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子宮内膜ポリープの掻爬で内膜が薄くなり、着床しづらくなる?

コラム 不妊治療

子宮内膜ポリープの掻爬で内膜が薄くなり、着床しづらくなる?

子宮内膜ポリープを掻爬したことで内膜が薄くなったから着床しづらい? ART女性クリニックの小山先生にお答えいただきました。

2021.3.1

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子宮内膜ポリープとは


子宮内膜ポリープは、疾患としてはあまり珍しくありません。ほとんど症状はなく、不正出血の原因になることが時々あるといった程度。不妊治療で検査を受けたり何か症状がある場合以外は、自分で気づくことはほぼないでしょう。

子宮内膜ポリープが不妊の原因になる、という明確なエビデンス(根拠)はありませんが、不妊の原因となる可能性はあります。実際、当院でも子宮内膜ポリープを切除したあとに妊娠されるケースがありますし、一般的にも切除するほうが多いでしょう。子宮内膜は受精卵が着床する場所なので、そこにポリープがあると着床を邪魔する可能性があるのだと考えています。




ポリープ掻爬で内膜は薄くならない


子宮内膜ポリープの数が少なければ子宮鏡で切除しますのでその場合子宮内膜が薄くなることはありません。子宮内膜ポリープの数が多ければ、子宮内膜掻爬術を行いますが、通常1回の内膜掻爬で薄くなることはありません。2回以上繰り返せば薄くなる可能性はあります。

一般的に、子宮内膜の厚さは7〜8mmあればじゅうぶん妊娠可能であり、7mm以下だとちょっと難しいので、薄い場合はまず内膜を厚くすることを考えければなりません。厚くする方法は難しいですが、内膜というのは周期によっても違うので、何回か周期をつくることは有効でしょう。また、体外受精であれば自然周期やホルモン補充周期など、周期を変えてみるというのが、試してほしい方法です。

それ以外では、ビタミンEなどの薬を使ってみたり、特殊な方法としてはG-CSFという成長因子を移植前に子宮内に注入することも。最近では多血小板血漿(PRP)療法で内膜を厚くするという方法がありますが、どの施設でもできるものではありません。


体外受精をしても陰性を繰り返す場合


受精卵を繰り返し移植しても着床しない場合は反復着床不全と診断します。その際に受けていただきたいのが、着床不全の検査です。Th1/Th2という免疫検査やビタミンDの検査を受けていただきたいですね。そして、子宮鏡で子宮内の状況を診て慢性子宮内膜炎がないかを調べます。子宮内の細菌(フローラ)を調べて善玉菌の乳酸菌や病原菌の検査。受精卵が着床可能な時期である着床の窓を特定するERA検査もあります。そのような検査をしっかりと受けてから、次の治療に進んでいただきたいですね。

そして、着床不全検査で異常がない場合は着床前診断PGT-Aを受け、染色体の数の異常がない胚を移植するというのも、妊娠の可能性を高める方法の一つになるでしょう。


小山先生より まとめ


子宮内膜ポリープの掻爬術を繰り返せば子宮内の環境が悪くなりますから、当然、内膜が薄くなる可能性はあります。したがって、子宮内膜ポリープの切除は掻爬術ではなく、子宮鏡手術でポリープのみを摘出するほうがいいしょう。内膜が薄くなっているなら厚くする方法を考え、着床不全を繰り返すならいろいろな着床不全の検査をしっかり行って着床不全を治療をしてから次の胚移植に臨んだほうがいいでしょう。


お話を伺った先生のご紹介

小山 伸夫 先生(ART女性クリニック 院長)


熊本大学大学院医学研究科卒。熊本大学産婦人科、兵庫医科大学産婦人科外来医長を経て、慈恵病院産婦人科部長。2005年、熊本で初となる不妊専門クリニック「ART女性クリニック」を開院。


≫ ART女性クリニック

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