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初採卵・分割せず・・

専門医Q&A 漢方・鍼灸

初採卵・分割せず・・

2012.8.20

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ペコさん(39歳)

 KLC系列のクリニックで、今月初めて採卵をしました。クロミッドを使う低刺激周期法で2つ採卵することができました。1つは受精せず、1つは3分割で停止してしまいました。先生には「加齢と1ヶ月前まで通っていた病院で使用したHCG注射の影響が考えられます。このまま来月も同じように採卵しても、同じことの繰り返しになるので、フラノバールを飲んで調整をとりましょう。」と言われました。
 以前の病院では、タイミング療法でHCG注射を打ち一度妊娠するも8週で流産してしまいました。次周期は、いい採卵・受精・分割になれるようにするには、鍼灸は効果的でしょうか?どのくらいの頻度で通ったほうがいいのでしょうか?


お話を伺った先生のご紹介

直永せつ子 先生 (ナオエ夢鍼灸院 近江八幡院)


私自身の体の異常を知ったのは、20歳を過ぎた頃でした。
以前からの生理不順に増して、生理前の激しい腹痛と40度近い発熱が続き生理が来なくなり出したため地元の内科さんで熱だけでも下げてもらおうと診察を受けると、これは婦人科さんに行ったほうがいいよと言われました。悩みましたが、嫌々ながらも仕方なく婦人科を訪ねることにしました。

初診では解らず、幾度か内診や検査、基礎体温表をつけながら受診をしてしばらくした頃に、子宮奇形に伴う卵巣萎縮、無排卵性月経、経血が卵管へ逆流して起きている事がわかりました。

その時先生から『結婚していない若い女性にこんなこと言うのは言いにくいのですが、おそらく今の医学では結婚してもお子さんは望めないことは覚悟しといて下さい』と言われた時は、まさか自分が子供の出来ない体なんて思ってもいなかった事で、なんで?どうして?と半信半疑信じたくない事実に、どのようにして帰宅したかわからないほどショックを受けました。

女性として結婚や出産の体験は夢であったし、どちらも私には望めないと思うと涙が止まりませんでした。思ってもいなかった結果に日々ストレスが積もり、御夫婦連れや赤ちゃんを見るのも辛くおぞましくなっていきました。

でも少しでも何とかしていただけないかとお願いすると、生理前に起こる高熱を下げる治療と無排卵月経の治療を薬と注射でしていただくことになり、定期的に通院する日々となりした、しかし3年余り過ぎても一向に芳しく無いのと、通院中待合室で、見たくなくても目に入る妊婦さんの姿や会話を聞くことの辛さと、焦り、疲れイライラも極限となり精神状態もおかしくなっていきました。

そんな時今の院長と知り合い『どこまでよくなるか解らないけど、東洋医学の治療で自分に出来る限りの治療をして後は神様・仏様におまかせして』と言ってくれて東洋医学の治療と結婚と同時スタートすることになりました。

楽しいはずの新婚時代も、私の頭の中は毎日毎日子供が出来るだろうか?とばかりで、基礎体温表症候群でした。低温期しかないだの、高温期がないだの、月経が来てしまっただのその都度泣いて落ち込む日々の連続でした。そんな私に対して主人は根気よく付き合ってくれました。おかげさまで約2年半余りが過ぎ一人の娘を授かる事できた時は、奇跡としか言えない夢のような事実に涙しました。長く辛い年月でしたが、主人の協力と優しさで救われ事に感謝しています。
そして、神様が私にくださった奇跡に、少しでもお返しが出来たらよいのにといつも思っていました。

そんなある時、主人から女性の鍼灸師として出来ることは、私が体験した同じ悩みを抱える女性に、お子さんが授かるよう不妊治療をさせて頂くことでないかなとアドバイスを受けました。

この様なことから、私の体験も踏まえながら、少しでもより多くの女性にお子さんが授かる事を日々願いながら治療をさせて頂いております。又、来院して頂いている女性の中には、お子さんが授からない事のストレスやプレッシャーに加え、日常生活の疲労、人間関係や環境で悩みを持っている人も多く、体ばかりか精神的にも負担のかかった方がいらっしゃいます。

個人個人の持つ負担を少しでも軽減、改善し解消していただいて、心身共に健康な状態になるようにと願って毎日治療させていただいてます。
治療の結果お子さんがお出来になるたび、あの頃を思い出し夫婦共々涙が出るほど嬉しい思いをさせていただいております。

日本不妊カウンセリング学会認定
不妊カウンセラー
直永 せつ子



≫ ナオエ夢鍼灸院 近江八幡院

受精しなかったり、分割が進まない体験をされている方は、ペコさんに限らずうちの患者さんでもいらっしゃいますよ。
治療も大切ですが、その前に生活習慣の改善をしましょう。
それが良い結果につながっていくからです。

一人ひとり改善する内容は違いますが、ペコさんの場合は今までの経緯を拝読したところ、3か月ほど前から月経血の量が減ったことや、流産を体験されていることから、体の冷え、とくに下半身の冷えの影響もあるのではないかと思えます。
せっかく血流を良くする当帰芍薬を服用されているのですから、衣類や寝具、入浴法、睡眠時間、疲労、食生活や生活習慣の改善をプラスしてみてください。
相乗効果が出ると思いますよ。
また、ペコさんの体重は身長と年令からは適正範囲ですが、体脂肪は適正範囲でしょうか?
体脂肪は少なすぎても多すぎても卵に影響します。
もしも体脂肪が、年令から見て適正範囲を超えているなら、食事の時間帯や内容、バランスを改善してください。
適正な体脂肪率になれば、より早く妊娠しやすい条件の体にととのうと思います。
一人ひとり違う生活習慣のなかで、自分自身の負担になっている点を改善し養生することは、自然妊娠でも、人工授精や体外受精でも、良い結果につながりますよ。

鍼灸治療をおこなうことで、女性の卵巣に影響する腎や脾の機能や、生殖機能のなかでも、卵巣や卵管に影響する肝・膀胱(婦人科に関係のある経絡)の機能が高まるという例が、当院の患者さんにも多くいます。
鍼灸治療の通院期間や回数は症状によって個人差があります。
私の所では、東洋医学的に良導絡という機械で子宮や卵巣の状態が把握できるので、その数値によって治療期間の目安がつきます。
最終的には月1~2回で大丈夫ですが、初めのうちは1週間から10日に1回の間隔での通院が一般的で効果も期待できると思います。


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