不妊と栄養~治療以外で今できること①~
少しでも早く妊娠を叶えるためには治療以外の部分も大切。食生活の注意点やサプリメント、漢方薬の活用について、俵IVFクリニックの山口和香佐先生にお話を伺いました。
俵IVFクリニック 副院長 山口 和香佐 先生
滋賀医科大学医学部卒業。日本産婦人科学会産婦人科専門医。国立がんセンター中央病院で婦人科病理に従事後、都内不妊専門クリニックと滋賀医大付属病院で不妊治療に携わる。その経験と技術力を認められ、平成22年より俵IVFクリニックに勤務。副院長に就任。
生活習慣改善は無理せず、できることから
近年、不妊で悩むカップルが増加している傾向がありますが、その一番の要因としてはやはり、晩婚による女性の高齢化が考えられると思います。年齢が高くなればなるほど卵子が老化して妊娠しづらくなりますが、それに加え、子宮筋腫や子宮内膜症など、婦人科系疾患を持つ人も多くなってくる。また中年期にかかると、肥満や高血圧、高血糖など、生活習慣病に関わる症状が起こりやすくなり、さらに妊娠しづらい状況になってしまいます。
年齢と不妊に関する情報が徐々に浸透し始めているので、最近は結婚してすぐに不妊外来を受診する方が増えているのですが、子宮がん検診など、40代になって初めて婦人科系に関する検査を受けて、そこで子宮筋腫や排卵障害などがわかる方もいます。少しでも早く妊娠を叶えるためには、何もなくてもまずは病院を受診して、自分の体は今、どんな状態なのか、チェックしていただくことが大切だと思います。
「不妊外来へ行ったら、すぐに体外受精などの高度生殖医療を始めなければいけない」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、すべての方がそうではなく、検査の結果を受けて、体の状態やご夫婦の希望を伺いながら治療法を検討し、お仕事を持っている場合は、生活に合わせた治療スケジュールを立てることも可能です。
40代になると治療をしてもどうしても妊娠率は下がってしまうので、遅くとも35歳を過ぎたら、一度病院を受診することをおすすめいたします。
治療以外で妊娠のためにできることの一つとして、生活習慣の改善があります。ただ、これは毎日のことなので、無理をしすぎると続きません。あまり考えすぎず、まずは「3食きちんと摂る」「夜はゆっくり休む」ということを基本に。余裕があればそれに軽い運動をプラス。これも特別なものではなく、一駅余分に歩く、エスカレーターではなく階段を使うなど、生活に無理せず取り入れられる方法がいいと思います。
食事は様々な栄養素をバランスよく摂るのが好ましいですね。特に妊活中の方は、葉酸など、妊娠や健康な赤ちゃんを育むために意識して摂って欲しい栄養素があります。
緑黄色野菜をしっかり食べていれば必要な量が摂れますが、普段の食事ではなかなか摂れないという方は、サプリメントも上手に活用するのもおすすめです。
自分の体のこと、治療のこと、生活習慣のことなど、周りの人には相談できない、1人ではどうしていいかわからないという場合、思い切って病院を訪れて相談していただきたいですね。安心するし、より妊娠に近づけると思います。
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