情熱のカルテ 厚仁病院 生殖医療部門 松山 毅彦 先生
コラム 不妊治療
情熱のカルテ 厚仁病院 生殖医療部門 松山 毅彦 先生
不妊治療にかける想い
不妊治療に携わることになった理由やそれにかける想いなどをお聞きし、ドクターの歴史と情熱を紐解きます。
※2018年8月27日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn」の記事です。
生殖医療との出会い
――松山先生は、いつ頃から生殖医療の道に入ろうと決めていたのでしょうか。
「実は最初は、外科医になりたいと思っていました。今でこそ外科医を志望する学生は少ないと聞きますが、その頃は海外ドラマなどの影響もあり外科医に憧れる人が多かった時代です。私も外科もしくは外科系の科に進みたいという気持ちをもっておりました。その中から産婦人科を選んだのは一言でいうと「いろいろなご縁があったから」です。
東海大学で臨床研修医になってからは、いろいろな医局を経験しました。あの頃は忙しい仕事の合間をぬって論文を読まなければならず大変でしたが、がむしゃらに頑張った日々はいい思い出です。
東海大学産婦人科は当時より生殖医療の診療、研究、教育が盛んであり、また私の大学院のテーマも生殖医療であったことからおのずと生殖医療に興味をもつようになりました」
――東海大学で博士号を取得した後、進路についてどのように考えていましたか。
「博士号をいただいた後、そのまま大学に残るか、大学を離れてどこかの病院で働くか、どうしようかと考えたりもしましたが、結局大学に残ることにしました。特にほかの病院に行きたいと思っていたわけでもなく、好きな仕事ができていければよいと思っていたからです。
ところが、思わぬご縁があり加藤レディスクリニックの加藤修先生及び永遠幸レディスクリニックの道倉康仁先生の元で修業をさせていただくことになりました。在籍したのは1年半ほどでしたが、大学では経験できないようなことばかりでとても勉強になりました。また、10年以上在籍した東海大学での生殖医療の経験があってこそ、加藤レディスクリニック、永遠幸レディスクリニックで学ぶことがより会得しやすかったとも思います」
大学と個人病院で得た 幅広いネットワークが財産に
――その後、厚仁病院の院長(現理事長)となったわけですが、きっかけは何でしょうか。また、開業してから変わったことはありますか。
「厚仁病院は義父が理事長を務めていた病院で、義父の誘いもあり、産婦人科を開設することになったのです。
現在は、私が主に生殖医療、妻が主に産科を担当しています。生殖医療担当の常勤医は私1人なので、スタッフとうまく意思疎通ができるようにいつも注意を払っています。そのための情報共有ツール等を常々探しているところです。厚仁病院で産婦人科を開設してしばらくの間は生殖医療をさらに学ぶため、週に一度、大阪のクリニックまで研修に行っていました。そうしてさらにいろいろなことを会得できたと今でも思っております」
――現在、松山先生は毎日朝から晩までお忙しく診療に従事し、ハードな毎日を送っていらっしゃいますが、そのパワーの源は何なのか気になります。
「確かに体力的にはハードですが、仕事がすごく楽しいのでしんどいと思ったことはありません。むしろ、1日24時間ではなくその倍は欲しいとさえ思っています。医療の世界は常に進歩しているので、新しいことに出合う楽しさもあり、あっという間に1日が過ぎてしまうんです。
また、不妊治療と一口に言ってもその原因や対策は患者さんによってさまざまなので、いろいろな情報に対して幅広くアンテナを張っておくことが大事だと思っています。
泌尿器科医による男性不妊の方の診療にも、比較的早く取り組みましたし、最近では鍼灸施術も始めました。これらはまず自分が勉強・検証してから始めることが多いですね」
常に高いクオリティの 医療サービスを目指す
――より高度で新しい医療技術の情報は、どのように収集しているのでしょうか。
「人との繋がりのなかで教えていただくことが多いです。私の場合は、生殖医療が盛んであった東海大学出身であることから、その繋がりが大きいです。また、今は亡き加藤修先生と現院長である加藤恵一先生を始めとする加藤レディスクリニックの先生方、胚培養士、看護師さん方と今でも交流があり、ヒントも多数いただけております。また、生殖医療専門医を取得する際にお世話になり、今もいろいろとアドバイスをいただいている苛原稔教授を始めとする徳島大学の先生方とのディスカッション等から得られることも多く、私の大切な糧となっております。
また、各学会、研究会等でお会いする先生方とお話しする機会がありますが、私の不躾な質問に対しても、皆、快く回答してくださり、数多くのヒントをいただけております。各先生方との繋がりがあるお陰であらゆる分野の勉強ができています。
一方でたまには息抜きしたいところではあります。映画鑑賞、鉄道趣味等、やりたいことは多数ありますが、いかんせん時間もなく、空想の世界を漂っております」
――今後の厚仁病院について、展望を教えてください。
「すべての源泉は、患者さんに対して常に高いクオリティの医療サービスを提供したい、という思いからです。忙しい毎日ですが、患者さんとそのご家族の希望を叶えていくためには、常に新しいことへの勉強は欠かせません。
当院が今後も末永く皆様から選ばれていただける病院であり続けられるように日々研鑽していくつもりです」
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn
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