糖質より、たんぱく質や脂質を充実させた食事を
赤ちゃんを健康な状態で出産するためには、妊娠中はバランスのよい食生活を心がけたいものです。一般的に、ほとんどの日本人は糖質以外の栄養素が不足しているといわれているんですね。特に足りないといわれているのがたんぱく質。脂質についても、現代は欧米型の食生活になり、過剰に摂りすぎているように思われますが、実は不足している人が多いようです。
赤ちゃんの体のもとにもなるものですから、まずはたんぱく質の摂取をしっかりと。足りていないと、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など産科的な合併症も起こしやすくなります。主食よりも肉や魚、大豆製品など、おかずを充実させた食事を考えるようにしましょう。
「葉酸」は健全な胎児発育に欠かせない栄養素
ビタミンについては、妊婦さんでなくても最近は体調を気遣って、何種類かのビタミンをサプリメントで補っている人も多いようですが、ビタミンの中でも特に妊婦さん、妊活をしている人に必要量をきちんと摂っていただきたいのが葉酸です。
葉酸はビタミンB群の一種で、人間の細胞分裂に必要な栄養素。胎児の細胞分裂が盛んな妊娠初期に不足していると、神経管の異常や二分脊椎症、無脳症などの発症リスクが高くなるといわれています。
葉酸はその名前の通り、ほうれん草などの葉物野菜や納豆などに多く含まれています。毎日の食生活で摂るのがいちばんですが、食事だけでは十分に摂取できないという人はサプリメントも積極的に活用しましょう。妊娠初期の女性なら、1日400~600µg程度の量を摂るのが理想です。
赤ちゃんにも良い影響を与えるDHAとEPA
また、日本人は脂質も不足していると前述しましたが、脂質のなかでも最近、積極的な摂取を推奨されているのがDHAやEPAなどの必須脂肪酸です。
DHAは脳や神経細胞、EPAは全身の細胞や血管に多く存在する脂肪酸の一種。DHAは中性脂肪を減少させて、心疾患などの病気リスクを軽減。EPAは細胞活性物質なので、善玉コレステロールを増やして悪玉コレステロールを減らす働きがあります。血栓や動脈硬化を予防するほか、赤ちゃんの健全な発育や発達、機能維持にも欠かせない栄養素なんですね。厚生労働省では、妊娠から授乳期の間にDHA・EPAの摂取を推奨しています。
とても大切な栄養素ですが、どちらも体内で合成することができないので、外から摂取することが必要です。DHAやEPAはサバやイワシ、ブリ、マグロなど青魚のほか、えごま油やアマニ油にも多く含まれています。どうしても食事だけでは摂れないという人は、葉酸同様、これもサプリメントで補ってもいいでしょう。
ただし、DHA・EPA自体はエネルギーやカロリーにはならないので、基本的な栄養は食事できちんと摂ることが大切です。妊娠を考えたら、まずは現在の食生活を見直し、その上でサプリメントを上手に活用していきましょう。