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体外受精|不妊治療
不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは不妊治療のひとつ、体外受精について俵IVFクリニックの俵先生に解説をいただきました。 俵IVFクリニック 俵 史子先生浜松医科大学医学部卒業。総合病院勤務医時代より不妊治療に携わり、2004年愛知県の竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。2007年、静岡に俵IVFクリニックを開業。≫ 俵IVFクリニック 体外受精 採取した卵子とご主人の精子を一緒に培養(媒精)し、自然に受精させる方法です。採精したご主人の精子は培養液で 洗浄し、精子以外の余分なものを除きます。採卵した卵子1個に対して約10万個の精子を媒精します。当クリニックでは媒精6時間後に一度観察をし、受精の予測をすることがあります。受精していないと判断した卵子には、その時点で顕微授精(レスキューICSI)を行います。媒精6時間後の観察のあとは、卵子を新しい培養液に移しかえ、翌朝受精の確認をします。〈体外受精の適応となる方〉◎精子数、精液量がある程度あり、精子の運動性が認められる方 出典:Tawara IVF Clinic with Jineko.net/ 体外受精の流れ > 体外受精(IVF)は、1.排卵誘発、2.採卵、3.受精、4.胚培養、5.胚移植、6.黄体補充療法という6つのステップから構成されています... 体外受精の確率 > 体外受精の妊娠率は35~39歳でだいたい34%程度。妊娠できるのが10人に3人くらいで、さらに高齢になると流産の確率も高まります... 体外受精で妊娠 > 体外受精で妊娠・出産された方は年々増えており、2014年には、3.7万人の子どもが体外受精によって生まれました... 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ ■ あわせて読みたい ■ とくおかレディースクリニック|「IVF勉強会」レポート そろそろ体外受精へ進みたいのですが夫が賛成してくれません 男性の立場から伝える妊活で幸せ夫婦になる方法 俵IVFクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO 不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは不妊治療のひとつ、体外受精について俵IVFクリニックの俵先生に解説をいただきました。 俵IVFクリニック 俵 史子先生浜松医科大学医学部卒業。総合病院勤務医時代より不妊治療に携わり、2004年愛知県の竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。2007年、静岡に俵IVFクリニックを開業。≫ 俵IVFクリニック 体外受精 採取した卵子とご主人の精子を一緒に培養(媒精)し、自然に受精させる方法です。採精したご主人の精子は培養液で 洗浄し、精子以外の余分なものを除きます。採卵した卵子1個に対して約10万個の精子を媒精します。当クリニックでは媒精6時間後に一度観察をし、受精の予測をすることがあります。受精していないと判断した卵子には、その時点で顕微授精(レスキューICSI)を行います。媒精6時間後の観察のあとは、卵子を新しい培養液に移しかえ、翌朝受精の確認をします。〈体外受精の適応となる方〉◎精子数、精液量がある程度あり、精子の運動性が認められる方 出典:Tawara IVF Clinic with Jineko.net/ 体外受精の流れ > 体外受精(IVF)は、1.排卵誘発、2.採卵、3.受精、4.胚培養、5.胚移植、6.黄体補充療法という6つのステップから構成されています... 体外受精の確率 > 体外受精の妊娠率は35~39歳でだいたい34%程度。妊娠できるのが10人に3人くらいで、さらに高齢になると流産の確率も高まります... 体外受精で妊娠 > 体外受精で妊娠・出産された方は年々増えており、2014年には、3.7万人の子どもが体外受精によって生まれました... 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ ■ あわせて読みたい ■ とくおかレディースクリニック|「IVF勉強会」レポート そろそろ体外受精へ進みたいのですが夫が賛成してくれません 男性の立場から伝える妊活で幸せ夫婦になる方法 俵IVFクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.9.22
コラム 不妊治療
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体外受精で妊娠|不妊治療
体外受精で妊娠 体外受精で妊娠・出産された方は年々増えており、2014年には、3.7万人の子どもが体外受精によって生まれました。体外受精による子どもの割合は27人に1人となり、決して特別なことではなくなってきました。しかし、体外受精で妊娠されるまでの苦労、経緯は様々です。これまでジネコ編集部が取材した体外受精で妊娠された方のストーリーをご紹介します。 戸惑い、紆余曲折しながらも決断。そして今思うことは“体外受精をしてよかった。” 不妊症を受け入れるまでに戸惑い、迷いながらもついに決断し、昨年赤ちゃんを出産したナオミさん。今思うことをお聞きしました。 鍼灸治療で体質改善、8年目にして妊娠! 仕事をしながら治療に取り組むも、長年、採卵すらままならなかったサチさん。体質改善に挑むと、みるみるうちに体の変化が。そして念願の妊娠に至ります。 43歳から治療を始め、体外受精でも着床せず・・・ 検査では特別な原因もないのにいい結果が出せないのは年齢のせい?諦める前に最後の治療をしようと決めて彼の母国アメリカに渡ったアキさん。環境を変えたことが奇跡を起こしました。 卵巣手術から体外受精へ。夫婦で乗り越えた不妊治療 20代の後半に、右側の卵巣手術を行っためぇさん。医師からはすぐに体外受精による治療を提案されました。ダメでもともとという気持ちで挑んだ体外受精は、1回目の採卵、胚移植で見事に成功しました。 原因不明の不妊。5年間治療を続け、最後と決めた9回目の移植で妊娠 大手通信会社の正社員としてハードな仕事をこなしていたミカさん。早くから職場で治療のことをオープンにし、周囲の理解を得ながら治療を続けてきました。 ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ① ≫ 体外受精の流れ② ≫ 体外受精の流れ③ ≫ 体外受精の確率 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック 体外受精で妊娠 体外受精で妊娠・出産された方は年々増えており、2014年には、3.7万人の子どもが体外受精によって生まれました。体外受精による子どもの割合は27人に1人となり、決して特別なことではなくなってきました。しかし、体外受精で妊娠されるまでの苦労、経緯は様々です。これまでジネコ編集部が取材した体外受精で妊娠された方のストーリーをご紹介します。 戸惑い、紆余曲折しながらも決断。そして今思うことは“体外受精をしてよかった。” 不妊症を受け入れるまでに戸惑い、迷いながらもついに決断し、昨年赤ちゃんを出産したナオミさん。今思うことをお聞きしました。 鍼灸治療で体質改善、8年目にして妊娠! 