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ご夫妻に寄り添い母の気持ちで受精卵の成長を見守る胚培養士【Focus!チーム医療】

コラム 不妊治療

ご夫妻に寄り添い母の気持ちで受精卵の成長を見守る胚培養士【Focus!チーム医療】

生命の誕生を手助けする胚培養士。内田クリニックでは、医師、胚培養士、看護師が大切な患者さまとしっかりと向き合い、ともに情報を共有し、心の通った生殖医療の充実を目指しています。

2019.7.11

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生命の誕生を手助けする胚培養士。内田クリニックでは、医師、胚培養士、看護師が大切な患者さまとしっかりと向き合い、ともに情報を共有し、心の通った生殖医療の充実を目指しています。


※2019年5月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer」の記事です。


お話を伺った先生のご紹介

内田クリニック 内田昭弘先生



島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、1987年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。
1997年に内田クリニック開業。
生殖医療中心の婦人科、奥様が副院長を務める内科、大阪より月1回来院の荒木先生による心理カウンセリングをもって現在のクリニックの完成形としている。
今年は開院20周年を迎え、「島根県で初めて、不妊治療中心の婦人科クリニックを35歳で開業し、皆さんに支えられてきました。
これからも、与えられた使命を全うするべく前に進みます」と、気を引き締める内田先生です。 


技術職にもご夫妻と直接対面を。気持ちに寄り添うことを大切に


胚培養士は、妊娠を目指すご夫妻から採取した卵子と精子をお預かりし、体外受精や顕微授精を行い、受精卵の成長を見守るお仕事をしています。
受精卵のクオリティーを保つよう環境を整えることはもちろんのこと、当院では、胚培養士が患者さまと直接、面談も行います。ご夫妻が来院までをどのように過ごしていたのか、どんな気持ちでこの治療に臨んだのかをわかってから卵子や精子を扱い、培養を進めます。そうすることで単なる技術職ではなく、生命誕生の手助けをしていることへの自覚が生まれ、仕事へのモチベーションが上がると考えるからです。
これからの生殖医療に大切なことは、従来のように医師がすべてを担うのではなく、看護師や胚培養士がそれぞれのポジションで専門性を発揮し、互いに情報共有しながら治療を進めていくことだと思っています。


Q1:培養士になったきっかけを聞かせてください。


先久さん●大学は教育学部で、理科専攻でした。医療関係に進みたかったので、内田クリニックを就職活動の見学で訪問しました。その頃、長期培養が可能になった時期で、見せていただいた胚盤胞の胚が生命力にあふれ、とてもキラキラしていて感動したのがきっかけです。
前川さん●大学の生物資源学部生命科学科で植物の勉強をしていました。胚培養士の仕事は生物の授業で知り、生命の誕生に興味をもち、内田クリニックに就職しました。


Q2:胚を観察している時は、何をチェックしていますか?


先久さん●胚の分割の進み具合や、いいタイミングできれいに分割しているかどうかです。フラグメンテーションといって、受精卵にぶつぶつしたものが出ることがありますので、その量も見ています。去年、受精から胚盤胞になるまで見ることができる機械「タイムラプス」を導入し、受精卵を一定の時間ごとに画像で確認できるようになりました。培養器に入れたままモニターを通して観察ができるとても画期的な装置で、観察時に受精卵が外気にさらされるストレスもなくなりました。
前川さん●受精卵がきれいに分割をしているとほっとしますし、神秘的で、見とれてしまいます。




培養室は、温度管理、ガスの管理などがきちんとできる清潔な環境が大切。内田クリニックでは、精子や受精卵を必ず二人で確認するダブルチェックを採用。


Q3:培養している時に心がけていることは何ですか?


先久さん●培養室は二重扉で仕切られていて、手術室と同レベルのクリーンな環境を保っており、患者さま個々の培養庫で培養することで、開閉を少なくし受精卵の過ごしやすい環境を整えています。そして、患者さまの顔を思い浮かべながら精子・卵子をお預かりし、培養をさせていただいています。結果をお伝えする時には、たとえよくない結果でも、何か方法を見出すことができるという思いで、患者さまの気持ちに寄り添いながらお話しすることを心がけています。
前川さん●培養室は共同作業が多く、情報をしっかり共有します。患者さまとも対面し、心を込めて仕事に当たっています。いい受精卵が育ってほしいと、いつも祈るような気持ちです。


胚培養士/先久幸さんからメッセージ
患者さまへのメッセージ
受精卵をお預かりしている間は、母のような気持ちでお世話をしています。胚を子宮に戻した後は、「お母さんのもとに帰れたね、よかったね」という気持ちです。不安や葛藤を抱えながらの不妊治療ですが、少しでも力になりたいので、何でも相談をしてくださいね。

胚培養士/前 桂子さんからメッセージ
患者さまへのメッセージ
お母さんの卵管にまさる環境はありませんが、少しでも近づいた環境を整えられるよう、日々努力をしています。卵子は、加齢とともに老化します。その認識をもって、早めの妊活をおすすめします。

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.42 2019 Summer
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