漢方を取り入れながら体外受精、人工授精で出産/海野由紀子さん(36歳)
体外受精を繰り返すもなかなか妊娠せず
赤ちゃんが欲しいと思ってからもなかなか授からなかった由紀子さんは、もともと生理不順で通っていた病院からの紹介で専門のクリニックにて、体外受精を続けていました。「約2年間、回数にして5回の体外受精を行っても妊娠はしませんでした。しかも最初は、卵胞が空で採卵ができないということが何回も続きました。それでも病院では、とりあえず薬で次の生理を起こしてまた次の周期に採卵を試みる、という方法を繰り返していました」
由紀子さんは以前から実家のお母さまに「漢方を試してみたら」とすすめられていたこともあり、違うことをやってみようと、誠心堂を訪れました。ここでは一人ひとりに中医学のアドバイザーが担当としてつきます。楊先生が由紀子さんの担当となりました。
「先生のお話では、体外受精のための注射を何度もやってきたことによって、卵巣機能が低下して排卵しない状態になっているとのことでした。いい卵ができるよう、卵巣を整える処方をしていただきました」
漢方と不妊治療は一緒に続けたほうがいいと思い、漢方を始めたことをクリニックの医師に伝えたところ、「今飲んでいる薬が終わったらやめてください」と言われてしまいます。しかし飲み始めて体調がよくなりつつあることを実感していた由紀子さんは、病院には黙って続けることにしました。
体質改善で採卵に成功。妊娠中も漢方を服用
クリニックの先生には内緒のまま、漢方を飲み続けて5カ月たった頃、検査でもホルモン値がよくなってきたことが確認されました。そしてまもなくよい卵子を採ることができ、漢方を始めて8カ月後の体外受精で待望の妊娠を果たします。
楊先生のすすめで、妊娠中も8カ月まで胎児を安定させる漢方を服用。そのおかげか、体調もずっとよかったといいます。「私は冷え性なのですが、妊娠中はいつも体が温かい感じがしていました。つわりもほとんどなかったです。7カ月の頃、一度楊先生に『これで終わりにしましょう』と言われ、漢方をやめてみたのですが、そうしたら急に具合が悪くなって……。ひどい胸やけがしたんです。それですぐに『続けたいです』とお願いしに行きました。やめた瞬間に“漢方ってすごいな”と実感しましたね。漢方で胃の調子も整えていたのだそうです」
そのほかにも風邪をひくこともなく、妊娠9カ月まで仕事を続けていても疲れ知らずだったり、いろいろな効果があったそうです。妊娠中は“体外受精で生まれてくる子は正常なのだろうか”と心配することもありましたが、おなかの中で赤ちゃんが大きくなるにつれ、その不安は消えていきました。そして無事に元気な男の子が生まれました。
2人目は人工授精から始め2回目で妊娠!
1人目のゆうきちゃんが生まれて9カ月たった頃、由紀子さんは2人目の妊娠に向けて、再び子宮と卵巣の働きを整える漢方を始めます。
「出産後は妊娠しやすくなっているという噂を聞いてまして。今だったら、もしかするとすぐできるかもしれないけれど、間があいたらまた長い治療をやらなければいけないかもしれない。それなら早めに治療を開始しようと思ったんです。子どもは2人欲しかったというのもありましたし」
2人目に向けて準備は始めたものの、今すぐに、というつもりではなかった由紀子さん。漢方のおかげか、産後不順だった生理も来るようになり、子宮がん検診を受けに行った時、不妊治療の先生に「次どうする?」と聞かれ、それがきっかけでまた不妊治療を始めることになりました。「先生に『今は状態もいいし、とりあえず1人いるから、少しゆっくり目でやってみる?』と提案され、人工授精をやることになりました。何回かやってみてダメだったら体外受精をする予定でした。それが2回目で妊娠! もっとかかると思っていたので驚きました」
2人のかわいい男の子に囲まれて…
由紀子さんは今、2人の息子さんに囲まれて、幸せいっぱいの日々を送っています。ここにくるまでの長い治療の間、くじけそうになったことはなかったのでしょうか?
「親戚からのプレッシャーが強かったので、つらい時期もありました。正直離婚を考えたこともありました。でも主人が『子どもが欲しいから君と結婚したんじゃない。できなければ二人でもいいじゃないか』と言ってくれたんです。それでかなり気持ちが楽になり、また頑張ろうと思えました」
2人の兄弟は今、やんちゃ盛り。時々、妊娠まで様々な苦労があったことも忘れるくらい2人を怒ってしまうことがあるといいます。
「育児は大変だけど、2人生まれてくれてよかった。喧嘩もいっぱいするけど、お互いを思いやる姿を見ると、兄弟ができてよかったなと思います」
担当:楊 琰先生【誠心堂】
海野さんが最初にいらした時は、採卵で頑張らせすぎたため卵巣が疲れてしまった“卵巣早発機能不全"と思われる状態でした。おなかの痛みもあり、体調もよくないようでしたので、全体をみながら卵巣機能を高めるようにアドバイスしました。1人目は8カ月、2人目は妊娠力が上がっていたので5カ月で妊娠されました。妊娠中は安胎、養胎の処方をしましたが、体全体が整い、胃腸の調子もよくなったので、つわりにもならなかったのだと思います。漢方治療は信頼関係が大切。海野さんが私を信頼してくださったことに感謝しています。
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