仕事をしながら治療に取り組むも、長年、採卵すらままならなかったサチさん。体質改善に挑むと、みるみるうちに体の変化が。そして念願の妊娠に至ります。 43歳から治療を始め、体外受精でも着床せず・・・ 検査では特別な原因もないのにいい結果が出せないのは年齢のせい?諦める前に最後の治療をしようと決めて彼の母国アメリカに渡ったアキさん。環境を変えたことが奇跡を起こしました。 卵巣手術から体外受精へ。夫婦で乗り越えた不妊治療 20代の後半に、右側の卵巣手術を行っためぇさん。医師からはすぐに体外受精による治療を提案されました。ダメでもともとという気持ちで挑んだ体外受精は、1回目の採卵、胚移植で見事に成功しました。 原因不明の不妊。5年間治療を続け、最後と決めた9回目の移植で妊娠 大手通信会社の正社員としてハードな仕事をこなしていたミカさん。早くから職場で治療のことをオープンにし、周囲の理解を得ながら治療を続けてきました。 ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ① ≫ 体外受精の流れ② ≫ 体外受精の流れ③ ≫ 体外受精の確率 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック
2015.9.17
コラム 不妊治療
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体外受精の確率|不妊治療
不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは高度不妊治療(ART)と呼ばれる体外受精の確率について解説します。 とくおかレディースクリニック 徳岡 晋先生防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛隊 中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学研究科に入学し、学位(医学博士)取得。2005年、とくおかレディースクリニックを開設。日本産科婦人科学会専門医。生殖医療専門医。≫ とくおかレディースクリニック 体外受精、ポイントや注意点は? 「高度な不妊治療を受ければ、年齢が高くても絶対妊娠できる」と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、そのようなことはなく、年齢が上がれば体外受精や顕微授精の妊娠率も下がってきます。現在のデータでは、体外受精の妊娠率は35~39歳でだいたい34%程度。妊娠できるのが10人に3人くらいで、さらに高齢になると流産の確率も高まるので、出産まで到達できる方はもっと少ないということになります。卵の数は年齢とともに必ず減っていきます。出生時に200万個あったものが、小学生頃で50万個まで減少。排卵が始まる10~14歳の時には20~30万個に。そこから1年に約1万個から1万2000個ずつ減っていくんですね。35、36歳になると、残っている卵の数はもう10万個前後。原子卵胞の数が10万個を切ると妊娠しづらい状態になります。体外受精など高度生殖医療を受ける前にまず必要になってくるのは、自分の卵巣の中にあとどれだけの卵が残っているかを調べるということ。これはAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値を測ることで、推定できます。実年齢もありますが、卵巣の年齢は何歳くらいに当たるのか。それを知るのは大切なことで、体外受精で欠かせない、排卵誘発を選択する目安の1つとなります。AMHと同様に重要なのが、生理3日目から5日目くらいに見える胞状卵胞の数です。40歳前後になるとホルモンが不安定になってくるので、周期によって数にバラつきが出ることが多くなります。卵胞が見えない時はその周期の治療を中止したり、見えていなかったのに薬の弱い刺激で出てくることも。このように年齢の高い方が治療を始める際は、若い世代の方以上に卵巣の状態をきちんと見極めることが必要になってきます。もし、AMHなどの検査をして卵巣の年齢が40歳程度だとしたら、排卵誘発はどうしたらよいのでしょうか。卵巣の予備能力が低下し、残りの原子卵胞数も少ないとなると、強い刺激をしても多くの卵子が採れることは期待できません。当院では完全自然周期で採卵することは行っていないのですが、このような場合はクロミッドⓇなどの飲み薬をベースに、注射をプラスしていく低刺激法を選択することになるかと思います。卵巣年齢がまだ若い方は、一般的には毎日注射を打ったり、点鼻薬を使うロング法などの高刺激を選択するケースが多いのですが、卵巣年齢か低い方では、このような高い刺激を与えても、採れる卵子の数は低刺激をした場合とあまり変わらないのではないかと思います。また、実年齢が40歳でも、AMHの値、つまり卵巣年齢がまだ35歳くらいということであれば、数が採れる可能性があるので、当院では高めの刺激法の一つであるアンタゴニスト法を採用しています。しかし、そのような方の場合、多嚢胞性卵巣であることが多いんですね。ある程度の数を採卵できても、分割しにくいなど卵子の質が悪いこともあり、質を向上させるために、サプリメントなどの補完療法をプラスしていくこともあります。そして、採卵と同じように妊娠のカギを握って いるのが胚移植です。低刺激で、たとえば卵子が1個しか採れなかったという時、通常では、妊娠率が高いといわれている胚盤胞まで培養して移植をするのがベストだと考える施設も多いと思います。しかし、年齢が高くて卵の質が良くないと、途中で胚の成長が止まってしまうことも多々あります。移植できなければ妊娠のチャンスはないので、当院では子宮内の自然な環境のほうが良いと考えて、1個、2個しか採卵できなかった場合は患者さんのご意見を聞いたうえで、初期胚で戻すようにしています。治療の方法はケースバイケースで、その方にうまく合えば高齢の方でも妊娠する可能性は十分あります。しかし、結果が出ないこともありますので、ご夫婦できちんと話し合い、「何歳まで」「何回まで」とある程度期限を決めて、治療に集中することが望ましいかと思います。 出典:ジネコ特別号 Quarateans(カランタン) ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ① ≫ 体外受精の流れ② ≫ 体外受精の流れ③ ≫ 体外受精で妊娠 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック ■ あわせて読みたい ■ 不妊治療のステップアップについて【神谷レディースクリニック 神谷博文先生】 体外受精の胚移植【セントマザー産婦人科医院 田中温先生】 培養環境を整え、培養技術を磨くことが妊娠率を向上させるのです【原利夫先生】 とくおかレディースクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO 不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは高度不妊治療(ART)と呼ばれる体外受精の確率について解説します。 とくおかレディースクリニック 徳岡 晋先生防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛隊 中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学研究科に入学し、学位(医学博士)取得。2005年、とくおかレディースクリニックを開設。日本産科婦人科学会専門医。生殖医療専門医。