受精卵を安全に管理し成長を見守る不妊治療を陰で支えるエキスパート【Focus!チーム医療】
コラム 不妊治療
受精卵を安全に管理し成長を見守る不妊治療を陰で支えるエキスパート【Focus!チーム医療】
不妊治療に関わるのは医師や看護師だけではなく、体外受精や顕微授精では受精卵を管理し育てる胚培養士が妊娠を望む夫婦を陰で支える重要な存在です。厚仁病院の胚培養チームのみなさんに普段どのような思いで受精卵と向き合っているのかをお聞きしました。
不妊治療にかかわるのは医師や看護師だけではありません、表に出る存在ではないものの、体外受精や顕微授精の際に受精卵を管理し育てる胚培養士は、妊娠を望む夫婦を陰で支える重要な存在です。今回は、厚仁病院の胚培養チームのみなさんに登場いただき、普段どのような思いで受精卵と向き合っているのかをお聞きしました。
※2019年11月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter」の記事です。
自主研鑽を積む培養チームとの信頼関係が大切です
胚培養士は、医師が採取した卵子と精子を体外受精または顕微授精し、受精卵の経過を観察しながら子宮に戻す状態になるまで育てるのが主な役割です。大切なことは、セキュリティや安全面を含めどれだけきちんと管理できるかです。当院の培養チームは、常に新しい手法や学術的な動向などに注目し、日々努力し改善を続けています。
たとえば、胚培養関係の新しい機器や技術を取り入れる際は、医師の一存で決めるのではなく、胚培養士の意見も聞きます。実はタイムラプスシステムは培養チームの意見を参考にして導入しました。導入してから培養の成果はめざましく向上しました。多くのご夫婦の願いを叶えさせていただく背景には、医師や看護師、そして胚培養士の信頼関係があるのです。
Q1:培養士になったきっかけを聞かせてください。
私はもともと臨床検査技師になるつもりでしたが、厚仁病院に新しく体外受精クリニックができるタイミングで、培養の道に進みました。松山理事長が勤務していたご縁で、石川県の永遠幸レディスクリニックで約11カ月間研修させていただき、休む間も惜しんで胚培養の知識や技術を勉強しました。毎日患者さまから卵子と精子を預かり、胚を観察していますが、日々驚きと感動の連続で、胚培養士になれたことは、幸せだと感じます。
Q2:胚の観察をする際、どのような点に注目していますか。
Q3:胚を見て、性別の判断はできるのでしょうか。
胚はとても神秘的で美しいです。人もそれぞれ違うように、卵子と精子、胚もそれぞれ個性があります。同じ患者さまからお預かりした卵子・精子でさえも一つとして同じものはありません。ですが、どんなに高倍率の顕微鏡で見ても、タイムラプスで観察しても男の子か女の子かを見分けることはできません。性別は、X染色体の精子かY染色体の精子のどちらが受精するかで決まりますが、国内では男女の産み分けのために検査することは禁じられています。
- メッセージ
患者さまと喜びを分かち合える日を楽しみに - 残念ながら、培養室には管理上、自由に出入りできませんが、当院では毎日、胚の状態を患者さまにメールでご報告しています。皆さまとともに喜び合える日を楽しみにしています。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.44 2019 Winter
≫ 掲載記事一覧はこちら