【Q&A】潜在的高プロラクチン血症後の胚移植-浅田先生
専門医Q&A 不妊治療
【Q&A】潜在的高プロラクチン血症後の胚移植-浅田先生
潜在的高プロラクチン血症と診断され、カバサールを服用しました。浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。
相談者:aymさん(35歳)
35歳の主婦です。
結婚して7年目になります。
以前体外受精をしましたが、6個採卵中胚盤胞までいったのは1個で妊娠には至りませんでした。
一度不妊治療を止めて最近検査をしたところ、潜在的高プロラクチン血症と診断され、カバサールを週に1回4週間服用しました。
以前からAMHの値が低く、今回2.7でした。
LHとFSHの値は高く、自然妊娠は難しいと言われ、精子の運動率もあまり良くなく、今回顕微授精をすることになりました。
今回は9個採卵中胚盤胞までいったのは1個でした。
潜在的高プロラクチン血症は着床障害を引き起こすとネットで見ましたが、これは改善されたと思っても良いのでしょうか?
今、葉酸のスピルリナ、マカ、ソイプロテインを飲んだり、ジムで運動や、ウォーキングをしています。
着床率を上げる方法や、胚移植までにできることなどあればアドバイスをお願いします。
AMHの値は低い?
AMHが2.7で、卵巣予備能が低いということですが、現在、AMHはng/mlという単位で測定値がでます。その測定値であれば2.7 ng/mlというのは決して低い値ではありません。もし、測定された先の医師が2011年までの測定単位pM(ピコモル)を使用されていれば、2.7という値は現在のng/mlに換算すると0.3 ng/mlと非常に低い値となります。
ただ、アンタゴニスト法で6~9個の卵子が採れているのであれば、2.7 ng/mlに相当していると思いますので、それほど卵巣予備能は悪くないと思います。
潜在性高プロラクチン血症だと着床しにくい?
潜在性高プロラクチン血症を気にされていますが、不妊治療の世界で潜在性高プロラクチン血症が話題になったのは30年以上前になります。
私も以前はTRHテストを行っていましたが、潜在性を無理に検出するメリットが無く、生理が止まるほどプロラクチン値が高い方は治療の対象となりますが、生理があれば無理にプロラクチン値を下げる必要はありません。
潜在性ということは通常の採血では正常範囲内のプロラクチン値なので、治療をしても、治療をしなくても結果的には妊娠率は下がりません。かえって、プロラクチン値を下げすぎることが着床によい影響を与えないのではないか、という説もあります。
ですから、潜在性高プロラクチン血症が着床障害を引き起こす、とネットで見られたそうですが、それは何十年も前のうわさ話のようなものだと思ってよいと思います。それを信じている医師は殆どいないと思いますし、現在そのような事を言う専門家もいないと思います。
着床率を上げるには?
妊娠率は卵子の年齢に比例します。卵は子宮内膜に着床しますが、それは動物が哺乳類に進化して始まったことであり、それ以前の動物には子宮はありません。卵は本来、体外に産み、体外で受精する方が一般的ですし、それが勝手に育つというのが卵の本質です。人においても子宮外妊娠は子宮がないところで胎児が育ちますし、他人の子宮へ受精卵を移殖しても、採卵時の卵子の年齢で妊娠率が決まりますので、着床率を上げる方法等は特にはありません。
妊娠への一番の近道は、きちんとした不妊治療を受けて、受精卵を多く作ることです。
前回の採卵では6個、今回の採卵では9個の卵が採れ、それぞれ1個しか胚盤胞までいかなかったということは、成熟卵をちゃんと採る調節卵巣刺激がされていないのではないかと思います。卵は一見すると成熟しているようでも、中身が未熟だと受精率や胚盤胞到達率も悪くなります。
正しい卵巣刺激を受けることができる施設に転院された方がよいのではないでしょうか。