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漢方で体質改善するのと不妊治療どちらがいいの?

コラム 不妊治療

漢方で体質改善するのと不妊治療どちらがいいの?

2017夏号_52p

2017.5.21

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漢方で体質改善するのと不妊治療どちらがいいの?


渡辺 由美子 先生(醍醐渡辺クリニック)







相談者:しまこさん(32歳)


今後の治療法について


 不妊検査でFSHが15mlU/mlと高めでAMHが2.13ng/mlでした。タイミング法で排卵誘発剤を飲み、HMGやHCG注射、ヒスロン®服用を数周期しましたが妊娠に至りません。副作用がつらく、今は不妊鍼灸院にだけ通っています。不妊治療の前は、高温期は36.6~8℃が10~12日続きましたが今は36.4~36.5℃です。ホルモン治療を受けたからでしょうか? ホルモン治療をやめて半年近く経ちます。このたび以前の病院ではなく、漢方を処方してくれる不妊治療病院にホルモンの再検査を依頼しました。漢方薬は体質改善が望めると聞きました。引き続きタイミングは診てもらうつもりですが、またホルモン治療をするのは抵抗があります。ホルモン治療なしで、漢方薬で体質改善したほうがいいのでしょうか?



 



高温期の体温が上がらないのはなぜでしょうか。排卵誘発剤の影響は考えられますか?


しまこさんは治療を終えて半年経っていらっしゃることと、AMH(抗ミュラー管ホルモン)が2・13 ng/mlと低めで、FSH(卵胞刺激ホルモン)が15 mIU /mlと高めですので、卵巣機能が低下していると考えられます。高温期の体温の低下については、排卵誘発剤の影響よりも卵巣機能の状態により体温が安定しないということが考えられます。

ホルモン剤の効き目は人それぞれで、高温期の体温が低下する人もいないわけではありません。ただ、この方はすでにホルモン治療をやめられてから半年が過ぎていますので、お薬の影響は考えにくいと思われます。


鍼灸や漢方治療を選択されることについてはいかがでしょうか?


当院でも患者様によって漢方や鍼灸を併用することはあります。鍼灸や漢方治療が有効であるかもしれませんし、試されるのはよいと思います。不妊治療をやめて休んでいる期間に、ストレスから解放されてパッと妊娠される方もなかにはいらっしゃるようです。

一方で、鍼灸や漢方治療でも妊娠に至らない方もいらっしゃいます。試されるのであれば10カ月、1年間とあらかじめ期限を区切って治療されてみてはいかがでしょう。鍼灸や漢方治療を試されている間にどうしても年齢を重ねてしまいます。しまこさんの場合は先ほどもお話ししたように、もともと卵巣機能が低下していると考えられますので、さらに低下していく可能性が考えられます。


今後の治療を迷っておられるようです。先生からアドバイスをお願いします。


ご本人のお気持ちもあるかと思いますが、たとえば10カ月〜1年間の期限を目安に鍼灸や漢方治療で結果が出なかった場合、体外受精も選択肢の一つとして考えていただいたほうがいいと思います。自然排卵した卵子が必ずしも赤ちゃんになれるものかどうかはわかりませんし、排卵誘発剤を使って複数個排卵したほうが不妊治療としては有効だと思います。

排卵誘発剤には飲み薬や注射剤で卵巣を刺激することで、卵胞を育て排卵を起こす作用があります。その一方で、人によって吐き気、お腹の張りなどを感じる方もいらっしゃいます。副作用がつらいとのことですが、排卵誘発剤にはいくつか種類があります。ホルモンの状態は一人ひとり異なるため、当院では卵胞の数や大きさだけでなく、ホルモンの値を検査・検討し、副作用についても考えながら、それぞれの方に適した排卵誘発法を提案しています。


しまこさんの場合、鍼灸や漢方治療を間に挟まれるのであれば、そのぶん年齢を重ねてホルモン値のデータも変わってくると思います。その時の状況によりますが、副作用が心配ということであれば飲み薬を使った低刺激法からスタートし、副作用の出方を慎重にみながら治療をすすめていかれてはいかがでしょうか。




渡辺先生より まとめ


●漢方治療は、あらかじめ期限を決めて試されるとよいでしょう。
●卵巣機能の低下を考慮し、体外受精を検討されるのもひとつです。



 



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お話を伺った先生のご紹介





渡辺 由美子 先生(醍醐渡辺クリニック)


兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学附属病院、国立泉北病院、京都大学医学部附属病院、国立京都病院での勤務を経て、醍醐渡辺クリニックで産婦人科医として勤務。同じ女性の患者様がリラックスして治療に臨めるような雰囲気づくりを日々心がけているという先生。休日は本を読んだり、映画を見たりとインドアでゆったり過ごされることが多いそう。


≫ 醍醐渡辺クリニック


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.34 2017 Summer
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