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あきらめなくてはだめですか

専門医Q&A 女性の健康

あきらめなくてはだめですか

「今病院には2つ凍結受精卵が残っています。年齢のこともあり、子供はあきらめなくてはいけないのかと思いつつあった所へ、乳房のしこり・・・。」

2012.9.20

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たぬたぬさん(40歳)


35歳から不妊治療を始めました。
高プロラクチン血症と診断され服薬を始め、卵管造影で正常だったため、タイミング療法から始めました。
38歳時、タイミング、AIHで結果が出ないため腹腔鏡検査を実施、両卵管閉塞および、両卵管采奇形とわかり体外受精に治療が変更になりました。
個人病院でIVF2回ET4回実施しましたが結果が出ず、不妊治療専門医に転院、IVF2回ET5回実施、2回妊娠反応が出ましたが、いずれも9週目に流産となりました。2回とも流産の原因は遺伝子異常でした。
今年40歳になり、結果の出ない体外受精、2回の流産で家族に反対され、治療を休むことにしました。
そんな矢先、右乳房に乳がんを疑うしこりが見つかり、現在精密検査中です。
体外受精時のホルモン補充もしこりを大きくさせた原因ではないかといわれています。
今病院には2つ凍結受精卵が残っています。
年齢のこともあり、子供はあきらめなくてはいけないのかと思いつつあった所へ、乳房のしこり・・・。
でも、まだ、家族に反対されても赤ちゃんを諦めきれないんです。
こんな私はやはり子供を諦めなければだめですか?
少しの望みもないのでしょうか?





お話を伺った先生のご紹介

宇津宮隆史 先生 (セント・ルカ産婦人科)


【経歴】
1949年 大分県豊後大野市大野町生まれ
1973年 熊本大学医学部卒業
1973年 九州大学温泉治療学研究所産婦人科入局
1981年 医学博士(九州大学)「排卵障害婦人に関する臨床内分泌学的研究」
1988年 九州大学生体防御医学研究所講師
1989年 大分県立病院がんセンター産婦人科部長
1992年 セント・ルカ産婦人科開設
1998年 セント・ルカ生殖医療研究所開設
2010年 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業
「生殖補助医療により生まれた児の長期予後の検証と
生殖補助医療技術の標準化に関する研究」共同研究開始
2013年 第31回日本受精着床学会総会・学術講演会会長
【現在】
・ 日本受精着床学会常務理事
・ 日本生殖心理学会常務理事
・ 日本生殖再生医学会理事
・ NPO法人日本不妊予防協会理事
・ JISART(日本生殖補助医療標準化機関)監事
・ 大分市医師会監事
・ 遺伝性疾患に関する出生前診断研究会幹事
・ 日本産科婦人科学会倫理委員会内PGSに関する小委員会委員
・ Infertility Study Group世話人
・ 社会福祉法人 別府平和園理事長
【資格】
・ 日本産科婦人科学会産婦人科専門医
・ 日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
・ 日本生殖医学会生殖医療専門医
・ 日本内視鏡外科学会技術認定医
【趣味】
登山
写真
スキューバダイビング
茶道裏千家
ルアーフィッシング


≫ セント・ルカ産婦人科




採卵5回、移植7回、そのうち2回は流産。これだけでも良くやってきたなと感心します。大変な努力だったでしょう。また、最近では乳がんの傾向があるとのこと、これが心配ですね。乳がんについては、これが生命に危険があると考えると、まず、この乳がんを解決させてから不妊治療にもどるべきです。
 では、乳がんが経過良好で、妊娠しても差し支えないとの結果が得られたとして考えましょう。
 まず、年齢が40歳とのことですが、一般的には40歳を超えると良好胚でも染色体異常が70%あるといわれています。ですから2回の流産は“突然変異”的な染色体異常が原因です。そのため染色体異常のない胚を移植すればうまくいくはずです。ところが、日本では胚の着床前診断(PGS)は今のところ認可されていません。しかし30%は良好な胚があるはずですので、そこに期待を持ちましょう。何度か流産するかもしれませんが、可能性は高いと思います。めげずにがんばっていただきたいです。
 なぜなら、良いところは、40歳であっても卵がたくさん取れ、OHSSを起こすほどで、うらやましい状況といえます。これが強みです。しかし安心は禁物。このような状況でも、あと1年もすると今のように卵は取れなくなります。ですから、今が最後のチャンスと思ってがんばってほしいです。精子もよさそうですし、可能性は高いと思います。乳がんが良い結果に終わることを祈っております。





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