卵子提供について/コウノトリ生殖医療センター
コラム 不妊治療
卵子提供について/コウノトリ生殖医療センター
近年、日本からの患者も増加している台湾。その多くは、日本で行うことが難しい卵子提供による治療といわれています。現地ではどのような治療を行っているのか、コウノトリ生殖医療センターの賴興華先生にお話を伺いました。
どの様な女性が卵子提供の治療に適していますか?
多くの時間を費やしたのに、子供を授かれない方へ卵子提供は解決への一つの糸口となります。不妊は現代人の共通の課題となっています。その主な原因は以下となります。
・卵巣機能の衰退:社会の変化により晩婚化や高齢出産は既に常態化しています。
しかし、卵巣機能は年齢と共に衰えていきます(下図参照)。
・手術や治療による卵巣機能の喪失:治療前に卵子の凍結保存をしていなかった場合。
・生活環境の影響等による原因不明の早期卵巣機能衰退。
43歳の方が人工授精で赤ちゃんを出産できる確率はたったの3.5%です。
子供が生まれるまで平均120個の卵子が必要となります。
高齢出産のリスクや出産後の養育の問題については熟慮が必要となりますが、卵子提供は治療の一つの選択肢になると言えます。
卵子提供を検討するケース
1.43歳以上の高齢の方
2.遺伝性疾患,卵巢先天性異常、ターナー症候群
3.三回連続で空胞となった場合
4.三回連続で受精できない卵子となった場合
5.三回連続で移植や冷凍ができない胚となった場合
6.卵巣機能不全、早発閉経
閉経後でも卵子提供を受けることは可能かよく聞かれています。
正常な子宮は7×4cm程度の大きさです。閉経済みの女性の子宮は萎縮が始まっており、女性ホルモンも不足しています。医師は患者様の状況を確認した後、女性ホルモンの投与により子宮を妊娠可能な状態まで調整します。通常、2-3個月かけて着床に最適な状態まで子宮内膜の厚さを調整していきます。ですので、婚姻関係が有るご夫婦なら、閉経後も子宮が正常でさえ有れば、年齢に関係なく妊娠の機会を得ることができます。
女性の年齢は人工生殖による妊娠率や出産率を左右する大きな要因となります。40歳以上、卵巣機能不全、早発閉経での出産を望む場合は、卵子提供を利用した方が高齢出産による影響を避けられるだけでなく、長く他の不妊治療を続けられるよりも、将来子供と過ごす時間を長く持てる結果にもなります。
台湾の法律について
近年、卵子提供や精子提供治療が受けられる病院や治療の実施を許可する国家が増加傾向にあります。
ですが、運用が個々の病院任せになっているために、或いは法律が整備しきれていないがために、しばしば問題が発生しています。
台湾の卵子提供は合法です。2007年に公布された人工生殖法により政府の管理下で合法に精子、卵子バンクの運用及び精子、卵子提供の治療が行われています。
卵子提供についてよくある質問
Q1:台湾では卵子提供は合法なのでしょうか?
A:台湾の卵子提供は合法です。2007年に公布された人工生殖法により政府の管理下で合法に精子、卵子バンクの運用及び精子、卵子提供の治療が行われています。
Q2:自分の姉妹や兄弟、或いは友人のドナーになる事は可能でしょうか。
A:台湾の人工生殖法ではドナーとレシピエントの双方は互いを知ることができない匿名性を取っています。対象を指定してドナーとなることはできません。
Q3:ドナーの情報はどこまで知ることができますか?写真を見ることはできますか?
A:台湾ではドナーの人種、皮膚の色、血液型を確認することが可能です。それ以外の情報はお伝えしておりません。
Q4:ドナーの精子、卵子、胚を国外に持ち出すことは可能でしょうか。
A:人工生殖法の規定により、ドナーの細胞を国外に輸送することはできません。
Q5:独身ですが、卵子提供を受けることは可能でしょうか。
A:人工生殖法の規定により、卵子提供を受けるには必ず法的な婚姻関係を結んでいる必要があります。
Q6:卵子提供と精子提供を同時に受けることは可能でしょうか。
A:人工生殖法の規定により、卵子か精子いずれか一方は、ご夫婦のものを使用する必要があります。精子と卵子の提供を同時に受けることはできません。
遺伝子的な繋がりはなくとも、母親のお腹で育てて産むのですから、ご夫婦自身の子どもであることに間違いはありません。
安心できる法律の管理で卵子提供の治療に進んで、ママへの道、一緒に最後まで歩きましょう。
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