OHSS(卵巣過剰刺激症候群)とは? 生殖医療用語をドクターが解説 !!
コラム 不妊治療
※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)
不妊治療のための誘発剤注射などにより卵巣機能が過剰に刺激され、卵巣が腫れたり血管の透過性があがり腹水がたまったりする状態をいいます。
逆に血管の中の血液は濃縮されるため、血栓塞栓症に注意が必要となります。
症状としては腹痛や腹満感、血液が濃縮されるために尿量が減ることなどが挙げられます。片方の下肢が急に腫れて痛くなったり、胸の痛みがでた時は血栓塞栓症の疑いがあり急を要することがあります。
多嚢胞性卵巣症候群の方などはリスク群とされ、誘発剤の種類や量、成熟を促すHCGの使用には注意が必要とされ、成熟にはGnRHaによるLHサージを利用する方法をとることもあります。またカベルゴリンの内服によってOHSS発生の予防や軽減を行ったり、採卵後は血栓予防のために低用量アスピリンを使用する場合もあります。
OHSSは妊娠成立によって重症化しやすいため、リスクがある場合基本的に得られた胚すべてを凍結し、状態の安定した別の周期に移植することになります。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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