≫ とくおかレディースクリニック 体外受精、ポイントや注意点は? 「高度な不妊治療を受ければ、年齢が高くても絶対妊娠できる」と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、そのようなことはなく、年齢が上がれば体外受精や顕微授精の妊娠率も下がってきます。現在のデータでは、体外受精の妊娠率は35~39歳でだいたい34%程度。妊娠できるのが10人に3人くらいで、さらに高齢になると流産の確率も高まるので、出産まで到達できる方はもっと少ないということになります。卵の数は年齢とともに必ず減っていきます。出生時に200万個あったものが、小学生頃で50万個まで減少。排卵が始まる10~14歳の時には20~30万個に。そこから1年に約1万個から1万2000個ずつ減っていくんですね。35、36歳になると、残っている卵の数はもう10万個前後。原子卵胞の数が10万個を切ると妊娠しづらい状態になります。体外受精など高度生殖医療を受ける前にまず必要になってくるのは、自分の卵巣の中にあとどれだけの卵が残っているかを調べるということ。これはAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値を測ることで、推定できます。実年齢もありますが、卵巣の年齢は何歳くらいに当たるのか。それを知るのは大切なことで、体外受精で欠かせない、排卵誘発を選択する目安の1つとなります。AMHと同様に重要なのが、生理3日目から5日目くらいに見える胞状卵胞の数です。40歳前後になるとホルモンが不安定になってくるので、周期によって数にバラつきが出ることが多くなります。卵胞が見えない時はその周期の治療を中止したり、見えていなかったのに薬の弱い刺激で出てくることも。このように年齢の高い方が治療を始める際は、若い世代の方以上に卵巣の状態をきちんと見極めることが必要になってきます。もし、AMHなどの検査をして卵巣の年齢が40歳程度だとしたら、排卵誘発はどうしたらよいのでしょうか。卵巣の予備能力が低下し、残りの原子卵胞数も少ないとなると、強い刺激をしても多くの卵子が採れることは期待できません。当院では完全自然周期で採卵することは行っていないのですが、このような場合はクロミッドⓇなどの飲み薬をベースに、注射をプラスしていく低刺激法を選択することになるかと思います。卵巣年齢がまだ若い方は、一般的には毎日注射を打ったり、点鼻薬を使うロング法などの高刺激を選択するケースが多いのですが、卵巣年齢か低い方では、このような高い刺激を与えても、採れる卵子の数は低刺激をした場合とあまり変わらないのではないかと思います。また、実年齢が40歳でも、AMHの値、つまり卵巣年齢がまだ35歳くらいということであれば、数が採れる可能性があるので、当院では高めの刺激法の一つであるアンタゴニスト法を採用しています。しかし、そのような方の場合、多嚢胞性卵巣であることが多いんですね。ある程度の数を採卵できても、分割しにくいなど卵子の質が悪いこともあり、質を向上させるために、サプリメントなどの補完療法をプラスしていくこともあります。そして、採卵と同じように妊娠のカギを握って いるのが胚移植です。低刺激で、たとえば卵子が1個しか採れなかったという時、通常では、妊娠率が高いといわれている胚盤胞まで培養して移植をするのがベストだと考える施設も多いと思います。しかし、年齢が高くて卵の質が良くないと、途中で胚の成長が止まってしまうことも多々あります。移植できなければ妊娠のチャンスはないので、当院では子宮内の自然な環境のほうが良いと考えて、1個、2個しか採卵できなかった場合は患者さんのご意見を聞いたうえで、初期胚で戻すようにしています。治療の方法はケースバイケースで、その方にうまく合えば高齢の方でも妊娠する可能性は十分あります。しかし、結果が出ないこともありますので、ご夫婦できちんと話し合い、「何歳まで」「何回まで」とある程度期限を決めて、治療に集中することが望ましいかと思います。 出典:ジネコ特別号 Quarateans(カランタン) ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ① ≫ 体外受精の流れ② ≫ 体外受精の流れ③ ≫ 体外受精で妊娠 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック ■ あわせて読みたい ■ 不妊治療のステップアップについて【神谷レディースクリニック 神谷博文先生】 体外受精の胚移植【セントマザー産婦人科医院 田中温先生】 培養環境を整え、培養技術を磨くことが妊娠率を向上させるのです【原利夫先生】 とくおかレディースクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.9.15
コラム 不妊治療
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体外受精の流れ③|不妊治療
不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは高度不妊治療(ART)と呼ばれる体外受精の流れについて解説します。 英ウィメンズクリニック 塩谷 雅英先生島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊治療の臨床の傍ら研究を継続する。1994年から神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、英ウィメンズクリニックを開院。≫ 英ウィメンズクリニック 体外受精の治療ステップ STEP 4 胚培養 体外の培養器で受精卵を育てます 体外受精あるいは顕微授精の翌朝の観察で、前核が2つ観察される卵(前核期胚)が受精卵です。 この受精卵を培養器の中で人工的に育てることを胚培養といいます。前核期胚をさらに培養すると、図のように2分割、4分割、8分割と細胞分裂を繰り返しながら成長していきます。 2日目から3日目の4細胞から8細胞にまで成長した胚を初期胚と呼んでいます。 また、この初期胚をさらに培養し続けると、採卵して5~6日目には胚盤胞(はいばんほう)になります。受精卵を胚盤胞になるまで培養してから移植する方法を胚盤胞移植といいます。 【IMSI(イムジー)法 】 6000倍の顕微鏡下で形態のよい精子を選別 顕微授精を通常のICSI(イクシー)からIMSI(イムジー)に変更すると、受精卵の成長が改善する可能性があります。 IMSI(intracy toplasmic morphologicallyselected sperm injection) 法とは、超高倍率の顕微鏡を用いて、より形態のよい精子を選択する方法です。 通常の顕微授精を行う際、精子の選別は400倍の顕微鏡下で行い、良好な運動性と正常な形態を併せ持った精子を卵子に注入します。 しかし、なかには精子の頭部に空胞があるなど、通常の倍率では確認できない形態の違いを持つ精子もあります。 一方のIMSI法とは、6000倍以上での精子観察を可能とした専用の顕微鏡を用いることで、精子の頭部の状態などを詳細に観察し、よりよい形態の精子を選び取って顕微授精に用いる治療方法です。 この方法を用いることで、複数回の顕微授精を行ってもよい結果が得られていない方に対して、胚発生の改善や妊娠率の向上などが期待できるようになりました。 STEP 5 胚移植 成長した受精卵(胚)を子宮内へ移植 移植方法の選択はとても大切です。以下にこの4通りの移植方法について解説します。 【初期胚移植】 採卵後2日目ないしは3日目の4分割から8分割にまで成長した初期胚を移植します。 