【Q&A】着床前胚染色体異数性検査について-浅田先生
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【Q&A】着床前胚染色体異数性検査について-浅田先生
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)を勧められたが。。。浅田レディースクリニックの浅田先生にお答えいただきました。
相談者:つぐみんさん(43歳)
現在、通院してるクリニックより勧められた検査の一つです。胚盤胞を凍結保存、一周期おいて移植を2回実施するも妊娠には至りませんでした。
検査を受けるべきかどうか、検討しているところです。
浅田先生からの回答
着床前胚染色体異数性検査(PGT-A検査)を通院されているクリニックから勧められたそうですが、私としては、この検査はあまり勧められません。
現在、PGT-A検査は日本産科婦人科学会の研究として行われています。
研究のいくつかある条件のうち、2回移植をして結果が出なければPGT-A検査を受けることができるという条件があり、つぐみんさんはその条件は満たしています。
また、PGT-A検査では、多くの受精卵を検査して、その中から正倍数性の受精卵を移植します。そのため、PGT-A検査が有効な人というのは、一度の採卵で多くの受精卵ができ、無駄な移植をせず時間の節約が望める人となります。
つぐみんさんの場合はAMH値が0.23ng/mlと低く、半年前から育ち始めている卵子はごくわずかだと思いますので、注射を打っても一度の採卵で多くの卵子を得ることが難しいでしょう。そして、43歳という年齢から、受精卵ができても8~9割は染色体異常がある可能性が高いです。ただ、これは個人差があり、同じ年齢であっても染色体異常がある受精卵が少ない人もいれば、非常に多い人もいます。
問題は、人の受精卵というのは、良い細胞だけ、悪い細胞だけということはなく、モザイクといって、良い細胞と悪い細胞が混在している状態が生じる場合があるということです。とはいえ、モザイク胚だからといって必ず妊娠できないわけではなく、且つ、良いと判定された胚を移植しても、必ず妊娠するわけでも、流産しないわけでもありません。
つぐみんさんの場合は、まず数多くの受精卵から選ぶ、ということが難しいと思われます。また、検査結果が出たとしても、その受精卵で赤ちゃんができるとは限らないため、結果次第では迷ってしまうかもしれません。
当院のデータでは、40歳以上になると胚盤胞到達率が低くなることが分かっていますので、受精卵の少ない人は無理に体外培養で受精卵に負荷を与えることはせず、Day3(3日目の分割期)で移植をすることも多いです。
ですから、PGT-A検査を受けるよりも、地道に移植をしていくことが良いのではないかと思います。