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陣痛、出産の時の 呼吸法について

コラム 妊娠・出産

陣痛、出産の時の 呼吸法について

出産をひかえ、陣痛から始まる痛みについて不安に思う人は多いのではないでしょうか? ラマーズ法やソフロロジーといった呼吸法がその痛みや恐怖を和らげるといわれています。実際に呼吸法にはどんな役割があるのか、北原産婦人科の北原慶幸先生にお話を伺いました。

2018.3.22

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出産時に行う呼吸法の意味とは?




 お産が近づいて陣痛が始まると、その痛みに耐えるため、つい息を止めてしまいます。よく「お産の時はいきむ」といっていますが、“いきむ”というのは呼吸を止めて力を入れることです。


 


赤ちゃんが出てくる最後の段階になれば当然、いきむことが必要になってきますが、子宮口がまだ全開していない時にいきんで赤ちゃんの頭が通過してしまうと、子宮頸部が裂傷を起こしてしまいます。こうなると大出血を起こして危険な状態になることもあります。その後、裂けた部分を縫合するのも大変な施術になってしまいます。


 また本来、赤ちゃんは自然の収縮力によって産道を回転しながら出てくるのですが、ママが変に力んでいるとその回転がうまくいかなくなって、回旋異常を引き起こしてしまいます。それによって下からの分娩が難しくなり、帝王切開になってしまう場合もあるのです。


 もう一つ、最初から力が入りすぎてパニック状態のままでいると、ママの体力はどんどん失われていきます。余計に体力を消耗しないために必要のないところではなるべく力を入れず、最後のいきみの段階まで十分な体力を温存できていることが理想です。


 


 いきむべき時までしっかり我慢をする。そのために一番効果的なのが呼吸法です。


 


痛みは悪ではなく、ママには必要なこと


 出産時の呼吸法といえばラマーズ法、最近ではソフロロジーという方法も注目されているようです。呼び方は違いますが、目的は同じで「出産時にパニックにならないように」というもの。予行演習やイメージトレーニングを行い、リラックスしてお産に臨めるようにする方法です。


 当院ではどちらかの方法を推奨するというわけではなく、ラマーズ法やソフロロジー法、どちらの考え方とも共通する呼吸法をみなさんにお教えしています。


 


 パニックにならないために最も大切なことは、お産の苦しみの意味、母性の感覚を事前にきちんと理解すること。当院の両親学級ではまず、「痛みを悪だととらえてはいけませんよ」と伝えています。痛みは赤ちゃんと会うためにどうしても必要なこと。ママも痛いけれど赤ちゃんも苦しい。頑張って乗り越えていかなければいけない、一つひとつの大切な過程なんです、と説いています。


 それでもやっぱり痛くてパニックを起こした時にも、横で助産師が「痛みを嫌だと思ってはダメよ」「今は赤ちゃんのほうが苦しいのよ」「これで赤ちゃんに会えるからね」と言ってあげると、みなさん事前の講義で頭に入っていますから「そうだ、痛がっている場合ではなかったんだ」と我に返ります。


「ひっひっふ~」だけ覚えておけば大丈夫


 具体的な呼吸法については、一般的なテキストだと1期、2期、3期などとお産の進行に合わせて段階を分けて書いてありますが、当院では「そんなに細かく考えなくて大丈夫。“ひっひっふ~”だけできればいいですよ」とお伝えしています。


「ひっひっふ~」はとにかく息を止めない、力を入れないためにやること。ということは、呼吸をしていて力が入っていない時はやる必要はありません。わかってはいても、途中でつらくなって呼吸が止まってしまったら「ひっひっふ~」の出番で、ママ自身と赤ちゃんを救うために頑張ってやっていただきます。


 その時に力強い応援団になるのがパパで、当院ではご主人からママに「呼吸を止めないで!ひっひっふ~」と声をかけてもらうようにしています。隣から大きな声で誰かに声をかけられているのに別なことをするほうが難しい。思わず一緒にやってしまうんですね。


 ご主人が応援団なら、助産師や医師はナビゲーターです。「まだ登山道に入ったばかりだから、いろいろなことを考えなくていいですよ」」「あと○分したらこうなります」「今9合目だけれど、これから頂上までが一番大変だからね」など、お産の進行状況を伝えてあげればママは気持ちが落ち着くし、余分な体力を使わなくてすみますよね。


 


呼吸法はひと言でいえばパニック回避の手段です。お産の痛みや苦しみは100%取り除くことはできませんが、ママとパパが出産前に両親学級で学んでいただき、事前に痛みの意味やパニック回避法を知っておいていただけば、安心・安全なお産で赤ちゃんに会うことができると思います。


 


お話を伺った先生のご紹介

北原 慶幸 先生(北原産婦人科 院長)


1985年東京慈恵会医科大学卒業。日本産婦人科学会認定医。母体保護法指定医。同院では命の誕生は限りなく自然な状態で迎えられるべきだと考え、病院の都合で陣痛促進剤を使うことはなく、分娩も緊急を要する場合を除いて、できるだけ自然分娩ができるように心がけている。初めての自然分娩を考えている方は、ぜひ同院ホームページの「ひっひっふ~のーと」を参考に。体験者の貴重なメッセージが閲覧可能。

≫ 北原産婦人科

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