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卵子と精子の質を改善する方法はある?

コラム 不妊治療

卵子と精子の質を改善する方法はある?

三軒茶屋ウィメンズクリニック

2016.11.14

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卵子と精子の質を改善する方法はある?



相談者:◎さん(42歳)
顕微授精を4回くらいしていますが、なかなか妊娠できません。1回につき1個程度は胚盤胞になります。卵子残存率は2.25と年齢の割には高いほうらしく、毎回卵子は15~16個くらい採れて、8割は受精しますが、胚盤胞に至らないものは3日目以降に発達が遅れてくるようです。夫は54歳で、自然妊娠するには精子の数が少ないのですが、顕微授精には十分な数とのこと。不妊原因は男性不妊といわれましたが、卵子と精子、どちらの質が悪いのでしょうか。どうしたら質が良くなりますか?ヨモギのホットナプキンをつけていますが、温めすぎてしまった?また、毎週高速バスを使って移動しているので、そのバスの振動や体への負担がうまくいかない原因なのでしょうか。


◎さんのデータ
【身長/体重】160cm/59kg
【月経について】40日 妊娠経験なし 生理痛等比較的軽い
【不妊の原因となる病名】男性要因
【現在の治療方針】ロング法 顕微受精
【精子の検査データ】精液量 調整前2.8 後0.5/精子総数(10の6乗/ml) 調整前45 後30/運動率 前42.2 後90/奇形率 26.7
【妊娠歴】なし
【治療年数】2年
【漢方薬・サプリメントの使用有無】女性側 カルニチン 葉酸






三軒茶屋ウィメンズクリニック 保坂 猛 先生

医学博士。聖マリアンナ医科大学卒業。同大学産婦人科、大田原赤十字病院、聖マリアンナ医科大学産婦人科医長・非常勤講師、ファティリティクリニック東京勤務を経て、2011年2月、三軒茶屋ウィメンズクリニックを開院。おひとり一人に合った最適な治療はもちろん、安心と優しさも提供。女性のライフパートナーとしての産婦人科医院を目指す。




 




保坂先生:卵子残存率、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が2.25ということで、42歳という年齢の割には高いので、おそらくPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)というバックグラウンドがあるのではないでしょうか。PCOSだと刺激を強くしないと卵が出てこないので、この方のようにロング法を使う施設もあるようですが、その代償として、今度は過剰に採れすぎてしまう。過剰反応するとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を起こして入院治療が必要になることも。そのような状況を防ぐために、当院ではOHSSを起こさず、卵子の数も比較的多く採れるアンタゴニスト法を選択しています。また、フェマーラというお薬を使う方法などもあるので、一度誘発法を変えてみてもいいかもしれませんね。
PCOSの人はたくさん卵子が採れても、なかなかいいものが出てこないので時間がかかってしまうかもしれませんが、可能性はまだあると思うので、前向きに治療を続けていただきたいと思います。
質を良くする方法ですが、治療以外ではなかなか難しいですね。心配されているホットナプキンやバスの振動については、着床などに直接影響することはありません。妊娠しやすくなるというエビデンスはありませんが、ご本人が安心するなら冷えを解消するグッズやサプリメントなどの使用を続けられてもいいと思います。
男性についても、残念ながら、何かをして劇的に精子の状態が改善するという方法はないというのが現状です。精索静脈瘤など治療して改善が期待できるケースなら、一度専門医を受診して、医師の判断をあおいでみてもいいかもしれません。


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