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責任と自覚をもって新たな生命の誕生をサポート【Focus!チーム医療】

コラム 不妊治療

責任と自覚をもって新たな生命の誕生をサポート【Focus!チーム医療】

不妊治療の現場で、主に「培養室」で精子、卵子、受精卵を扱い、受精卵の培養・凍結、精子精製・媒精等を行う胚培養士。最先端の技術を駆使して治療をサポート。福井ウィメンズクリニックのケースをご紹介します。

2019.9.24

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※2019年8月24日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn」の記事です。


お話を伺った先生のご紹介

福井 敬介 先生(福井ウィメンズクリニック)


1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カップルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。

≫ 福井ウィメンズクリニック

受精卵の培養技術は日進月歩。チームとして「二人」をサポート


当院では認定培養士が複数名おり、数年前から動画のように胚を観察することができる装置「タイムラプス培養システム」を使用しています。これにより、観察ごとに胚を培養器から出す必要がないため、一定の条件を保ちながら胚を培養することが可能となっています。しかしながら、いかなる業務においてもヒューマンエラーの可能性を認識し、その発生を限りなくゼロにする努力が重要と考え、培養士がお互いに監視・確認しながら作業を行っています。
近年、体外受精に関する技術の進歩は目覚ましいものがあります。次々に登場する治療技術に対して、ご夫婦が一緒になって理解を深めていくために、カウンセラー・コーディネーターによりカウンセリングを行っています。胚培養士も担当制で培養を行い、それぞれが自分の役割を考えながら責任を負い、チームとして治療がスムーズに進むよう努めています。


Q1:培養士になったきっかけを聞かせてください。




臨床検査技師を目指し、大学で学んでいる時にマウスを使った体外受精の研究で生殖医療の世界を知り、興味をもったのがきっかけです。そして臨床検査技師として福井ウィメンズクリニックに就職、その後胚培養士の認定資格を取得しました。大学で勉強していた内容は、あくまで臨床検査技師になるためのもの。だからほぼゼロからのスタートでした。早く一人前になりたい、という一心で先輩の技術を学び、練習を重ねました。とくに配偶子を扱う仕事なので、当たり前ですが簡単に扱うことはできません。命を扱うプレッシャーや責任を感じ、“意識”を高く保つ必要があります。自信をもって技術を提供できるよう、胚にとってよりよい環境を常に考え、倫理観や責任感など胚培養士としての素質を高めるよう日々努力しています。


Q2:不妊治療における胚培養士さんの役割を教えてください。


私は約16年、胚培養士としてこちらでお世話になっています。卵子や精子をお預かりして受精させ、胚の成長を見守ったり、時には凍結保存を行い、その凍結胚を移植時に融解し、医師へと引き継ぎます。
さらに培養士に加え、体外受精コーディネーターの資格を取得し、体外受精を行うご夫婦への面談やカウンセリングも担当しています。患者さまと直接向き合うことで、ご夫婦と胚とのつながりをより身近に感じ、日々の培養業務に生かしていきたいと思っています。


Q3:患者さまの不安やお悩みに対して心がけていることはありますか?


当院では、患者さま一人ひとりに合ったオーダーメイドの治療を行っており、医療スタッフ一人ひとりも大切な役割を担っています。医師はもちろん、培養士も患者さまとの直接的なコミュニケーションを図り、不明点や不安をできる限り軽減するよう“顔がみえる”治療に努めています。
治療経過がよくない場合には、これまでの経過を振り返ることでポイントを押さえ、次の治療へとつなげていけるよう心がけています。




メッセージ
患者さまへ
培養に関してはよく分からないことが多いと思いますが、近年は「タイムラプス培養システム」により、胚の分割の過程を観察することができるようになりました。分割を解析することでよりよい胚を選べるだけではなく、分割の様子を見ていただくことで、患者さまにも胚をより身近に感じていただけると思います。妊娠・出産へのお手伝いができるよう、胚に愛情をもってチームで培養を行っています。一緒に頑張りましょう。

 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.43 2019 Autumn
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