通常移植する胚の個数は1個です。体外で培養する期間が短いことが利点です。受精卵が複数個ある場合には、移植しなかった胚は凍結保存します。 場合により移植しなかった胚はさらに2~3日間培養を継続し、胚盤胞に成長した段階で凍結保存して将来に備えることもあります。 この時、胚盤胞に成長できず成長が止まってしまった胚は、移植しても妊娠することはありませんので、廃棄することになります。 【胚盤胞移植】 採卵後5日目ないしは6日目に胚盤胞に成長した胚を移植する方法です。通常移植する胚の個数は1個です。胚盤胞に成長できた胚だけを移植しますので、移植1回あたりの妊娠率は高くなります。 体外で培養する期間が長いため、母体と受精卵が別々になる期間が長くなることが欠点です。 胚盤胞が複数できた場合には、移植しなかった胚は凍結保存します。 【シート(SEET)法】 シート法では、まず体外受精あるいは顕微授精等で得られた胚を体外で5~6日間培養し、胚盤胞になったら、これを一度凍結します。 同時に、この胚盤胞を培養した培養液も回収し、別に凍結しておきます。 別の周期にこの胚盤胞を融解移植する際、まずあらかじめ凍結しておいた培養液を融解し、子宮腔内に注入して、その2~3日後に胚盤胞を融解移植します。 通常移植する胚の個数は1個です。このシート法は当院で開発し、医療特許を取得した治療方法です。 【二段階胚移植】 二段階胚移植とは、体外受精あるいは顕微授精等で得られた胚の移植にあたって、まず、採卵後2~3日目に初期胚を1個移植し、移植に供しなかった胚は培養を継続。 採卵後5~6日目に胚盤胞になったら、これを1個移植、合計2個の胚を移植する方法です。 STEP 6 黄体補充療法 着床や胚の発育を助けるホルモン 黄体機能とは、排卵後の卵巣からの黄体ホルモン、および卵胞ホルモンの分泌機能のことです。 この2種類のホルモンは、子宮内膜に作用して子宮内膜を着床準備状態に調整し、着床後は胚の発育を助ける作用を持っています。 当院では、黄体ホルモン剤としてウトロゲスタン(R)(海外の薬剤)というプロゲステロン坐薬、卵胞ホルモン剤としてエストラーナテープ(R)を使用します。 これらの薬が体に合わない場合には、注射や内服薬を使用します。妊娠維持のためには黄体補充療法もとても大切です。 [妊娠判定] 採卵後15日目ごろ、外来で妊娠成立の有無を判定します。 通常、血液検査にて判定しますが、まれに尿検査で判定を行うこともあります。妊娠成立を確認できた後も、妊娠が安定するまで黄体補充療法は継続して行います。 出典:Hanabusa with jineko.net ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ① ≫ 体外受精の流れ② ≫ 体外受精の確率 ≫ 体外受精で妊娠 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック ■ あわせて読みたい ■ 移植後の薬の副作用。もし妊娠した場合、赤ちゃんに影響は? 子宮内膜が薄い場合、移植日はどのように決めるの? 8回移植を行っても妊娠に至りません。続けても見込みはある? 英ウィメンズクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO 不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは高度不妊治療(ART)と呼ばれる体外受精の流れについて解説します。 英ウィメンズクリニック 塩谷 雅英先生島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊治療の臨床の傍ら研究を継続する。1994年から神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、英ウィメンズクリニックを開院。≫ 英ウィメンズクリニック 体外受精の治療ステップ STEP 4 胚培養 体外の培養器で受精卵を育てます 体外受精あるいは顕微授精の翌朝の観察で、前核が2つ観察される卵(前核期胚)が受精卵です。 この受精卵を培養器の中で人工的に育てることを胚培養といいます。前核期胚をさらに培養すると、図のように2分割、4分割、8分割と細胞分裂を繰り返しながら成長していきます。 2日目から3日目の4細胞から8細胞にまで成長した胚を初期胚と呼んでいます。 また、この初期胚をさらに培養し続けると、採卵して5~6日目には胚盤胞(はいばんほう)になります。受精卵を胚盤胞になるまで培養してから移植する方法を胚盤胞移植といいます。 【IMSI(イムジー)法 】 6000倍の顕微鏡下で形態のよい精子を選別 顕微授精を通常のICSI(イクシー)からIMSI(イムジー)に変更すると、受精卵の成長が改善する可能性があります。 IMSI(intracy toplasmic morphologicallyselected sperm injection) 法とは、超高倍率の顕微鏡を用いて、より形態のよい精子を選択する方法です。 通常の顕微授精を行う際、精子の選別は400倍の顕微鏡下で行い、良好な運動性と正常な形態を併せ持った精子を卵子に注入します。 しかし、なかには精子の頭部に空胞があるなど、通常の倍率では確認できない形態の違いを持つ精子もあります。 一方のIMSI法とは、6000倍以上での精子観察を可能とした専用の顕微鏡を用いることで、精子の頭部の状態などを詳細に観察し、よりよい形態の精子を選び取って顕微授精に用いる治療方法です。 この方法を用いることで、複数回の顕微授精を行ってもよい結果が得られていない方に対して、胚発生の改善や妊娠率の向上などが期待できるようになりました。 STEP 5 胚移植 成長した受精卵(胚)を子宮内へ移植 移植方法の選択はとても大切です。以下にこの4通りの移植方法について解説します。 【初期胚移植】 採卵後2日目ないしは3日目の4分割から8分割にまで成長した初期胚を移植します。 通常移植する胚の個数は1個です。体外で培養する期間が短いことが利点です。受精卵が複数個ある場合には、移植しなかった胚は凍結保存します。 場合により移植しなかった胚はさらに2~3日間培養を継続し、胚盤胞に成長した段階で凍結保存して将来に備えることもあります。 この時、胚盤胞に成長できず成長が止まってしまった胚は、移植しても妊娠することはありませんので、廃棄することになります。 【胚盤胞移植】 採卵後5日目ないしは6日目に胚盤胞に成長した胚を移植する方法です。通常移植する胚の個数は1個です。胚盤胞に成長できた胚だけを移植しますので、移植1回あたりの妊娠率は高くなります。 体外で培養する期間が長いため、母体と受精卵が別々になる期間が長くなることが欠点です。 胚盤胞が複数できた場合には、移植しなかった胚は凍結保存します。 【シート(SEET)法】 シート法では、まず体外受精あるいは顕微授精等で得られた胚を体外で5~6日間培養し、胚盤胞になったら、これを一度凍結します。 同時に、この胚盤胞を培養した培養液も回収し、別に凍結しておきます。 別の周期にこの胚盤胞を融解移植する際、まずあらかじめ凍結しておいた培養液を融解し、子宮腔内に注入して、その2~3日後に胚盤胞を融解移植します。 通常移植する胚の個数は1個です。このシート法は当院で開発し、医療特許を取得した治療方法です。 【二段階胚移植】 二段階胚移植とは、体外受精あるいは顕微授精等で得られた胚の移植にあたって、まず、採卵後2~3日目に初期胚を1個移植し、移植に供しなかった胚は培養を継続。 