【Q&A】質のいい卵子がないのでしょうか? ー浅田先生
専門医Q&A 不妊治療
【Q&A】質のいい卵子がないのでしょうか? ー浅田先生
何度採卵しても移植に至らないことも。質のいい卵子が採れる可能性はあるのでしょうか?浅田レディースクリニックの浅田義正先生に伺いました。
相談者:豆子さん(35歳)
こんにちは。不妊治療を始めもうすぐ3年になります。タイミング、人工授精、体外、顕微とステップアップしてきました。
クロミッド、レトロゾールを使った低刺激での胚も、ゴナールエフ連日注射のアンタゴニストの高刺激の胚も初期胚の段階でのグレードがよくありませんでした。低刺激で9回、高刺激で1度採卵しました。低刺激では未受精、分割停止、空砲、未成熟などもあり、グレード3を3回しか戻せず、着床に至りませんでした。ゴナールエフ150を連日注射の高刺激で5個取れ、4個受精しましたが、4日目で3つ分割停止。1つも可能性はかなり低いとの事でした。
質問です。このまま何度も採卵を繰り返しても、私には質の良い卵子は残っていないのでしょうか?
刺激法、薬剤、採卵のタイミングなどを変えれば質がよい卵子が取れる可能性はあるのでしょうか?
卵子の質は年齢だけでなく、個人差ありということなので、私はもう諦めた方がいいのかと考えこんでしまいます。タバコもお酒も全くやりません。睡眠も良好です。食生活はバランスバッチリとは言えないですが、3食食べています。ストレスは人より貯めやすい性格だと思います。長年のストレスが胚の質を低下させたのでしょうか?
成熟卵の採卵を
AMHが年齢相応とのことなので、35歳ならば普通の卵巣刺激でかなりの卵子が採れるはずです。色々な治療法を経験されてきたようですが、35~37歳であれば、論文的に言えば平均13~14個の卵子で一人の赤ちゃんが生まれる確率です。ということは、それだけの数の卵子を、一回で採るか、あるいは何回かに分けて採るかということですが、どのような刺激で採るかということは全く重要ではありません。
卵子は、最初から質がバラバラなものが、半年前から育っています。しかも、その卵子は女性が生まれる前に作り置きされたもので、年齢とともに老化し傷んでいます。また、卵子がどの順番で育つのかということも、アトランダムです。そのため、卵巣刺激をするということは、35年間眠りについていた卵子の遺伝子を再稼働させるということです。卵子が成熟卵に至る過程の、どの段階で卵子を採るか、すなわち成熟卵をしっかり採ることが、治療上一番大事なことになります。成熟卵をしっかり採って初めて、その後の受精率、妊娠率も良くなります。先ほど述べたように、平均では13~14個必要ですが、カップルによっては2人の遺伝子の組み合わせ・バランスにより、それ以上必要な人も、あるいはそれ以下の人もいます。
卵子は、質の良いものが一個だけ選ばれて育つということはありません。ですから、なるべく1回で成熟卵をきちんと採ることのできる施設で体外受精をすることが、一番良い結果につながると思います。良い卵子を選んで育てることはできません。今まで良い卵子がなかったのは、採卵のタイミングが悪かったのかもしれないし、もともと成熟卵が採れにくいタイプなのかもしれません。そうであれば、成熟した段階でしっかりと採卵をしてくれる施設で治療すべきだと思います。結果が出なければ、やり方、考え方を変えるべきです。不妊治療は、施設によって実施している治療が大きく異なります。
生活習慣は卵子の質に影響する?
患者さん側で生活習慣を変えるなどの努力をしても、卵子を良くすることはできません。
妊娠してからは、赤ちゃんの成長のために出来ることはありますが、卵子と子宮が繋がっていない段階では、何かすれば卵子が良くなる、ということはありません。