体外受精とタイミング法の違いは? 40代の体外受精は、トライする価値がある?
コラム 不妊治療
体外受精とタイミング法の違いは? 40代の体外受精は、トライする価値がある?
成功率が低いと言われる40代の不妊治療。体外受精も自然妊娠でのタイミング法も結果に大きな違いはないという話もありますがあえて体外受精をするメリットとは? また、成功率を上げる方法はあるのでしょうか。厚仁病院の松山先生に聞きました。
※2019年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring」の記事です。
- むんさん(43歳)からの相談
体外受精を受ける意味 - 先月から体外受精に向けていろいろと検査を受け、12月に採卵の予定です。40~41歳の間にタイミング法で3度妊娠、2度の流産と1度の死産を経験しました。死産は21週で染色体検査の結果は21トリソミーでした。体外受精前の検査では異常がなくホルモン数値も問題がなかったため、タイミング法と体外受精の妊娠率はそんなに変わらないのでは? と思っています。年齢的、体質的に私の卵子が問題で、妊娠に至る方法は関係ないのでは? 体外受精は無意味なのでは? と思うのは、素人考えでしょうか。それとも、染色体に異常があれば胚盤胞まで育たないなど、体外受精は染色体異常の卵子を除外するのに少しは関係するのでしょうか? 年齢的にも最後のつもりでチャレンジして、ダメならスッキリするつもりでしたが、思いきれずモヤモヤしています。
- まとめ
- ●年齢ではなく個人の状況での対処を。
●40代の不妊治療はまず体外受精を。
●いい卵子をつくるための体づくりを。
体外受精とタイミング法。40代の妊娠・出産率は人によってどう違いますか?
一般的に年齢が高くなればなるほど妊娠・出産率は下がり、流産率が上がります。不妊治療においてもその治療の種類によらず、同様の傾向があります。したがって、40代では体外受精でもタイミング法でも、妊娠・出産率は下がり流産率は上がり、染色体異常の発生頻度も上昇します。ですが、一概に年齢を目安にどの方法がよいとは断言できず、あくまでその人の状況によって対処するべきだと思います。たとえば、タイミング法で妊娠し流産した場合は、卵管采が卵子をキャッチする力はある、ということがわかるので、不育症の検査を行うことも必要になるでしょう。
体外受精にトライするメリットは?
体外受精が、年齢的・体質的な卵子の問題を解決するという点で万能な方法というわけではありませんが、それを行うことで初めて不妊の原因がわかることもあります。
受精卵が染色体異常の場合でも、良好胚盤胞に達し、移植して妊娠するも初期流産となることはあります。
卵子や受精卵を培養する環境や技術も以前よりレベルアップしていて、妊娠率の向上にもつながっています。体外受精はレベルの高い治療法の一つと考えられます。
したがって、体外受精は体力的にも金銭的にも負担が多いと思われますが、行ってみる価値はあるのではないかと思います。
体外受精の成功率を上げるためには、何をすればいいですか?
体外受精の成功率を高めるために皆さんにお願いしたいことは、できる限り質の高い卵子と精子をつくっていただくことです。それには日頃から心と体のコンディションを整えるよう心がけることが大切です。
タイミング法から体外受精まで、治療法はさまざまですが、できるだけその質を高め妊娠率や出産率の向上につながるように頑張っていくことが我々の使命と考えています。
その一方でメインの治療をサポートする統合医療も皆さんに提案しています。具体的には、各種サプリメントの提案、遠赤外線療法や低反応性レーザー治療(LLLT)などの理学療法、日本生殖鍼灸標準化機関(JISRAM)会員の鍼灸師による生殖鍼灸などです。
年齢にかかわらず、これまでの検査結果や妊娠の状況を主治医とともによく検討し、最適な治療法を選ばれるのが一番だと思います。
- 先生から
- どの治療も確率はほぼ同じですが、
体外受精は、状況把握ができます
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring
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