採卵後5~6日目に胚盤胞になったら、これを1個移植、合計2個の胚を移植する方法です。 STEP 6 黄体補充療法 着床や胚の発育を助けるホルモン 黄体機能とは、排卵後の卵巣からの黄体ホルモン、および卵胞ホルモンの分泌機能のことです。 この2種類のホルモンは、子宮内膜に作用して子宮内膜を着床準備状態に調整し、着床後は胚の発育を助ける作用を持っています。 当院では、黄体ホルモン剤としてウトロゲスタン(R)(海外の薬剤)というプロゲステロン坐薬、卵胞ホルモン剤としてエストラーナテープ(R)を使用します。 これらの薬が体に合わない場合には、注射や内服薬を使用します。妊娠維持のためには黄体補充療法もとても大切です。 [妊娠判定] 採卵後15日目ごろ、外来で妊娠成立の有無を判定します。 通常、血液検査にて判定しますが、まれに尿検査で判定を行うこともあります。妊娠成立を確認できた後も、妊娠が安定するまで黄体補充療法は継続して行います。 出典:Hanabusa with jineko.net ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ① ≫ 体外受精の流れ② ≫ 体外受精の確率 ≫ 体外受精で妊娠 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック ■ あわせて読みたい ■ 移植後の薬の副作用。もし妊娠した場合、赤ちゃんに影響は? 子宮内膜が薄い場合、移植日はどのように決めるの? 8回移植を行っても妊娠に至りません。続けても見込みはある? 英ウィメンズクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.9.15
コラム 不妊治療
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体外受精の流れ②|不妊治療
不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは高度不妊治療(ART)と呼ばれる体外受精の流れについて解説します。 英ウィメンズクリニック 塩谷 雅英先生島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊治療の臨床の傍ら研究を継続する。1994年から神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、英ウィメンズクリニックを開院。≫ 英ウィメンズクリニック 体外受精の治療ステップ STEP 2 採卵 卵子を卵巣から取り出します 卵巣から卵子をいったん体外に取り出すことを、採卵といいます。HCGを投与した場合、約40時間後に排卵が起こりますので、排卵が起こる前に採卵を行います。HCGの代わりにGnRHアナログの点鼻スプレー(ブセレキュア?やスプレキュア?など)を使用した場合も同様です。採卵にあたっては通常、点滴で静脈麻酔をしてから行いますが、低刺激法や自然周期法などで発育卵胞が3個前後と少ない場合には、痛み止めの坐薬を使用するだけで採卵を行います。 実際の採卵では超音波を見ながら経腟的に卵胞を穿刺(せんし)・吸引して卵子を取り出します。採卵した卵子はすぐに培養液の入ったディッシュに移され、培養器(マルチガス低酸素培養器)の中に保管されます。採卵は15分程度で終了し、ベッドでお休みいただいた後、日帰りすることが可能です。静脈麻酔を使用しない場合には、採卵直後に帰宅していただける場合が多いです。 STEP 3 受精 採取した卵子と精子で受精が成立 採卵終了後、男性には精液を採取していただきます。当日、来院できない場合は、事前にお渡しする専用の容器に精液を採取して持参していただく方法があります。また、あらかじめ精液を凍結保存させていただくことも可能です。こうしておけば、遠方への出張があっても治療を滞りなく進めることができます。受精方法には、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)、スプリット法の3通りがあります。精液の状態や過去の治療経過などを参考にしてどの受精方法が最適か、患者さまと相談しつつ決定していきます。【体外受精(IVF)】精子濃度が2000万/mL以上、精子運動率が20%以上、SMIが50以上である場合にはこの体外受精が基本となります。ただし、これはあくまで目安です。採取された精液は培養液にて遠心分離・洗浄し、スイムアップ法、および密度勾配遠心分離法で運動良好な精子を選択し回収します。こうして集めた精子を、卵子を入れたシャーレの中に10万〜20万/mLの濃度になるように調整して加えます(媒精)。これが体外受精です。媒精後、十数時間で受精が起こります。【顕微授精(ICSI)】精子濃度が1000万/mL未満、精子運動率が20%未満、SMIが50未満である場合にはこの顕微授精が基本となります。顕微授精では、顕微鏡で観察しながら良好精子を選び、インジェクションニードルと呼ばれる細い針を使って精子を卵子の細胞質内に注入します。高度なテクニックを要する治療です。【スプリット法】精子濃度が1000万/mL以上、2000万/mL未満である場合など、体外受精が向いているのか顕微授精が向いているのか迷う場合があります。このような時に行うのがこのスプリット法です。採卵で得られた卵子を2つのグループに分け、一方を体外受精、一方を顕微授精とします。こうすることで、両方の治療を同時に行うことができ、それぞれのメリット、デメリットを分散できます。費用は、顕微授精の費用となります。 出典:Hanabusa with jineko.net ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ① ≫ 体外受精の流れ③ ≫ 体外受精の確率 ≫ 体外受精で妊娠 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック ■ あわせて読みたい ■ 高度不妊治療② 受精から培養まで 胚盤胞にならないのは卵の質が悪いせい?分割胚でも妊娠できる? 卵子はできた分だけ全部採卵するの?料金はどうなるの? 英ウィメンズクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO 不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは高度不妊治療(ART)と呼ばれる体外受精の流れについて解説します。 英ウィメンズクリニック 塩谷 雅英先生島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊治療の臨床の傍ら研究を継続する。1994年から神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、英ウィメンズクリニックを開院。≫ 英ウィメンズクリニック 体外受精の治療ステップ STEP 2 採卵 卵子を卵巣から取り出します 卵巣から卵子をいったん体外に取り出すことを、採卵といいます。HCGを投与した場合、約40時間後に排卵が起こりますので、排卵が起こる前に採卵を行います。HCGの代わりにGnRHアナログの点鼻スプレー(ブセレキュア?やスプレキュア?など)を使用した場合も同様です。採卵にあたっては通常、点滴で静脈麻酔をしてから行いますが、低刺激法や自然周期法などで発育卵胞が3個前後と少ない場合には、痛み止めの坐薬を使用するだけで採卵を行います。 実際の採卵では超音波を見ながら経腟的に卵胞を穿刺(せんし)・吸引して卵子を取り出します。