ARTへステップアップ。40代半ばで採卵するならどんな方法がベスト? 【40代の不妊治療】
コラム 不妊治療
ARTへステップアップ。40代半ばで採卵するならどんな方法がベスト? 【40代の不妊治療】
40代、それも半ばを迎えてしまってから体外受精を試みる場合、卵子はちゃんと採れるのでしょうか。どんな排卵刺激法で、何個くらい採れば妊娠の可能性が見えてくるのか、東京HARTクリニックの岡先生に詳しいお話を伺いました。
※2018年11月22日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter」の記事です。
- とよみんさん(44歳)からの相談
●ARTへステップアップ - 妊活歴4年で、タイミング法で妊娠5回。そのうち4回は稽留流産、1回は自然流産でした。不育症検査で第Ⅻ因子凝固活性29.2%。AMH0.81 ng/ml。潜在的慢性甲状腺炎でチラーヂン®を服用し機能は安定しています。ちなみに最後の妊娠は、2年前でバイアスピリン®を服用していましたが、胎囊のみで心拍確認までいきませんでした。
遅まきながらARTへのステップアップのため転院しました。体外受精や顕微授精をするにあたり、採卵方法に種類がありますが、私の場合どの方法がベストか悩んでいます。ぜひアドバイスをお願いします。
- Doctor’s advice
- ●高齢での体外受精は期限を決めて挑戦を。
●胚盤胞にならない人は初期胚で戻すことも。
●卵子数を確保して、いい胚を早めに移植。
40代半ばの年齢でも卵子は採れますか?
年齢が44歳、45歳くらいでAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が1 ng / ml以下であっても、数個の卵子が採れるかもしれませんが、出産に至る状態の卵子かどうかは難しいところだと思います。可能性にかけてこの年齢から体外受精に挑戦するのはいいと思いますが、何回も何年も続けるというのは厳しいのではないでしょうか。採卵してもいい受精卵が極めてできにくい状況になっていると思うので、ある程度期限を決めて臨まれることをおすすめします。
どんな卵巣刺激法で何個くらいの卵子獲得を目指したらいいですか?
40代半ばの人でもいい胚盤胞ができて、出産まで至るケースも確かにあります。しかし、それはかなりまれなこと。
アメリカの着床前診断のデータによると、37歳くらいまではできた胚盤胞の半分程度は正常で、2個戻せば1個は出産まで至るという確率です。38~40歳までの正常の割合は3個に1個、42歳くらいだと5個に1個、43歳を超えると8~10個に1個程度の割合に。
染色体異常で流産してしまうことを考えれば3個胚盤胞ができても足りないくらい。卵巣の予備能が少しでも残っていて、卵子が複数個採れる可能性がある人なら、できれば7個程度の卵子を獲得することを目指したいですね。
数の確保を考えたら、排卵刺激法はアンタゴニスト法でいいのではないでしょうか。月経が始まって2日目、3日目頃に卵胞の状態を見て、育ちやすそうなものが何個くらいあるかで最終的な刺激の方法を決めていきます。本当にベストな周期になるように、注射の量も考えて育てていかなければいけません。
高齢だと胚盤胞までなかなか到達しないということもあるので、それをひたすら待つのではなく、3日目の初期胚でも戻してしまっていいのでは。いろいろ迷っている時間はないと思います。
以前、自然妊娠の経験があっても、40代ではもう無理?
自然妊娠を何回か経験されている方は、年齢が高くなってもなかなか体外受精に踏み切れないことが多いようです。しかし、いくら以前妊娠していても40歳を過ぎたら卵子は待ったなしで老化していきます。その時点では、一番妊娠する可能性が高い方法を選んだほうがいいと思いますね。
流産しても40代半ばくらいでは当然のことなので不育症などにはこだわらず、とにかくできるだけ卵子の数を確保して、ある程度状態のいい胚ができたら、早めに移植まで持ち込むことが得策だと思います。
- 先生から
- 染色体異常の割合が高くなるので
7個程度の採卵を目指したいですね
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.40 2018 Winter
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