【Q&A】 顕微授精4回目、初の胚盤胞移植で流産。良い受精卵を得るには?ー浅田先生
専門医Q&A 不妊治療
【Q&A】 顕微授精4回目、初の胚盤胞移植で流産。良い受精卵を得るには?ー浅田先生
閉塞無精子症で不妊治療中。良いグレードの胚盤胞を得るためには、ショート法もしくは低刺激のどちらで採卵を続ければ良いでしょうか。浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。
相談者:さくらさん(40歳)
2度目の採卵はショート法。採卵後顕微授精するが、初期胚盤胞で発育停止。
3度目の採卵もショート法。初期胚で凍結後、移植するが陰性。
4度目の採卵の前、ジネコに相談をして、採卵方法を低刺激にしては?とのアドバイスをいただきました。しかし培養土に相談したところ、薬がよく効くのでショート法でたくさん卵を採ったほうが良いと言われ、ショート法で採卵。4回目の顕微授精で4CCの胚盤胞が2個凍結でき、2個移植して初めて妊娠しましたが、8週で流産となりました。
次回の採卵を最後にしようと思っています。良いグレードの胚盤胞を得るためにはどうしたら良いでしょうか。もうすぐ41歳になりますし、あまり時間がありません。
次でグレードが良い胚盤胞ができなければ、もう諦めたほうがいいのではないかと思っています。
サプリメントの他、低糖質の食事、運動は1年半前から毎日行っています。このほか、良い胚盤胞を得るためには何かできることはありませんか?
あと、最後の採卵にしたいので、ショート法で続けるのがいいのか、低刺激で質の良い卵子が
出来ることに賭けるか悩んでいます。どちらが良い胚盤胞を得られるでしょうか。宜しくお願いします。
採卵方法について。
不妊治療に良いと言われていることはたくさんありますが、その中で本当に効果のあるエビデンスの高いものは非常に少ないことが分かっています。
40歳ということは、受精卵が20個~40個で1人の赤ちゃんが生まれる、というところまで年齢が進んでいて、受精卵ができても8割以上が染色体異常であることが分かっています。ですので、正常な受精卵をたくさん用意することが、一番の戦略になります。
無精子症の人に精索静脈瘤の手術をする、一生懸命サプリメントを摂取する、あるいは子宮内膜擦過をするということは、現在、世界的に見ても非常にエビデンスが低く、勧められる治療法ではありません。
卵子を取る方法はいろいろあります。AMHが比較的高いので、一回の刺激で多くの卵子が採れれば、その分妊娠率は上がります。刺激を弱くして良い卵子が採れるというエビデンスは、全くありません。
また、受精障害ということでカルシウムイオノフォアを使用されていますが、12個採れたうち3個は正常受精ということですので、本当に受精障害かどうかは疑問です。
当院では、受精障害の場合、エレクトロポレーションという電気刺激で受精卵をつくることがありますが、その対象となる人は非常に少ないと考えています。また、サプリメントで卵子を良くすることもできません。
今後の治療方針は?
卵子は女性が産まれる前に作られ、さくらさんの場合、40年経過し、辛うじて生き残った卵子で現在治療をしている状態です。そのため、良い卵子から順番に採る、ということではありませんし、サプリメントの摂取によって突然卵子が良くなるということもありません。卵子自体は半年前から育ち始めています。そのため、今利用できる卵子をきちんと利用し、その中の何個かに1個が赤ちゃんまで育つ、という発想で治療を進めていくことが必要です。
どの刺激方法にしても、一度にたくさんの卵子が採ることが大切です。そして、その時一番重要なのは、成熟卵をしっかり採ることのできる卵巣刺激をすることです。
クリニックにより治療方針は様々です。エビデンスに基づいた治療を受けることのできるクリニックを探すことも、一つの方法だと思われます。