採卵した卵子はすぐに培養液の入ったディッシュに移され、培養器(マルチガス低酸素培養器)の中に保管されます。採卵は15分程度で終了し、ベッドでお休みいただいた後、日帰りすることが可能です。静脈麻酔を使用しない場合には、採卵直後に帰宅していただける場合が多いです。 STEP 3 受精 採取した卵子と精子で受精が成立 採卵終了後、男性には精液を採取していただきます。当日、来院できない場合は、事前にお渡しする専用の容器に精液を採取して持参していただく方法があります。また、あらかじめ精液を凍結保存させていただくことも可能です。こうしておけば、遠方への出張があっても治療を滞りなく進めることができます。受精方法には、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)、スプリット法の3通りがあります。精液の状態や過去の治療経過などを参考にしてどの受精方法が最適か、患者さまと相談しつつ決定していきます。【体外受精(IVF)】精子濃度が2000万/mL以上、精子運動率が20%以上、SMIが50以上である場合にはこの体外受精が基本となります。ただし、これはあくまで目安です。採取された精液は培養液にて遠心分離・洗浄し、スイムアップ法、および密度勾配遠心分離法で運動良好な精子を選択し回収します。こうして集めた精子を、卵子を入れたシャーレの中に10万〜20万/mLの濃度になるように調整して加えます(媒精)。これが体外受精です。媒精後、十数時間で受精が起こります。【顕微授精(ICSI)】精子濃度が1000万/mL未満、精子運動率が20%未満、SMIが50未満である場合にはこの顕微授精が基本となります。顕微授精では、顕微鏡で観察しながら良好精子を選び、インジェクションニードルと呼ばれる細い針を使って精子を卵子の細胞質内に注入します。高度なテクニックを要する治療です。【スプリット法】精子濃度が1000万/mL以上、2000万/mL未満である場合など、体外受精が向いているのか顕微授精が向いているのか迷う場合があります。このような時に行うのがこのスプリット法です。採卵で得られた卵子を2つのグループに分け、一方を体外受精、一方を顕微授精とします。こうすることで、両方の治療を同時に行うことができ、それぞれのメリット、デメリットを分散できます。費用は、顕微授精の費用となります。 出典:Hanabusa with jineko.net ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ① ≫ 体外受精の流れ③ ≫ 体外受精の確率 ≫ 体外受精で妊娠 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック ■ あわせて読みたい ■ 高度不妊治療② 受精から培養まで 胚盤胞にならないのは卵の質が悪いせい?分割胚でも妊娠できる? 卵子はできた分だけ全部採卵するの?料金はどうなるの? 英ウィメンズクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.9.9
コラム 不妊治療
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体外受精の流れ①|不妊治療
不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは高度不妊治療(ART)と呼ばれる体外受精の流れについて解説します。 英ウィメンズクリニック 塩谷 雅英先生島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊治療の臨床の傍ら研究を継続する。1994年から神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、英ウィメンズクリニックを開院。≫ 英ウィメンズクリニック 体外受精の治療ステップ 高度生殖補助医療(ART)の中心をなす体外受精(IVF)は、1.排卵誘発、2.採卵、3.受精、4.胚培養、5.胚移植、6.黄体補充療法という6つのステップから構成されています。それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。 STEP 1 排卵誘発 良質の卵子を育てます 1回の治療あたりの妊娠率を高めるためには、よい卵子を育てることが大切です。そのため、排卵誘発を行う方法がよく用いられます。排卵誘発の方法は、排卵誘発剤を多めに使用して、複数個できれば4〜7個の卵子の発育を促す「一般的方法」と、排卵誘発剤の使用量を減らして体への負担を軽くする「低刺激法」との2つに分類されます。また、排卵誘発剤を使用せず自然の排卵を利用する「自然周期法」もあります。 一般的方法 卵子を用い、ひいては多くの受精卵を作ることを目標とする治療方法です。受精卵が4個以上育てば、1回で妊娠できる可能性が高くなります。また、治療で受精卵が余れば凍結保存しておくことができ、将来、2人目、3人目も期待できる場合もあります。排卵誘発には、卵子を育てるHMG/FSH製剤、卵子の成熟を開始させるHCG製剤・GnRHアナログ、自然排卵を抑えるGnRHアナログとGnRHアンタゴニストという4種類のホルモン剤を使います。GnRHアナログは通常、点鼻スプレーを使用します。この点鼻スプレーの使用期間の長短、有無によって「一般的方法」は下図の3通りに分類されます。【一般的方法(1)ショート法】月経開始日から点鼻スプレーを使用開始し、月経の3日目からHMG/FSH製剤の注射を、6日〜10日間連日行います。点鼻スプレーは原則として、1日3回、およそ8時間おきに、両方の鼻にスプレー(1日6噴射)をします。このスプレーは採卵2日前の夜まで続けます。排卵誘発作用が強く、年齢が高い方や、AMH低値、FSH高値の患者さまに向いています。【一般的方法(2)ロング法】治療前周期の黄体期(高温相)に点鼻スプレーを使用開始し、月経の3日目にHMG製剤の注射を6日〜10日間連日行います。点鼻スプレーは原則として、1日4回、およそ6時間おきに、片方の鼻にスプレー(1日4噴射)をします。このスプレーは採卵2日前の夜まで続けます。ショート法に比較すると排卵誘発作用はマイルドです。卵胞成熟に時間がかかる傾向がありますが、卵子の質が高まることが期待できる方法です。【一般的方法(3)アンタゴニスト法】月経周期3日目からHMG製剤の注射を開始して、卵胞が大きくなったところで排卵が起こらないよう、排卵を抑えるGnRHアンタゴニストの注射をします。GnRHアンタゴニストには、セトロタイド(R)、とガニレスト(R)があります。作用はどちらもほぼ同じで、皮下注射の薬です。一般的方法のなかでも比較的排卵誘発作用が弱く、このアンタゴニスト法は比較的年齢の若い方、AMH高値、FSH低値の患者さまに向いています。 低刺激法 低刺激法は、クロミフェン法、マイルド法などとも呼ばれます。月経3日目から内服薬のクロミフェンを使用、途中で注射薬も少し使用して卵胞を発育させます。先ほどの一般的方法では平均採卵個数が9個くらいですが、この低刺激法では、3個くらいとなります。その結果、1回で妊娠できる可能性は一般的方法と比較すると低くなります。また受精卵が余って、余剰の受精卵を凍結できるケースも少なくなります。メリットは、通院の回数が少ないことや排卵誘発にかかる費用が少なくてすむこと、そして、時として一般的方法ではよい卵子ができなかったケースでもこの低刺激法ではよい卵子ができる方もいらっしゃることです。一般的方法でよい結果が出ない場合には試してみるといい方法です。