黄体ホルモン製剤服用後、不正出血が続き不安です
コラム 不妊治療
黄体ホルモン製剤服用後、不正出血が続き不安です
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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。
- さくさん(25歳)からの相談
プロゲストン®(黄体ホルモン製剤)について - 現在妊活中なのですが、排卵誘発剤とプロゲストン®を服用しています。8/10からプロゲストン®を飲みはじめ、8/13におりものに血が混ざったような出血があり、その後から茶色の出血とピンクの出血が少量続いています。インターネットで検索をすると「プロゲストン®を飲んでいると服用中は生理はこない」とばかり出てくるので、病院に行ったほうがいいのか不安になっています。今月の生理予定日は8/8からでしたが、遅れていたのでプロゲストン®を処方されました。生理予定日からずっと胸が張っていて、生理の腹痛のような鈍痛が続いています。ただ単に生理が遅れていただけなのでしょうか。ホルモンやその他の血液検査は異常なしでした。
- まとめ
- ●不正性器出血は、排卵障害だけでなく異常妊娠の可能性も。迅速に診療へ。
●自分がどんな治療を受け、何を処方されているか把握しましょう。
排卵誘発剤と黄体ホルモン製剤を同時服用することは一般的な治療法なのでしょうか。
排卵誘発剤は「卵子を育てる薬」、黄体ホルモン製剤は「黄体機能不全治療のための薬」で、医師や医療機関の方針により使う薬が違うこともありますが、その組み合わせは特に問題ありません。黄体ホルモン製剤の副作用には、月経前に起きるようなむくみ・乳房緊満感などがあるので不安だったのは理解できます。
不正性器出血とはどのようなものでしょうか。
不正性器出血の原因は多岐にわたります。機能性出血といって、ホルモンバランスの崩れで起こる出血。排卵時期に起こる出血、黄体機能不全による月経前の少量の出血。ほかにはホルモン製剤の影響や、排卵が起こらず出血してしまう「破綻出血」などもあります。何らかの原因となる疾患があって出血する場合は、器質性の不正性器出血といい、子宮頸管ポリープ、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮がんなどが原因として考えられます。また、妊娠に関する出血として、流産による出血や子宮外妊娠(現在は異所性妊娠といいます)による出血などもあります。
今回の出血について教えてください。
さくさんは排卵誘発剤を投与され服用しているので排卵障害の可能性が考えられます。がしかし、ホルモンの採血では異常がないことから、排卵障害まではいっておらず、排卵誘発剤を用いて過排卵刺激を行い妊娠しやすくしようという治療だったのかもしれません。
今回の出血は、①排卵誘発剤の効果が認められず、黄体ホルモンを内服しても子宮内膜が継続できない「破綻出血」、②月経予定日を越えていることから、実は月経が始まっているのに黄体ホルモン剤を飲んだことで起こった少量の出血、③流産による出血や子宮外妊娠での出血などが考えられます。
患者様のなかには、ご自身の状態がよくわからず、お薬の服用や治療を医師の言う通りに任せたままにしてしまう方が時々いらっしゃいます。さくさんにお願いしたいのは、不妊治療は必ずしもよい結果が出るとは限らないので、なぜそれが必要か、今自分がどういう状態にあるかということを、ご夫婦でよく考えていただきたいのです。
この状況でもし私が診させていただくなら、まず妊娠反応を確認し、超音波検査も並行して行います。これでもし妊娠していたら、不正出血は「異常妊娠」となるので、子宮外妊娠などの可能性を考え、早急に検査・治療も必要になるでしょう。不正出血が起こってしまったら悠長に構えてはいけません。
先生からのアドバイスをお願いします。
不正出血などがあった時は素早い対応が大切です。その不正出血は、排卵障害かもしれない、妊娠かもしれない。少しでも不安に思われるなら、早く病院へ行きましょう。治療内容に関してもご自分の状態をよく把握していただき、不安が起こらないようにしていただきたいと思います。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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