胚培養士と患者さんの垣根を越える「見えるラボ」を実現
コラム 不妊治療
胚培養士と患者さんの垣根を越える「見えるラボ」を実現
不妊治療において、ほとんど見ることのない胚培養室と実際に受精卵を扱う胚培養士(エンブリオロジスト)の方々。ある意味、ブラックボックスといわれる空間を「見せる」ことにこだわった浅田レディースクリニックのラボをご紹介します。
※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。
浅田メソッドで育てた胚培養士と技術はラボを通じて見てもらえます
私自身、アメリカで顕微授精の研究に携わり、ピペットづくりなどもしてきたので、胚培養についてはこだわりと自信があります。実際、胚培養士には資格や試験がないので、ナカジマクリニック不妊センターを開設した時は、毎年1人ずつ新しい胚培養士を教育しながら増員してきました。今では3つの浅田レディースクリニックで42名全員、私と同じマインドで働いていると自負しています。
胚培養士たちには常に「プロの胚培養士は人の卵を命として扱う」よう指導しています。しかし、胚培養士が実際自分の卵をどのように扱っているか患者さんは不安ですよね? そこで胚培養士と患者さんをつなぐ「見えるラボ」を作りました。名古屋のラボが好評で、今年品川に開院した際も、森の中の小道をイメージした「木漏れ日テラス」を通って、森の中で生命のあたたかみを感じられるラボの見学ルームを作りました。
「生命を育む森」をコンセプトに、
明るく開放的な培養室を実現しました。
Q1:どのようなきっかけで胚培養士になろうと思ったのですか?
Q2:ふだん、胚培養士の方はどのようなお仕事をしていますか?
胚培養士は、患者さんの大切な卵子や精子をお預かりし、受精操作や胚移植など胚培養にかかわるすべての業務を行っています。
一日の流れは、午前中に採卵、精子処理、受精卵凍結・融解などを複数人で同時に進めています。午後は顕微授精、胚移植、夕方からは胚培養士の技術を高める研修を行っています。当院では、浅田メソッドの元、全員が高い技術で患者さんに貢献できるよう、日々技術を磨いています。1人の患者さんの受精卵を1人の胚培養士が担当せず、必ずダブルチェック体制をとり安心安全な胚培養を心がけています。胚培養にかかわる全員が同等の高いレベルで技術を発揮できるようにしているのも浅田式です。
Q3:「木漏れ日テラス」に対しての思いを教えてください。
当院は受精卵全凍結(FreezeAll)を行っています。その生存率は99・9%を維持し、胚培養士は全員高い技術を習得しなければ臨床には入れません。
しかし、いくら患者さんに培養室のレベルを言葉で伝えても、患者さんの「培養室が見えない不安」はなくなりません。名古屋駅前を開院した際、患者さんの不安を少しでも払拭してもらおうと見学ルームから培養室が見えるラボをつくりました。たくさんの患者さんに来ていただき、見えることで安心や信用につながると言っていただいています。そこで、品川を開院する際は発展形である「木漏れ日テラス」をつくりました。木漏れ日テラスでは、患者さんが気軽に胚培養士と話せたり、胚培養の設備を見たりと、全く新しい患者さんと胚培養士の関係構築を目指しています。ここに来て、ぜひ生殖医療をもっと身近に感じてください。
- メッセージ
「木漏れ日テラス」をご案内します - 品川のクリニックでは、患者さんに「木漏れ日テラス」から培養室をご案内しています。ここで最新の設備を見学したり、胚培養士と気軽に話してもらいたいと思っています。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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