健康診断は問題なく健康体だけど現在、改善しつつある過食嘔吐歴7年は不妊の原因になるの?
コラム 妊活
健康診断は問題なく健康体だけど現在、改善しつつある過食嘔吐歴7年は不妊の原因になるの?
健康診断は問題なく健康体だけど現在、改善しつつある過食嘔吐歴7年は不妊の原因になるの?
はまこ さん(33歳)
【不妊の原因:不明・多嚢胞性卵巣症候群・高プロラクチン・多嚢胞】
○冷え性である
○月経前になると乳房や下腹部が張る
○気分によって食欲にムラがある
○肩こりや頭痛が慢性的にある
○寒がりである
○手足がいつも冷たい
○太りやすい
○体が重く、いつもだるい
○むくみやすい
○痰が出やすい
○いつも眠い
妊娠に過食嘔吐は不利になるので治療や漢方薬で改善して妊娠力を強くする
過食嘔吐は心理的な原因で、食べものを大量に食べたあと自己誘発性嘔吐する、下剤を使って排出するなどをくり返す病気で、摂食障害のひとつです。体重が減少するほかに、女性ホルモンのバランスが乱れ、その結果として無月経がおこることがあります。無月経期間が長く続くと子宮、卵巣に影響を与え、不妊の原因となります。
また、妊娠しても過食嘔吐の習慣は栄養欠損となり、胎児に影響を与え、流産や不育症になることもあります。
漢方薬で体質改善しホルモンのバランスや卵胞の発育、生殖機能をつかさどる「腎」機能を上げる
妊娠に関係する性腺刺激ホルモンを分泌放出するのは視床下部で、摂食行動をつかさどる本態行動の中枢でもあり、さらに、悲しみや怒り、不安、ストレスなど情動行動の中枢でもあります。
つまり摂食障害やストレスはホルモン中枢である視床下部に悪影響を与え、妊娠には不利になります。はまこさんの不妊の原因も過食嘔吐が引きおこすホルモンバランスの不調と深く関係するのです。
はまこさんは今日まで大変努力され、過食嘔吐が改善されていい方向へ向かっていますので、さらに漢方薬で体質改善することをおすすめします。
中医学ではホルモンのバランスや卵胞の発育、生殖機能をつかさどるのは「腎」の力と考えます。冷え性、寒がり、手足がいつも冷たい体質は「腎陽虚」です。「鹿茸製剤」「胎盤製剤」などで温め、「腎」機能を上げる漢方薬が必要です。「補腎陽」で妊娠力とともに免疫力も生命力も強くなります。
「気分変調症」の状態が回復すると諸症状は改善され、ホルモンも安定して妊娠しやすい体になる
気分によって食欲にムラがある、慢性的肩こり、頭痛、倦怠感、いつも眠いなどの「気分変調症」がみられます。
これらは中医学では「肝鬱」といいます。慢性的肩こり頭痛は「肝鬱によるお血」、倦怠感や眠いは「肝鬱による気虚」と考えます。月経前の乳房と下腹部の張りは「肝鬱気滞」といい、プロラクチンと関係します。浮腫みやすい、痰が出やすいは「痰湿」と考え、「肝鬱」により代謝機能が悪く「湿」が溜まり、多嚢胞や多嚢胞卵巣症候群と関係します。「理気薬」「疏肝薬」「解鬱薬」などの漢方薬を利用しながら「肝鬱」を改善して、しばらくは心理療法のサポートも必要です。「肝鬱」の状態が回復すると諸症状は改善され、ホルモンも安定して妊娠しやすい体になると思います。
峯崎 リヨ子先生
薬剤師。日本不妊カウンセリング学会会員、認定不妊カウンセラー。認定日本食品保健指導士。日本中医薬研究会の不妊講座で周期調節法を学び「南京中医薬大学病院」「広州中医薬大学病院」などで研修。不妊症をはじめ、さまざまな相談を受けている。「最新東洋医学の名医134 人(有楽出版社)」で紹介される。