相談者:どきんさん(主婦/24歳)
メラトニンが不妊に効果があるという記事をいくつか見かけ、興味を持っています。というのも、最近不眠気味で、寝れても疲れがとれていなくて熟睡できていない感があるためです。数ヵ月前初めてやった体外受精では2個受精しましたが、フラグメントも少しあり、結局胚盤胞まで育ちませんでした。2回目の体外に向けて、朝ウォーキングしたりジムに通ったりして、卵子の質の向上を目指していますが、規則正しい生活をしてもやっぱり熟睡感がありません。
それでメラトニンを試してみたいのですが、私が行っている不妊専門病院ではサプリの処方はありません(サプリを飲みたければ自己責任で、というスタンスで禁止もされていません)。また日本では発売されていないため、試してみたい反面、ホルモン剤なので医師の指導なしに飲むのが副作用などちょっと心配なのと、不妊には効果は明らかではないとか、妊娠中は飲まないほうが良い(良いか悪いかはっきりしていないのでやめておくべき)などの記事も見かけるので心配です。
メラトニンは不妊に効果がある?
メラトニンはホルモンの一種で、朝と夜のリズムをつくり、体内時計を調整する物質。月経周期との関係も知られており、メラトニンが分泌されることで黄体ホルモンの分泌が高まり、卵胞ホルモンの分泌が低くなります。
また、最近になってこの物質が持つ抗酸化作用にも注目が集まっており、それが不妊にも効果があるのではないかと国内でも研究が進められています。
メラトニンはもともと脳から分泌されるのですが、卵子の周りの顆粒膜細胞という所からも出ていることがわかりました。ということは、卵子の成長にとって何かしらの補助的な作用があるはずで、おそらく卵子を酸化ストレスから守るような働きがあるのではないかと考えられています。
確かに現象的に成熟した大きな卵胞だとメラトニンの含有量は多く、未熟な卵胞では少ない。酸化ストレスを抑制することにより、卵の成長を助けているのではないかといわれているんですね。
さらに卵の質にも影響するのではないかという報告もあり、メラトニンを摂取したら採卵の数が増えたとか、良好胚の割合が多かったというケースも。もちろん摂取しても変わらなかったケースもありますが、ポジティブな例が増えつつあるようなので、卵の質が良くないという人は摂ってみる価値はあるかもしれません。
不眠も解消される?
どきんさんの不眠にメラトニン分泌が直接関係しているかどうかわかりませんが、寝付きが悪いということで体内時計のリズムが崩れ、それが不妊の原因になっている可能性もあります。生活のリズムを整えることは妊活の基本。メラトニンを摂取して覚醒と睡眠をきちんと切り替えられるようになれば、妊娠がうまくいくこともあるかもしれません。
飲んでも安全? 体に悪い影響はない?
メラトニンはサプリメントで摂っても基本的には安全なものですが、日本での販売はまだ認可されていません。1日3mgが推奨されている摂取量で、自己免疫疾患の人が摂ることは好ましくない、妊娠中の摂取は良くないなど、いくつか注意点があります。
特に量が問題で、大量に摂取してしまうとLHが黄体ホルモンの分泌を抑制してしまうことも。1日300mg程度、推奨量の100倍近く飲んで生理が止まってしまったという報告もあるようです。
メラトニンのサプリメントは通販で誰でも購入できますが、輸入物となるので外国語の説明文をきちんと理解することができず、誤って摂取する場合があるので、その点は注意が必要かと思います。
宗先生より まとめ
体に良いといわれていても摂り方を誤ると、逆に体に悪影響を与えてしまうこともあるので、サプリメントでも妊活中は医師指導のもとで使用する必要があると思います。メラトニン自体は安全性とエビデンスは確保されているので、当院でもなかなか良好胚が得られない方には摂取をご提案することも。不安でしたら、メラトニンを扱っている不妊専門病院で一度相談されてみることをおすすめいたします。