ウルトラロング法をすすめられましたが…
コラム 不妊治療
ウルトラロング法をすすめられましたが…
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※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。
- みうさん(28歳)からの相談/span>
ウルトラロング法 - 私は子宮内膜症(左右14~17mm程度)があり、AIH4回やりましたがNGだったので、体外受精をすることに。私はロング法でいくつもりでしたが、病院の方針で内膜症の人はウルトラロング法を実施しているといわれました。ウルトラロング法は3カ月スプレキュア®を使用して生理を止め、そこから採卵をする方法で、正直、採卵までに3カ月もかかるのがちょっと嫌だなと思っています。受精卵を戻す際も採卵から2カ月様子をみて子宮内を整えてから移植するのでトータルで5~6カ月かかるため、早く授かりたい私としてはロング法でいきたいです。そして現在スプレキュア®を使用していますが、副作用も出始め、これをあと2カ月以上やるのかと思うと不安です…。
- まとめ
- ●この程度の子宮内膜症なら通常の卵巣刺激でいいのでは。
●治療を受ける場合は、納得して受けることがとても大切です。
みうさんは、子宮内膜症「左右14~17 mm程度」との診断でした。着床をはじめ、妊娠するにあたって影響はありますか?
1子宮内膜症とは、子宮の内膜組織と似た組織が、卵巣や子宮の筋層部分などにでき、生理のたびに出血を繰り返す病気です。血液は外に排出されずに溜まるため、炎症や痛みを引き起こすことがあります。
子宮内膜症が左右あるとのことで、チョコレート囊胞と思われますが、大きさが14~17 mm程度なので軽症といえます。
子宮内膜症のなかでも子宮自体が腫大してしまう子宮腺筋症のある場合は、着床障害などの影響が出る可能性があります。ただ、みうさんの場合ですと、受精卵が着床するには問題ありません。
みうさんはウルトラロング法を適応されたとのこと。そのメリットをお教えください。
ウルトラロング法は、生理がこない状態を長い間つくり、そこから排卵誘発剤の投与を始めて採卵するのが特徴です。
メリットは、排卵の時期を点鼻薬や注射剤などの薬でコントロールさせるため、採卵のスケジュールが立てやすくなります。LHが分泌されやすい人の場合には、薬でコントロールすることで卵子の質をあげることができるという特長もあります。さらに、FSHが高い場合は、点鼻薬で下垂体ホルモンを長い間抑制することで数値を下げられるため、卵巣機能を改善できます。また長期間にわたって生理を止められるため、子宮の炎症や腫れが落ち着き、子宮内膜の状態を整えられる面もあります。
デメリットは、採卵までのスケジュールが長いという点です。また、長期間にわたって薬をたくさん使う点があげられます。
みうさんの主治医がウルトラロング法をすすめる理由は、過去に同じような病状の患者さんにウルトラロング法をやって妊娠に結びついた例があるからだと考えられます。
福田先生も治療にウルトラロング法を選択することはありますか?
当院では子宮内膜症だからといって即、ウルトラロング法を適応することはありません。ピルを連続投与してもFSHが高い方などに適応する場合があります。
チョコレート囊胞は軽度なので、ロング法でもショート法でも治療は可能と考えられます。また内膜の状態を整える必要がある場合は、採卵周期に移植せず、凍結して次周期以降に移植する方法を取っています。
その他にアドバイスがありましたらお願いします。
治療を受ける際は、医師が提案する治療方法について納得して受けることがとても大切です。医師がその治療法をすすめる理由をじっくり聞いたうえで、治療方法を相談してみるといいでしょう。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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