また、この低刺激法は卵巣に対する負担が小さいため、あまり治療をお休みすることなく、毎月できるというメリットもあります。 自然周期法 排卵誘発剤を使用せず、自然に発育する卵子を利用して治療を進めます。薬のアレルギーが心配な方などにメリットがあります。また高齢であったり、AMH低値、FSH高値の方で、排卵誘発剤を使用してもよい卵子の発育がみられない時、「自然周期法」であればよい卵子の発育を期待できることがあります。※これらのステップはあくまでも原則的なもので、状態により異なることがありますのでご了承ください。 体に優しい体外受精とは低刺激法や自然周期法は、排卵誘発剤の注射をできるだけ使用せず、体が卵子を育む力を利用して治療する方法です。通院回数が減り、痛い注射は不要、薬代が少ないというメリットがあります。卵巣が腫れる卵巣過剰刺激症候群を起こす心配もありませんし、多胎の可能性も大変低くなります。そのため「体に優しい体外受精」と呼ばれることもあります。デメリットとしては、従来の体外受精と比べて1回あたりの妊娠率が低くなることですが、マイペースに毎月繰り返して治療を受けることができるというよさもあります。 出典:Hanabusa with jineko.net ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ② ≫ 体外受精の流れ③ ≫ 体外受精の確率 ≫ 体外受精で妊娠 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック ■ あわせて読みたい ■ 高度不妊治療① 卵巣刺激の方法 ロング法で結果が出ていないので排卵誘発の方法を変えたほうがいい? 排卵誘発剤の注射HMGで卵巣が腫れ腹水の副作用が。継続?それとも体外受精? 英ウィメンズクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO 不妊治療といってもその治療方法はいろいろ。ここでは高度不妊治療(ART)と呼ばれる体外受精の流れについて解説します。 英ウィメンズクリニック 塩谷 雅英先生島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊治療の臨床の傍ら研究を継続する。1994年から神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、英ウィメンズクリニックを開院。≫ 英ウィメンズクリニック 体外受精の治療ステップ 高度生殖補助医療(ART)の中心をなす体外受精(IVF)は、1.排卵誘発、2.採卵、3.受精、4.胚培養、5.胚移植、6.黄体補充療法という6つのステップから構成されています。それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。 STEP 1 排卵誘発 良質の卵子を育てます 1回の治療あたりの妊娠率を高めるためには、よい卵子を育てることが大切です。そのため、排卵誘発を行う方法がよく用いられます。排卵誘発の方法は、排卵誘発剤を多めに使用して、複数個できれば4〜7個の卵子の発育を促す「一般的方法」と、排卵誘発剤の使用量を減らして体への負担を軽くする「低刺激法」との2つに分類されます。また、排卵誘発剤を使用せず自然の排卵を利用する「自然周期法」もあります。 一般的方法 卵子を用い、ひいては多くの受精卵を作ることを目標とする治療方法です。受精卵が4個以上育てば、1回で妊娠できる可能性が高くなります。また、治療で受精卵が余れば凍結保存しておくことができ、将来、2人目、3人目も期待できる場合もあります。排卵誘発には、卵子を育てるHMG/FSH製剤、卵子の成熟を開始させるHCG製剤・GnRHアナログ、自然排卵を抑えるGnRHアナログとGnRHアンタゴニストという4種類のホルモン剤を使います。GnRHアナログは通常、点鼻スプレーを使用します。この点鼻スプレーの使用期間の長短、有無によって「一般的方法」は下図の3通りに分類されます。【一般的方法(1)ショート法】月経開始日から点鼻スプレーを使用開始し、月経の3日目からHMG/FSH製剤の注射を、6日〜10日間連日行います。点鼻スプレーは原則として、1日3回、およそ8時間おきに、両方の鼻にスプレー(1日6噴射)をします。このスプレーは採卵2日前の夜まで続けます。排卵誘発作用が強く、年齢が高い方や、AMH低値、FSH高値の患者さまに向いています。【一般的方法(2)ロング法】治療前周期の黄体期(高温相)に点鼻スプレーを使用開始し、月経の3日目にHMG製剤の注射を6日〜10日間連日行います。点鼻スプレーは原則として、1日4回、およそ6時間おきに、片方の鼻にスプレー(1日4噴射)をします。このスプレーは採卵2日前の夜まで続けます。ショート法に比較すると排卵誘発作用はマイルドです。卵胞成熟に時間がかかる傾向がありますが、卵子の質が高まることが期待できる方法です。【一般的方法(3)アンタゴニスト法】月経周期3日目からHMG製剤の注射を開始して、卵胞が大きくなったところで排卵が起こらないよう、排卵を抑えるGnRHアンタゴニストの注射をします。GnRHアンタゴニストには、セトロタイド(R)、とガニレスト(R)があります。作用はどちらもほぼ同じで、皮下注射の薬です。一般的方法のなかでも比較的排卵誘発作用が弱く、このアンタゴニスト法は比較的年齢の若い方、AMH高値、FSH低値の患者さまに向いています。 低刺激法 低刺激法は、クロミフェン法、マイルド法などとも呼ばれます。月経3日目から内服薬のクロミフェンを使用、途中で注射薬も少し使用して卵胞を発育させます。先ほどの一般的方法では平均採卵個数が9個くらいですが、この低刺激法では、3個くらいとなります。その結果、1回で妊娠できる可能性は一般的方法と比較すると低くなります。また受精卵が余って、余剰の受精卵を凍結できるケースも少なくなります。メリットは、通院の回数が少ないことや排卵誘発にかかる費用が少なくてすむこと、そして、時として一般的方法ではよい卵子ができなかったケースでもこの低刺激法ではよい卵子ができる方もいらっしゃることです。一般的方法でよい結果が出ない場合には試してみるといい方法です。また、この低刺激法は卵巣に対する負担が小さいため、あまり治療をお休みすることなく、毎月できるというメリットもあります。 自然周期法 排卵誘発剤を使用せず、自然に発育する卵子を利用して治療を進めます。薬のアレルギーが心配な方などにメリットがあります。また高齢であったり、AMH低値、FSH高値の方で、排卵誘発剤を使用してもよい卵子の発育がみられない時、「自然周期法」であればよい卵子の発育を期待できることがあります。※これらのステップはあくまでも原則的なもので、状態により異なることがありますのでご了承ください。 体に優しい体外受精とは低刺激法や自然周期法は、排卵誘発剤の注射をできるだけ使用せず、体が卵子を育む力を利用して治療する方法です。通院回数が減り、痛い注射は不要、薬代が少ないというメリットがあります。卵巣が腫れる卵巣過剰刺激症候群を起こす心配もありませんし、多胎の可能性も大変低くなります。そのため「体に優しい体外受精」と呼ばれることもあります。デメリットとしては、従来の体外受精と比べて1回あたりの妊娠率が低くなることですが、マイペースに毎月繰り返して治療を受けることができるというよさもあります。 出典:Hanabusa with jineko.net ≫ 体外受精|不妊治療 ≫ 体外受精の流れ② ≫ 体外受精の流れ③ ≫ 体外受精の確率 ≫ 体外受精で妊娠 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 【PR】不妊治療・体外受精専門のなかむらレディースクリニックへ 【PR】体外受精を検討しているなら宮崎レディースクリニック ■ あわせて読みたい ■ 高度不妊治療① 卵巣刺激の方法 ロング法で結果が出ていないので排卵誘発の方法を変えたほうがいい? 排卵誘発剤の注射HMGで卵巣が腫れ腹水の副作用が。継続?それとも体外受精? 英ウィメンズクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.9.7
