移植9回で陽性ゼロ。 AMHも1.1で焦ります
コラム 不妊治療
移植9回で陽性ゼロ。 AMHも1.1で焦ります
「胚盤胞を使い果たし、AMHが1.1ng/mlしかなく焦ります。6月の子宮鏡検査では異常なしでした。私はどうしたら着床し、妊娠できるのでしょうか?」
相談者:まぁこさん(33歳)からの相談
▶着床しません
不妊歴3年の男性不妊で、昨年10月から顕微授精にステップアップしました。一度目はアンタゴニスト法で6個採卵・3個受精、うち1つを新鮮胚移植。12月に5日目胚盤胞3AAを移植。その後の移植は5日目胚盤胞をアシステッドハッチングありで行い、1月は2ICMで陰性。2月にショート法で14個採卵し、7個が胚盤胞に。4月に5AA、5月に3ABと5AB、8月に5AAと4AB、9月に5ABと6AA、8回目は自然周期、9回目はスクラッチ法を試すも、計9回すべて陰性に終わりました。胚盤胞を使い果たし、AMHが1.1ng/mlしかなく焦ります。6月の子宮鏡検査では異常なしでした。私はどうしたら着床し、妊娠できるのでしょうか?
9回の移植が陰性になり、すべての胚盤胞を使い果たした今、転院するかこのまま治療を続けるか迷っておられます。
データを見る限り、まぁこさんは本当にきれいな良質の胚盤胞ばかり採取できているようですね。率直に言って、何回か妊娠できていてもおかしくない状況だと思われるだけに、残念だったとしか言いようがありません。期待が大きかった分失望感も大きかったかもしれませんね。胚盤胞がなくなり、「また一からやらないといけない」と、振り出しに戻った気持ちになるのはわかります。しかし、これだけ良い卵子が採取できているということは、それだけ希望があるということ。33歳とまだお若いので、もう少し続けられてもいいのではないでしょうか。
現在AMHが1.1 ng/mlしかないことで焦る気持ちが強いようです。一般的に、AMHの数値 はどの程度気にすればいいでしょうか?
AMHとはアンチミュラー管ホルモンのことで、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。血液中にAMHがどれだけ存在するかで、卵巣の予備能を知ることができると言われています。AMHの数値が低いと、「もう妊娠できないのではないか」と心配される方も多いかもしれません。しかし、まだ採卵経験がない人でこの数値なら気にする必要があるかもしれませんが、まぁこさんの場合は、個数もグレードも申し分のない卵子が実際に採取できているのですから、そこはまったく気にする必要はありません。このまま治療を続けていく分には問題ない数値だと思いますよ。
私はどうしたら着床し、妊娠できるのでしょうか?」と困惑されておられます。今後のアドバイスをお願いします。
結果が出ないことで、治療方法に不安が生じ、転院を考えたくなるお気持ちはわかります。しかし、不妊治療にはさまざまな方法があり、最初から最善の道が決まっているものではありません。また、着床しても妊娠・出産するまでにはさらに繊細で複雑な条件がさまざまに絡み合ってきます。まぁこさんの質問に対して、一言で答えることは難しいでしょう。ただし、治療内容を見ると、担当のドクターもただ同じやり方を繰り返しているわけではありません。採卵はアンタゴニスト法とショート法の両方を試し、移植方法も少しずつ変更されています。移植5回の陰性の後に子宮鏡検査もされています。子宮鏡検査は、不妊治療を始める前に行う方もおられますし、治療を始めてから行う方もいらっしゃいます。まぁこさんのように、途中で確認するのも大事なことです。
これほど良質の卵子が採取できている以上、治療を続けていればいずれは妊娠できるだろうな、というのが私の見解です。もちろん、最終的に転院するかどうかはまぁこさんのお気持ち次第ですが、もう少し治療を続けてみてはいかがでしょうか。
Doctor’s advice
●良好な卵子が採れているのでAMHの数値は気にせずに。
●まだ33歳ということもあり、このまま続けてみては。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring
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