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良好な受精卵を移植しても初期の流産が続きます

コラム 不妊治療

良好な受精卵を移植しても初期の流産が続きます

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2020.4.7

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※2020年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring」の記事です。


マリーさん(38歳)からの相談
▶︎体外受精4回の結果
4AA、5BB、5AAなどの胚盤胞移植を4回(6個)行って陽性反応が2回出たものの、1回目はBT15のhCGが1000mIU/mlで胎囊確認後、2回目はBT14のhCGは1186mIU/mlで胎囊が確認できずに初期流産。不育症検査を予定しています。hCGの数値と流産は関係ありますか? 2周期後に採卵予定ですが、良質な卵子が採れるように次周期の生理はピルを使わず、自然にくるのを待ちます。ただ多囊胞性卵巣症候群で生理不順です。プラノバールⓇなどでリセットしたほうがいいのでしょうか?

お話を伺った先生のご紹介

石原 尚徳 先生(久保みずきレディースクリニック)


高知大学医学部卒業後、神戸大学医学部大学院修了。医学博士。兵庫県立成人病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008 年より久保みずきレディースクリニック菅原記念診療所勤務。不妊治療から周産期・小児医療まで、地域に根ざした総合的なサポート体制が整う同クリニックで、不妊治療/婦人科、産科の外来を担当する。

≫ 久保みずきレディースクリニック

hCGの数値と流産は関係あるのでしょうか。


hCGは妊娠初期の受精卵から分泌され、妊娠の維持に欠かせないホルモンです。hCGがかなり低いと流産の可能性は高くなります。マリーさんの数値は、1回目はBT 15で1000mIU /ml、2回目はBT 14で1186mIU /mlとあり、少し低めでしょうか。ただ数値が低くても、その後に数値がぐっと増えてきて順調に赤ちゃんが育つ方もいます。数値がいいに越したことはありませんが、数値が低いからといってすべてが流産につながるというものではありません。hCGが低い時の対処法はなく、経過観察することになります。


2回の初期流産経験。どのようなことが考えられる?


40歳未満の方が良好な受精卵を4回以上移植した場合、かなりの方が妊娠するといわれています。マリーさんは良好な胚盤胞を6個移植しているにもかかわらず、いい結果が出ないということですね。受精卵を受け入れる母体側の着床環境に何らかの原因があるかもしれません。これから予定されている不育症検査のほかに、慢性子宮内膜炎の検査、子宮鏡検査、免疫細胞のバランスを調べる検査を行ってみてはいかがでしょうか。おもに細菌感染によって子宮内膜が炎症を起こす慢性子宮内膜炎は、受精卵の着床を低下させることがわかっています。また、免疫細胞(Th1/Th2)のバランス異常によって、受精後の受け入れが免疫的に行われにくいことも考えられます。


これからの治療のアドバイスをお願いします。


一から採卵するのであれば生理を待ってもいいですし、多囊胞性卵巣症候群のために生理がこないようでしたらピルでリセットするのもいいでしょう。プラノバールⓇは効き目が強く、卵胞の発育を抑制してしまうことがあります。効き目がソフトなプレマリンⓇやルトラールⓇに替えてもいいですね。
マリーさんは採卵から受精卵の培養まではうまくいっていると思います。次の採卵では、培養が終わってから、先ほどお話ししたような着床環境を調べる検査を進めていくのも一つの方法でしょう。何らかの原因が見つかる可能性はあると思います。良好な受精卵が残っているのであれば、それをやみくもに使ってしまうよりは、まずはできる検査をして、見つかった原因に対処してから移植するのがいいと思います。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.45 2020 Spring
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