2人目不妊で人工授精を実施。症状の意味と妊娠の可能性は?
コラム 不妊治療
2人目不妊で人工授精を実施。症状の意味と妊娠の可能性は?
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※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。
- 憂こりんさん(38歳)からの相談
2人目不妊治療中、妊娠の可能性 - 生理日から排卵日まで12日間で、排卵日から生理日まで19日間です。1人目も不妊治療でレトロゾールを使って、2回目の人工授精で授かりました。1回目もくっついたのではないかといっていました、生理が遅れたからです。レトロゾールは相性がいいみたいなので、今回も使って先月27日に人工授精しました。今月3日、引っ張られるような感じがあったのと、寝ている時に腰が痛いのと、毎日下痢です。あと、息が切れやすい(これは1人目の時にもありました)。トイレが近く頻尿です。風邪ぎみで鼻水が時々出て、せき込むと気持ち悪くなることが時々あります。喘息持ちではありますが、今の薬が合っていて落ち着いています。妊娠の可能性はどのくらいありますか?
- まとめ
- ●腹痛や下痢、腰痛は黄体ホルモンの刺激による腸の症状だと考えられます。
●排卵数が2.5個以下であれば、排卵誘発法を変えてみることも必要。
今回もお1人目を授かった時と同じ排卵誘発剤を使われたようですが。
レトロゾール、製品名でいうとフェマーラⓇというお薬ですね。このお薬にはクロミッドⓇと同様に排卵を誘発する作用があります。子宮内膜が薄くなったり、頸管粘液が少なくなることはほとんどないので、クロミッドⓇで副作用が出る方に使用することも。ただ、レトロゾールは本来、乳がんの治療薬。不妊治療においては保険が適用されないので、人工授精で使うのは珍しいと思います。治療代は少し高くなってしまいますが、反応が良好ということであれば、このまま使用されても問題ないでしょう。
この方の月経周期についてはどう思われますか。
毎月安定されているかどうかはわかりませんが、排卵日から生理まで19日間であれば、受精して着床くらいまでいっているのでは。どんなに長くても黄体は14日が寿命ですから。
受精、着床して妊娠となりますが、そのうち出産までいくケースは全体の60%程度。10%くらいは流産、15%は妊娠反応は出るけれど生理が来てしまう、残りの15%は知らないうちに生理になっているというデータを見たことがあります。流産に関しては偶発的なことで、この段階で避けるのは難しいでしょう。この方は月経周期に関しては大きな問題はないと思うので、妊娠する力は十分あると思いますね。
人工授精後、様々な形で不快な症状が現れているようですが、その原因は?
排卵後、黄体ホルモンが分泌されると、その刺激により腸の症状が出ることがあります。お腹が張ったり、この方のように引っ張られるような痛みを感じたり……。腰痛や下痢というのも腸が刺激されることにより起こっていると考えられます。妊娠した場合、20週くらいまで痛みが続くケースもあるようですが、これらの症状があるから妊娠しているとははっきりいえません。
息切れや頻尿などは人工授精をしたことと直接関係がないと思われます。ただ、症状が長く続くようでしたら別の病気が考えられるので、専門科の受診をおすすめいたします。
妊娠の可能性はどれくらいありますか。
今回、妊娠されたかどうかはわかりませんが、一般的には38歳くらいのご年齢で人工授精1、2回目であれば出産までいく確率は20%程度。3回目は15%くらい、その後はゼロに近くなってしまいます。
人工授精で妊娠する場合、排卵数は平均2.5個程度。もし今回結果が出なかったら、今使っている薬での排卵数を確認し、少ないようであれば注射を加える、注射だけで誘発するなど、排卵誘発のやり方を変えてみてもいいでしょう。それであと2、3回トライして、妊娠まで至らないようなら、ステップアップを考えられてはどうでしょうか。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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