【Q&A】子宮内膜が厚くならない -浅田先生
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【Q&A】子宮内膜が厚くならない -浅田先生
多嚢胞性卵巣症候群の上、子宮内膜が厚くなりません。いい方法はありますか?浅田レディースクリニックの浅田義正先生に伺いました。
相談者:かおりん(36歳)
4月に4回目の採卵を行い初めて3個、凍結出来ました。その周期はOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の為移植は見送り、次の周期からエストラーナテープをしようしましたが、子宮内膜はMAXで6ミリ、デュファストンを使用したら5ミリになり、移植はキャンセル。次の周期は少量のフオリルモンを使用しましたが、10個位卵胞が出来てしまい内膜5ミリ。なかなか移植にたどり着きません。
他に方法はありませんか?
多嚢胞性卵巣症候群ということですが、、
多嚢胞性卵巣症候群、4回採卵し初めて3個凍結できたとのことですが、本来、多嚢胞性卵巣症候群の方は卵子が沢山採れるはずです。採卵数が少ないということは、多嚢胞性卵巣症候群に対する正しい卵巣刺激が出来ていない証拠だと思います。その上で、数が少ないにもかかわらずOHSSになったとありますが、アンタゴニスト法でhCGを使わずGnRHアゴニストを使えば、OHSSはまず発症しません。
子宮内膜を厚くするには?
子宮内膜が薄いとのことですが、子宮内膜を厚くするため、私も20年余り前から色々な薬剤を試してきました。現在の私の方法は、血中エストラジオール値をある程度の濃度に保って、一定期間待つという方法です。テープを多く貼ったり他の薬剤を使うという方法では、一向に効果はみられませんでした。子宮内膜は、子宮内膜の基底層にある幹細胞(stem cell)が細胞増殖することによって、毎月経周期に厚くなっていきます。ですから、もともとの幹細胞が少なければ、厚くなるのに時間がかかると考えています。
ただ、ごくまれに、子宮内膜が非常に薄い方がいて、このような方法でも対処できない場合があります。
子宮内膜は、血管の塊のような子宮の中で、胚を低酸素環境で培養するために厚くなります。厚くなって血管からの距離をとることで低酸素環境を保つという説があり、私もそれを支持しています。私は、どうしても子宮内膜が厚くならない人に対しては、着床の時期に抗酸化剤を多量に飲んでいただき、身体全体の環境を低酸素状態にして着床を促すという方法を以前から採用してきました。この方法で、20年余り前に5mm位の内膜で双子が生まれたこともあります。
私が考案したサプリメントである「Asadaサプリ」は、このような抗酸化剤を最大量に詰め込んでおり、一般的には老化防止目的ですが、内膜が薄い人にも効果があると考えています。また、抗酸化剤に加え、ペントキシフィリンという薬剤も使用することがあります(現在、日本では販売されていないため輸入して使用しています)。