妊活の必要性に気づいても、忙しすぎてストレス増大
アキコさんが妊娠について考えたのは、結婚して3カ月経った頃に見たドラマでのブライダルチェックのシーンがきっかけです。
「10代の頃から、生理不順や重い生理痛があって気になっていました」
近くの産婦人科を受診したところ、通常のままでは妊娠のチャンスが少ないとわかり、そのまま治療開始。しかしその頃の彼女の仕事は激務そのものでした。
「先輩が辞めて次第に忙しくなってしまい、朝は6時半に出勤、後輩からお昼休憩をまわしていたら自分の昼休みは夕方に…。夜はかろうじて頑張って自炊しても、それ以外はコンビニ中心で、睡眠も5時間とられたらよいという毎日でした」
肝心の妊活は、勤務先近くの産婦人科に。病院が開いている時間帯に昼休憩を取ってサッと受診して戻る。お昼ご飯をかき込んでまた夕方まで頑張る…。このような生活が1年半近く続きました。
夫婦で子どもをもつことをもう一度じっくり考える
このままではダメだと思い始めたアキコさん。「仕事に代わりはいても、私の体や夫の体を気づかうのは私にしかできない」と思い直し、退職して不妊治療も専門クリニックで再スタート。しかしその治療の進め方には疑問が。「私と夫は治療方針に対して『なぜこの治療がいいのか?』と確認しながら進めたかった。でもその説明をしていただけなくて」
人工授精も5回を数え、そろそろ体外受精もと先生からお話があった頃、夫婦で話し合うことに。
「夫はそこで治療を続けるのは反対。そこで新たに病院を探し、候補となった2つの病院に夫婦で診察をお願いしました」
妊活中の女性にとって、夫が協力的かどうかは大きな問題。アキコさんはご主人とどのように話し合ったのでしょう。
「夫も最初は治療に対する温度差があり、クリニックに行くのも気が進まないようでした。男性が検査を受けることに抵抗があるのはわかりますが、それは女性も同じ。内診台に上がるのも最初はすごく抵抗があったし、注射も採血もすごく痛い。『それでも治療しているのは、単に子どもが欲しいだけじゃない。大事な人との子どもを授かりたいから頑張っているんだ』という私の気持ちをじっくり聞いてもらいました。そこでようやく夫も『それだけの思いで頑張ってくれているのなら、体外受精に進むと金額もかかるので、病院選びもしっかり考えないと』と思い直してくれました」
受診して夫婦で決めた病院は、英ウィメンズクリニック。「メモに書きためた質問に1つ1つ答えてくださった。こういう先生がいらっしゃる病院なら頑張れる。先生のお力を借りたいと思いました」。
以前に子宮鏡検査をした時、少し内膜にでこぼこがあると言われたものの治療でのフォローがなく気になっていたアキコさん。今回早速検査をしてみると、ストレスのせいか岩山のようにたくさんポリープができていました。ホルモンの補充をしながら採卵を進め、その間にポリープの切除をして、次に受精卵を移植するという形で、時間の無駄なく治療スケジュールが組まれました。
妊娠に向けて生活を変える。サプリの効果も実感して
退職後の生活で一番大切にしたのは食生活。
「外で買ってくる食べものでは添加物が心配でしたが、自分で作る時間ができました。夫の体重が増加ぎみだったので、好物の揚げ物も調理法を工夫して油を減らしたり、朝は苦手だけど朝ご飯も食べるようになったり」
勤務先では不自然な姿勢でのパソコン業務や、強い冷房に悩まされていたので、整体に通いながら体を温めるよう心がけました。また、外に出なくても運動ができるようにとエアロバイクを購入し、夫婦で毎日続けているそうです。
さらに、サプリメントが心強い味方に。
「英の先生に葉酸などを摂っていないことを相談すると、『これからはしっかり摂っていったほうがいい。不足しやすい栄養素をサプリで補うといいでしょう』と院長先生が共同開発されているサプリを勧めていただき、これなら安心して飲める、と決めました」
採卵が終わった頃から女性用のサプリを飲み始めたところ、検査で内膜が厚くなっていることや体の巡りが良くなっていることが実際に数値でわかり、体にいいものがしっかり摂れているのだと安心したといいます。
その後、不足しがちなビタミンやミネラルを補えるベーシックサプリも取り入れ、ポリープ切除をして移植に臨んだところ、気持ちが安定したことも幸いしたのか、妊娠が判明しました。クリニックを替えてから数カ月のことでした。
「前の仕事を続けたまま病院に任せきりの治療をしていたら、私の場合はうまくいかなかったかもしれない。時間も費用もかかったけど、その間に夫とたくさん話し合い、自分たちで生活を変えたことは大きかったです」
バランスの良い食事をし、運動・睡眠と、生活の基本を見直し、さらに安心して治療できる環境を得てストレスがみるみる減っていったといいます。
「周囲に夫をはじめ、理解者が増えました。不妊治療の経験者である先輩たちにはたくさんアドバイスをもらうことができ、『妊娠はまだ?』と尋ねられても『今、治療を頑張っているので、しばらくその話題はすみません』と言えるようになりました。周りとの関係を作り、自分が少し強くなる時間があり、そのうえで信頼できる先生方と出会い、それで赤ちゃんが来てくれたのだろうと思います」
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter
≫ 掲載記事一覧はこちら
関連記事
-
やれるだけのことはやろう。後悔したくないから、これが最後と決めてアメリカで治療を受けることにしました。
コラム 不妊治療
-
治療中のつらかった思い出を、封印していたのかも 子どもってなんでこんなにかわいいんだろう…。 夫婦だけの生活がずっと続くと思っていたけど、 欲しいと思った瞬間から、大変な治療が始まりました。
コラム 不妊治療
-
着床不全の診断や子宮外妊娠を乗り越えて 「納得いくまでほかを探そう」 あの日の夫の言葉がなかったら この子は、ここにいなかった—。
コラム 不妊治療
-
どんな些細な質問でもとことん丁寧に応えてくれる… そんな先生のもとで無事2人の女の子を授かりました
コラム 不妊治療
-
つわりが落ち着いたのに、朝起きられません。起きても眠くなって朝ごはんは昼兼用になったり、悪循環。どのように改善したらよいでしょうか?
コラム 妊娠・出産