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ドクターが解説 !!生殖医療用語「染色体異常」

コラム 不妊治療

ドクターが解説 !!生殖医療用語「染色体異常」

2016冬 p88

2017.1.1

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難しい用語がいろいろと出てくる不妊治療の現場。治療でよく聞く用語だけど、あまり正確に知らないものも多いのでは?勘違いや思い込みを防ぐためにもしっかり確認しておきましょう。クリニックの先生に用語の解説をしていただきました。


 染色体異常


ヒトの細胞には22 対の常染色体と1 対の性染色体、つまり46 本の染色体があります(卵子や精子は23 本)。染色体異常とは染色体の数が多かったり少なかったり=数の異常、あるいは染色体の一部が欠けていたり、別の染色体と一部が入れ替わっていたり=構造に異常を認めるものです。
数の異常には、染色体数が1 ~ 2 本多かったり少なかったりする異数体と、その数が69 本、92 本などと基本数(ヒトは23)の3 倍以上となる倍数体があります。
異数体は、細胞分裂時に染色体が正常に分離しないために染色体の分配に多寡が生じたもので、女性の年齢に比例して上昇することが分かっています。相同染色体が3 本の場合をトリソミー、逆に1 本の場合をモノソミーといい、トリソミーは常染色体の13、18、21 番とX 染色体の4 種、モノソミーはX 染色体があり、これ以外のものは正常な発生ができません。ヒトでは受精した胚の約1 割が流産するとされ、流産の半分ほどが胚のトリソミーに起因しているといわれています。倍数体は染色体が多すぎるため正常な発育ができず、流産や死産となります。
一方、染色体の構造異常は、欠失、重複、逆位、転座の4 つに大別されます。欠失は染色体の一部が切断され欠けたもので、放射線や一部の化学物質などにより生じます。重複は染色体のある部分が二重になっているもの、逆位は同じ染色体内で2 か所が切断され、その部分の向きが逆に融合したもの、転座は染色体の一部が染色体内もしくは染色体間で入れ替わったものです。
 転座の中でも別の染色体の一部と入れ替わったものを相互転座といい、染色体のもつ遺伝情報量に変化がないため、染色体異常があっても健康であり、外見上何の変化も認めません。しかし、卵子や精子には正常でない染色体が現れるため、不妊や流産の
原因となります。
染色体異常は自然発生的なもので、原因はわかっていません。しかし、一部は放射線や紫外線、化学物質、活性酸素や喫煙などが要因になると指摘されています。





笠岡レディースクリニック 笠岡 永光 先生

滋賀医科大学医学部卒業。滋賀医科大学医学部産科婦人科学講座入局。守山市立守山市民病院、呉共済病院、真心会野村産婦人科勤務などを経て、2007年に笠岡レディースクリニックを開設。

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出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter
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