多嚢胞の治療。今後どうすればいいの?
専門医Q&A 不妊治療
多嚢胞の治療。今後どうすればいいの?
多嚢胞の治療方法について迷っています。相談者のようなケースは珍しいのでしょうか?フェニックスアートクリニックの藤原敏博先生にお伺いしました!
相談者:ayaさん(29歳)
卵胞が多く育ってしまいます。
多嚢胞にて治療中です。
4月周期にクロミッドにて排卵し妊娠しましたが、流産となり8月より治療再開しました。
前周期にクロミッド5日間の服用で3つの卵胞がおおきくなってしまいタイミングを見送りました。 今周期はレトロゾールに薬を変更して5日間服用し、現在D12ですが卵胞のチェックに行ったところ右側に11mm〜14mmの卵胞が5,6個ありました。
レトロゾールは1つの卵胞を大きくしてくれると薦めていただいたのですが...
こんなことはなかなかないと言われました。
薬が合わないのか効きすぎなのでしょうか?
通院中の病院では体外を検討するのも良いと言われてしまい、前回タイミングで
授かったのに急に体外に進むことになるのは想定外で戸惑っています。
今周期も見送りとなった場合、次周期は薬を減らしてみようと思いますが体外も前向きに検討すべきでしょうか?
フェニックスアートクリニック 院長 藤原敏博 先生
藤原先生より回答
多嚢胞性卵巣症候群(以下PCOS)と診断されたというayaさん。
PCOSにおける治療でクロミッドの服用は、第一選択肢として用いられ、約7割の方に排卵が起こるとされています。
残念ながら流産となってしまったようですが、ayaさんにとってクロミッドの服用は無効ではなかったと考えます。
次に服用したレトロゾールについてお話します。レトロゾールもホルモンをコントロールすることで卵胞の発育を促す作用があるため、不妊治療に利用されています。クロミッドには内膜を薄くして、頸管粘液を少なくする副作用があるため、自然妊娠を望む場合、この副作用が足を引っ張ることもありますが、レトロゾールは、副作用も少ないと言われています。一部の学会では、クロミッドよりも妊娠しやすいという臨床報告があり、レトロゾールを最初に使う例も増えてきているようです。
レトロゾールを服用して「こんなことはなかなかない」と言われたそうですが、確かに私の経験からも発育する卵胞の平均は1~3個なので、5~6個発育していたのは頻繁にあることとはいえません。残念ながら原因についても不明です。
また「体外受精を勧められたことに戸惑っている」とのこと。確かに、排卵誘発剤から突然の体外受精へのステップアップには戸惑われるでしょう。もちろん体外受精はゴールに近い方法ではありますが、まず先に、治療する患者さんが何を望まれているかが重要です。