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現場の先生に聞く!PCOS治療の可能性

コラム 不妊治療

現場の先生に聞く!PCOS治療の可能性

PCOSを発症すると、なぜ妊娠しにくくなってしまうのでしょうか。英ウィメンズクリニックの水澤友利先生に詳しいお話をお聞きしました。

2010.12.6

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不妊原因の一つである、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を改善する働きがあると、近年、注目されている"グリスリン"。
マイタケ由来の天然成分です。今回は、治療の現場では実際にどのように使用されているのか、本誌『ジネコ』でもおなじみの英ウィメンズクリニックでお話を伺ってきました!


原因や症状について解明されていないPCOS



英ウィメンズクリニック
水澤 友利 先生

東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部産婦人科教室入局。慶應義塾大学にて不妊治療のトレーニングを受け、その後、東京の荻窪病院で一般不妊治療および高度生殖医療に従事する。2009年7月から英ウィメンズクリニックに医員として勤務。日本産科婦人科学会専門医。

ジネコにも多く寄せられる、多嚢胞性卵巣症候群(以下、PCOS)についての相談。不妊症の原因の一つであるPCOSは、超音波写真で見ると、卵巣に小さな卵胞がたくさんできているのがわかります。PCOSを発症すると、なぜ妊娠しにくくなってしまうのでしょうか。英ウィメンズクリニックの水澤友利先生に詳しいお話をお聞きしました。

「PCOSの原因については、まだはっきりとわかっていないことが多いんです。遺伝的要素ではないかともいわれていますし、胎児期の子宮内環境の影響なども指摘されていますが、解明されていない部分が多いです。

主な症状は、排卵障害と生理周期の異常、それにともなう不妊です。それから、肥満、高脂血症、男性ホルモン過剰による多毛、ニキビなどの症状ですね。ただ、東洋人においては多毛や肥満はそれほど顕著ではありません。どちらかというと、日本人には肥満よりも痩せ型の患者さんが多いように感じます。

不妊治療における一番の問題点は、自然ではなかなか排卵しないということ。だからといって排卵誘発剤で過剰に卵巣を刺激してしまうと、今度は卵巣が腫れてしまう卵巣過剰刺激症候群(以下、OHSS)のリスクが増えてしまったり、体外受精でない場合は多胎の可能性が高まってしまいます」


 


PCOSの改善が期待できる“グリスリン”に注目!


なるほど、PCOSの患者さんの不妊治療は、排卵障害の改善がポイントなんですね。では、“グリスリン”がPCOSの改善に役立つのは、どういった理由からなのでしょうか?

英ウィメンズクリニックでは、“グリスリン”を現在試験的に使用しているのですよね。もともと“グリスリン”は、アメリカでメタボリックシンドロームの改善に有効として開発された成分だと聞きました。その主成分は、日本人の私たちにはおなじみの“マイタケ”から抽出されるエキスとか。マイタケと不妊治療が結びつかないんですが……。

「そうですね(笑)。PCOSは1935年にStein Leventhal 症候群と報告された症例からPCOSとして取り扱われており、新しい病気ではありません。しかしPCOSには、メタボリックシンドロームの原因の一つであるインスリン抵抗性が深く関わっているのではないか、ということがわかってきたのです。

近年は、メルビンRなどのインスリン抵抗性改善薬がPCOSに関係した不妊治療に使われるようになりました。当院でもクロミフェンへの反応がよくない方や、インスリン抵抗性のある患者さんに処方します。

また当院ではPCOSの改善を期待して、インスリン抵抗性改善の働きがあるという“グリスリン”を2ヶ月ほど前から試験的に使用しています。“グリスリン”とは、おっしゃる通りマイタケ由来の天然成分です。現在、服用しているのは5人ですが、その少ない症例のなかでも、体質改善につながったのか、妊娠したという方もいらっしゃるんですよ」




排卵誘発剤と“グリスリン”併用で治療の副作用を軽減


“グリスリン”を服用されている患者さんで、実際に妊娠に至った方がいらっしゃるんですね!
実際にどのようなケースに使用されるのでしょうか。

「当院では、“グリスリン”は基本的に排卵誘発剤と併用しています。たとえば、重度のOHSSを発症し、インスリン抵抗性を強く示す方であれば、“グリスリン”やメルビンRとの併用がとても有効だと思います。なぜなら、インスリン抵抗性を改善することによって排卵が改善されれば、将来的には排卵誘発剤の投与量が減らせるからです。OHSSや多胎のリスクととなり合わせのPCOSの患者さんには、それが最も安全な治療法につながるのではないでしょうか」

もともと“グリスリン”はメタボリックシンドロームの改善に有効とされる成分。安全な不妊治療に役立っているわけですね。「はい。“グリスリン”は植物由来で安全性が高いので、どんな方にも幅広く使っていただけるメリットがあります。実は、PCOSの患者さんは、閉経後にメタボリックシンドロームになりやすいんです。ですから、若い頃から“グリスリン”のような成分を摂ることで、予防につながればいいですね。あらゆる可能性を秘めた“グリスリン”に、これからも注目していきたいと思っています」






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