妊娠中の風邪と胎児への影響は?薬の服用や予防法、対処法
インタビュー 妊娠・出産
妊娠中の風邪と胎児への影響は?薬の服用や予防法、対処法
妊娠中は免疫力が低下しているため、普段にくらべても風邪をひきやすくなっています。「風邪っぽいかも」と感じたら、妊娠前はとりあえず市販の風邪薬を飲んで様子をみていたものの、妊娠中は、お腹の赤ちゃんへの影響が気になりますよね。 今回は、いけした女性クリニック銀座の池下育子先生に、妊娠中の風邪や、薬との付き合い方について話をお聞きしました。
妊娠中の風邪と胎児への影響は?薬の服用や予防法、対処法
2017/3/17 池下育子(いけした女性クリニック銀座)
今回は、いけした女性クリニック銀座の池下育子先生に、妊娠中の風邪や、薬との付き合い方について話をお聞きしました。
▼ もくじ
- 風邪をひいても、自分の判断で薬を服用しないで
- 妊娠初期は特に要注意の薬がある
- 抗ウイルス剤、抗生物質も警戒して
- まとめ
風邪をひいても、自分の判断で薬を服用しないで
妊娠中、もし風邪をひいてしまったらどうすればいいのでしょうか。
微熱程度であれば、自宅で安静に。症状がひどくならない限りは自然治癒に頼りましょう。
たんぱく質・カルシウム・ミネラル・ビタミンCといった栄養素を積極的に摂取したり、ぬれマスクをして過ごすことで、比較的はやく回復する場合もあります。
それでも、
咳がとまらない
鼻水が出る
頭痛がする
高熱
といった症状が続くようであれば、かかりつけの産科を受診しましょう。
くれぐれも手もちの咳止め、鎮痛剤、風邪薬を自身の勝手な判断で服用するのだけはやめてください。赤ちゃんへの影響もありますし、薬の飲み合わせがよくないものもあるからです。
妊娠中は特に用心して、市販薬も含め一つひとつ薬の成分を医師に確認してから服用することをおすすめします。
妊娠初期は特に要注意の薬がある
妊娠中の薬の服用で気をつけたいのは、服用時期と薬の種類です。
●服用時期
特に妊娠初期は、赤ちゃんの大事な臓器が形成される時期であり、薬の影響を受けやすい時期でもあります。一部の薬の服用によって奇形が発現する可能性もあります。
●薬の種類
薬の種類で言えば、解熱剤と咳止めが要注意です。
バファリンやロキソニン、ボルタレンといった市販の解熱鎮痛剤を妊娠28週目以降に服用すると、赤ちゃんの心臓血管に影響することがあります。
38.5℃以上の高熱が続き、赤ちゃんの心拍もドキドキしてきている時には解熱剤を使う場合もあります。病院では、妊娠中にも使える解熱鎮痛剤を処方するようにしています。
また、熱を下げる薬がその人にとって危険な場合は、抗菌剤を出して咳から肺炎にならないよう対処をすることもあります。
咳止めの中には、腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑える作用をもつものもあり、服用することで便秘になってしまう場合があります。その時に便秘薬を飲んでしまうと、ふたたび活発に動き出した腸が子宮を刺激し、切迫流産などを引き起こしてしまうケースもみられます。
医師は常に風邪の症状と赤ちゃんへの弊害とを天秤にかけて薬を処方しています。ですから、安心・安全のためにも、病院で処方してもらった薬を服用するようにしましょう。
抗ウイルス剤、抗生物質も警戒して
ほかにも、クラミジアなどの治療で抗菌剤として使われるテトラサイクリン系抗生物質が、赤ちゃんの歯の発育に影響を及ぼす場合があると言われています。妊娠中は絶対避けたいものがあるので気をつけてください。
妊娠中の風邪予防は徹底する
妊娠中に薬の服用をせずに済ませるためには、風邪をひかないよう日頃から予防を徹底するのが一番です。次のことを心がけてください。
●帰宅したら手洗い、うがいを励行する
手洗いとうがいをあなどってはいけません。これだけでかなりのウイルスを体内にもち込まずに済みます。
●バランスのとれた食事と十分な睡眠を
特に、つわりがはじまると食欲も落ちてしまいがちですが、高タンパク、ミネラル、カルシウム、ビタミンCをしっかり摂取しましょう。また、しっかり眠ることも大事です。
●できるだけ人混みに入らない
外出時、どうしても人混みを歩かなければならない時はぬれマスクを着用してください。病原菌は鼻とのどから入ってくると言われています。ここを保湿するだけでもだいぶ違うはずです。
池下先生より まとめ
特に妊娠初期の方にはお薬を処方したくないというのが本音です。なので、まずはうがい・手洗いで風邪予防に努め、それでも風邪をひいてしまったら医者に相談してください。それが一番です。