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「十三才で兄になった長男」

コラム 妊娠・出産

「十三才で兄になった長男」

「十三才で兄になった長男」

2015.4.16

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赤ちゃんエッセイ:「十三才で兄になった長男」


はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。



私には、十六才の長女、十三才の長男、0才の次男の三人の子供がいる。0才の次男は、今年の六月に生まれたばかりで、私にとって、赤ちゃんを一から育てるのは、まさに十三年ぶりとなった。上の二人の子供達は、赤ちゃんが出来た事を何度言っても、なかなか信じず、「うっそー、絶対うそ!」と言うばかりで、結局信じてくれるまでに、一ヶ月近い日がかかったのだが、本当の事と認めた時は、二人共大喜びだった。
その後、おなかが目立ち始めた頃から、十三才の長男の優しさが、今まで以上のものとなっていった。長女も長男も、優しい子に育ってくれたとは思っていたが、特に今、大反抗期の長女に比べると、口調も優しい長男は、私の体、しいては、おなかの赤ちゃんへのいたわり、思いやりが、想像を超えたものになっていった。育児雑誌を読み、妊婦の色々な事を把握した長男は、棚の上の方の物を取ろうかと考え、見ているだけで、「取ったらあかんで、僕がとるし。」と後ろから声がする。大きなおなかで、下の物がとりにくくなった頃、私が家事をしていて、何か落とすと、素早く拾いに来てくれる。お風呂で、毎日おなかに向かって、どんぐりコロコロを歌う事にしていた私が歌っていると、風呂場へ来て、一緒に歌うだけでなく、手で劇をするように、どんぐりコロコロを演じてくれるのだ。「楽しみ?」と聞くと、長男は、「うん!」とうなづいていた。その笑顔が、私も微笑ましかった。もちろん、中学生らしい反抗をする事も、しばしあるのだが。
そして、次男が誕生した。それから私は、この十三才の長男の次男に対する接し方、愛情に驚かされる事になる。生まれた日、所属している野球のボーイズリーグの練習のため、家族の中で、最後に誕生を知った長男は、「しんどかった?よく頑張りました。」と言ってくれ、学校に、部活に、ボーイズリーグにと、忙しい毎日の中、少しでも時間があれば、病院へ赤ちゃんを見に寄る日々。退院して、毎日が過ぎていくうちに、母である私と同様程、すっかり扱いに慣れ、いつの間にか家族の誰よりも、だっこが上手くなっていた。
次男の誕生から一ヶ月少しで、学校は、夏休みに入った。それから長男は、弟の世話をどんどんこなせるようになっていった。子守歌を歌いながら、だっこして寝かしつけるようになった。部活やボーイズ以外で家に居る時は、夏休み中本当に長男に助けられた。長男が次男の世話をしてくれている間、私はいつも家の中を走り回って家事をしていた。その合い間に二人をのぞくと、長男が次男のほっぺに何度もチュッとしているのだ。私は思わず目を細め、長男に見つからないように、二人を一時見つめていた。とても暖かく、幸せな気持ちになった。
ある日の事、次男のお風呂は長女か長男が次男を裸にしてつれてきて、私が入れたあと、又上げてくれるのだが、私が入れない日、長男に入れてほしいと頼んだら、心よく引き受けてくれた。先に入っている長男に次男を渡し、「いいなあ、お兄ちゃんと一緒で、気持ちいいなあ。」と次男に話しかけ、ふと長男を見ると、顔から肩まで汗の玉だらけだ。しかもその顔は真剣そのもの。お風呂が終ってから、「ありがとう、助かったわ。」とだけ声をかけたのだが、次男を湯舟で落さないように必死の長男の顔と汗の玉を見た時、私は、長男に感謝の気持ちといとおしさで、涙が出そうだった。先日、寝かしつけたばかりの次男を長男にまかせ、洗い物をしていた時、震度四の地震があった。すぐ様子を見に行くと、長男は次男の上で、四つん這いになって、壁になってくれていた。又、兄弟二人の時、そうっとのぞくと、便秘がちの次男のおなかをさすっている姿も見た。世間には、確かにこれだけ年の離れた兄弟もいるだろうが、今まで下の子として育ってきた長男が、こんなに頼りある、たのもしいお兄ちゃんになるとは想像もしなかった事だ。これからも弟に優しいお兄ちゃんであるだろう長男の話を、次男が大きくなったらしてあげようと思っている。次男の誕生によって、これまで以上の長男の優しさと、兄となった逞しさを、私は誇りに思っている。これからも、兄弟二人の時の様子をのぞき見するのが楽しみだ。
高校生の長女、中学生の長男、赤ちゃんの次男の世話、子育てに忙しい毎日だが、長女と長男が私を助けてくれるから、楽しく元気に過ごしていける。私は、上の子二人に、心から感謝している。


 



提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト







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