潜在性高プロラクチン血症。カバサールⓇを飲み続けるべき?
コラム 不妊治療
潜在性高プロラクチン血症。カバサールⓇを飲み続けるべき?
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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。
- ららさん(39歳)からの相談
▶潜在性高プロラクチン血症、薬は飲み続ける? - 潜在性高プロラクチン血症についてお尋ねいたします。以前通っていた病院では「高すぎてもダメだし、低すぎてもいけない」ということで定期的に血液検査をし、それに合わせてカバサールⓇを服用していました。新しい病院では定期的な検査はなく、「妊娠するまでカバサールⓇを服用する」といわれました。飲み続けることによって極端に値が低くなるなど、どういった弊害があるのでしょうか。新しい病院でも検査をまめにしてもらったほうがよいのでしょうか。
- まとめ
- ●「潜在性」は日中に正常値でも夜間に値が高くなる。
●1カ月に一度プロラクチン値を調べ、ホルモンバランスに注意を。
潜在性高プロラクチン血症とはどのような病気なのでしょうか。
プロラクチンは本来、授乳期間中に分泌され、お乳の出を促進させる働きがあるホルモンです。これが妊娠前に過剰に分泌されると排卵障害や黄体機能不全を引き起こし、不妊の原因になってしまうんですね。
血液検査で調べて、血中のプロラクチン値が高ければ高プロラクチン血症という診断がつくのですが、日中は正常値であっても夜間になると数値が上昇してしまう人がいます。このようなケースを潜在性高プロラクチン血症といいます。
通常の検査ではなかなか見つかりにくいので、疑いがある方はTRHテストという検査を行うことも。甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンであるTRHを注射して、15~30分後に採血。プロラクチン値が高ければ潜在性高プロラクチン血症と診断されます。
ホルモン数値が上がってしまう原因は?
原因についてはまだはっきり解明されていませんが、器質的な問題のほか、腫瘍や他の科で処方されている薬の影響で値が高くなってしまうこともあります。
当院では35 ng/ml以下を正常値と判断しています。下垂体腺腫などがあると100 ng/ml以上になることも。極端に高い場合は、脳外科でのチェックも必要だと思います。
また、抗うつ剤など精神科のお薬を飲んでいる方はプロラクチンの値が上がる傾向があります。このようなことが原因で異常をきたしている場合もあるので、治療する前に問診でその方の背景をきちんと確かめることが必要だと思います。
治療のためにカバサールⓇを服用されているようですが、このまま飲み続けても問題ありませんか。
治療の第1選択肢はカバサールⓇの服用で間違いないと思います。多くの場合、このお薬でプロラクチンの値が下がり、副作用もほとんどありません。たまに便秘を訴える方がいるくらいでしょうか。通常、カバサールⓇは1週間に1回の服用で、妊娠するまで使うことが多いですね。
ただし、ホルモンはバランスが重要ですから、極端に下がりすぎてもよくないのは確かです。1カ月に1回くらい採血で値を調べて、20 ng/ml程度に保たれていればそのまま飲み続け、3〜4 ng/mlなど下がりすぎていればしばらく休薬するか、1週間に1回を10日に1回にするなど、間を開けるようにします。
カバサールⓇは正しく使えば心配なく使えるお薬で、クロミッドⓇなど排卵誘発剤と併用しても問題ありません。体外受精時、OHSSの症状を改善するためにも使われています。プロラクチン値が改善され、排卵がうまくいけば妊娠の可能性は十分あると思いますね。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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