモン値などの検査が必要です。
●できるだけ早く、不妊治療の専門外来で治療を受けましょう。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn
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