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自然排卵していたのに HMG注射のせいで排卵せず…

コラム 不妊治療

自然排卵していたのに HMG注射のせいで排卵せず…

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2019.3.12

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※2019年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring」の記事です。


ようようさん(35歳)からの相談
HMG注射
ほぼ自然周期で人工授精にて第1子を妊娠し1年前に出産。生理は順調で30日周期。基礎体温は2相性で、夫の精液にも問題なしです。33歳の時AMHが7ng/mlと高めですが、FSH>LHで生理不順もなく、やせ型でPCOSの診断基準を満たしていないため、多囊胞性卵巣と診断されました。第2子の妊活にあたりよりよい卵胞をつくる目的で最初の周期に排卵誘発剤(クロミッド®)を使用。次の周期はセキソビット®とHMGフェリング®150を注射しましたが、10mm前後の卵胞が5〜6個できるだけで強制リセット。エコーでは卵巣全体が卵胞で占められていて、医師からは「卵がたくさんあるから」とだけ言われました。主席卵胞が決まっていない早い時期から注射を打ったせいで卵胞がうまく成長せず、排卵できなかったのではないかと思っています…。

まとめ
●小さな卵胞が見えていて排卵障害がないなら多囊胞性卵巣です。
●今回はたまたま注射の有効性がなく、卵胞が育たなかったと考えられます。

お話を伺った先生のご紹介

福田 勝 先生(福田ウイメンズクリニック)


順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォルニア大学産婦人科学教室留学後、順天堂大学医学部産婦人科学教室講師を経て、1993年福田ウイメンズクリニック開院。2018年11月に、より最寄り駅に近く、広々とした場所にクリニックを移転したばかり。

≫ 福田ウイメンズクリニック

投稿内容にある多囊胞性卵巣とはどのようなものでしょうか。


多囊胞性卵巣とは、超音波で見た時に卵巣の中に小さな未成熟の卵胞が、ネックレスのようにいくつか連なっている状態が認められる症状をさします。多囊胞性卵巣の場合、卵巣の外側が硬くなることが多く、それゆえに排卵が充分にできなくなることがあります。


似たような言葉に多囊胞性卵巣症候群というものがありますが、多囊胞性卵巣とはどこが違いますか。また、ようようさんは、多囊胞性卵巣症候群であると思われますか。


上記の多囊胞性卵巣の症状に加えて生理周期が長い、生理がこないなどの月経異常や、FSHは正常値だがLHが高い。男性ホルモンが高い、多毛や肥満がみとめられた場合は、多囊胞性卵巣症候群という診断になります。ようようさんは、おそらく多囊胞性卵巣と考えられます。卵巣内にみえる卵胞は、ネックレスサインのようなものではなく、3〜4個小さな卵胞がみられるとのことですが、AMH値が高めなので、3〜4個以外にも小さな卵胞があったと考えられます。


HMGの注射によって排卵しなくなったと考えていますが、薬の影響や注射のタイミングなどは関係がありますか?


HMG注射のせいで排卵しなくなったわけではないと思います。たまたまこの周期は、HMGの注射がうまく作用せず、排卵できる卵胞が育たなかったと考えられます。


ようようさんは、今後はどのような治療法が望ましいでしょうか。


お1人目を人工授精1回目で妊娠されているということは、排卵しているということ。排卵しているのであれば、まずは体への負担の少ない自然周期でタイミング法を行い、それでうまくいかない場合は人工授精へステップアップしていくのがよいと思います。


このほかにどのような治療法がありますか。


多囊胞性卵巣でも排卵が遅れる、排卵していないなどの症状がある場合は、クロミッド®などの排卵誘発剤を内服しつつ、タイミング法や人工授精をする方法があります。
タイミング法や人工授精など一般不妊治療を考える場合、多囊胞性卵巣の人にHMG注射はなるべく使わないほうがいいでしょう。卵胞がたくさん育つことで多胎になる可能性が高くなるからです。また、過剰に刺激したことで卵巣が腫れてしまう卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を引き起こすリスクもあります。
ただ、ケースバイケースで明らかに主席卵胞があり、その成長を、あとひと押ししたい時に使うのであれば問題ありません。
一般不妊治療でなかなか妊娠しない場合は、体外受精など高度生殖医療へのステップアップを検討することも大切です。
高度生殖医療へすすむ場合は、OHSSのリスクを避けるために卵巣への負担をできるだけ少なくする低刺激法や、中刺激法を選択するのが望ましいでしょう。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring
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