コラム 不妊治療
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5回の体外受精に失敗。体質改善で出産した経緯を語る
5回の体外受精に失敗。体質改善で出産した経緯を語る/渡邊美砂子さん(36歳) 胃の調子を整え、半年間の周期療法で妊娠 美砂子さんは32歳の時に結婚。34歳で妊娠しますが、初期に流産。子どもの頃から胃が弱く、油ものは苦手だったそうですが、それ以来おかゆやうどんのような軟らかいものを少ししか食べられなくなってしまいました。自分の体が弱っていることを実感し、以前から興味のあった漢方をやってみることにしました。 「もともと東洋医学が好きで、自分でツボ押しなどをよくやっていました。アトピーで悩んでいた友人が漢方でよくなったという話を聞き、興味を持っていたんです」 赤ちゃんを授かるための薬をもらおうと思って薬局に行き相談すると、まず処方されたのは胃の薬でした。胃の状態が悪いと薬を飲んでも吸収できないので、まずは胃を整えようということでした。 「薬を飲んで1カ月くらいで、何十年も悩まされてきた胃弱がよくなり、驚きました。胃が弱いのは体質で、治らないのかと思っていたんです」 それから低温期と高温期に合わせた周期調節法の薬を飲むようになり、半年後に妊娠。流産の経験があることから、安定期に入るまでは安胎作用のある漢方を処方してもらっていました。その後は順調に妊娠生活を送り、無事に出産。 「赤ちゃんが生まれたことはもちろん嬉しいですが、それに加えて胃の調子がずっといいのも嬉しいです。それと、漢方を始める前は仕事のことでイライラすることが多かったのですが、それもなくなりました。精神を安定させる効果もあるみたいですね。人や物事に怒りを持たないで済むので、精神的に楽になりました。気持ちが安定したというのも妊娠にはよかったみたいです」 落ち着いた気持ちで子どもと向き合える 妊娠中、おなかの中にいる真木梛ちゃんによく話しかけていたという美砂子さん。「予定日よりあとに出てきてね」と言っていたら、本当にそうなってくれたそう。妊娠中から赤ちゃんといいコミュニケーションがとれていたようです。だから生まれてからも気持ちが通じ合っているのでしょう。 「大変なこともありますが、すごく育てやすいです。おっぱいもよく飲んでくれるし、泣いていても理由がなんとなくわかります。夜泣きもしないので、私もぐっすり(笑)。人見知りもなく、私がいる範囲では誰に抱っこされてもニコニコしています」 美砂子さんが落ち着いた気持ちで真木梛ちゃんと向き合うことで、真木梛ちゃんも安心してゆったりと成長してくれているようです。 「漢方は正直言って、煎じて飲むという作業が大変。それでも2人目の時はまたお世話になると思います」 5回の体外受精に失敗。体質改善で出産した経緯を語る/渡邊美砂子さん(36歳) 胃の調子を整え、半年間の周期療法で妊娠 美砂子さんは32歳の時に結婚。34歳で妊娠しますが、初期に流産。子どもの頃から胃が弱く、油ものは苦手だったそうですが、それ以来おかゆやうどんのような軟らかいものを少ししか食べられなくなってしまいました。自分の体が弱っていることを実感し、以前から興味のあった漢方をやってみることにしました。 「もともと東洋医学が好きで、自分でツボ押しなどをよくやっていました。アトピーで悩んでいた友人が漢方でよくなったという話を聞き、興味を持っていたんです」 赤ちゃんを授かるための薬をもらおうと思って薬局に行き相談すると、まず処方されたのは胃の薬でした。胃の状態が悪いと薬を飲んでも吸収できないので、まずは胃を整えようということでした。 「薬を飲んで1カ月くらいで、何十年も悩まされてきた胃弱がよくなり、驚きました。胃が弱いのは体質で、治らないのかと思っていたんです」 それから低温期と高温期に合わせた周期調節法の薬を飲むようになり、半年後に妊娠。流産の経験があることから、安定期に入るまでは安胎作用のある漢方を処方してもらっていました。その後は順調に妊娠生活を送り、無事に出産。 「赤ちゃんが生まれたことはもちろん嬉しいですが、それに加えて胃の調子がずっといいのも嬉しいです。それと、漢方を始める前は仕事のことでイライラすることが多かったのですが、それもなくなりました。精神を安定させる効果もあるみたいですね。人や物事に怒りを持たないで済むので、精神的に楽になりました。気持ちが安定したというのも妊娠にはよかったみたいです」 落ち着いた気持ちで子どもと向き合える 妊娠中、おなかの中にいる真木梛ちゃんによく話しかけていたという美砂子さん。「予定日よりあとに出てきてね」と言っていたら、本当にそうなってくれたそう。妊娠中から赤ちゃんといいコミュニケーションがとれていたようです。だから生まれてからも気持ちが通じ合っているのでしょう。 「大変なこともありますが、すごく育てやすいです。おっぱいもよく飲んでくれるし、泣いていても理由がなんとなくわかります。夜泣きもしないので、私もぐっすり(笑)。人見知りもなく、私がいる範囲では誰に抱っこされてもニコニコしています」 美砂子さんが落ち着いた気持ちで真木梛ちゃんと向き合うことで、真木梛ちゃんも安心してゆったりと成長してくれているようです。 「漢方は正直言って、煎じて飲むという作業が大変。それでも2人目の時はまたお世話になると思います」
2015.3.23
コラム 不妊治療
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何度も採卵しましたがフラグメンテーションが多く胚盤胞まで育ちません
相談者 パピ さん(33歳) 今まで完全自然周期で4回採卵しています。いつも2個から5個採卵するのですが、 受精はするものの、その後、分裂が止まったり、異常分割したり、分割してもフラグメンテーションが多く胚盤胞まで育ちません。見た目は問題なく、なぜかフラグメンテーションが増えすぎてしまうと言われました。初めての採卵で3日目の胚を戻して妊娠しましたが、 完全流産に終わりました。その後、左右に3cmほどのチョコレート嚢胞があるため、胚盤胞まで育 てたほうがよいと言われて採卵をしましたが、胚盤胞までいきませんでした。初期の胚で妊娠できましたが、採卵して培養できない限り、また初期の胚を戻すのでは流産になるので、やはり胚盤胞まで育てたほうがいいのでしょうか? 胚盤胞まで育つには何度も採卵を繰り返しやれば望みはありますでしょうか? 施設の方針により初期胚を戻すことはできません。 -- 採卵できて受精はするものの、なかなか胚盤胞まで育ちにくいというご相談です。 山口先生: 一部の細胞が不規則に分裂して生じる小さな断片をフラグメンテーションというのですが、なぜ発生するのか、はっきりとした原因はまだわかっていません。 数年前までは、このような断片化があることによって胚の発育が悪くなるといわれていたのですが、現在、フラグメンテーションがあっても時間がたてば再吸収されて、 胚のグレードが良くなるといわれています。 つまりフラグメンテーションが起こったから、もう受精卵が胚盤胞にならないかとい うと決してそうではなくて、卵胞刺激や受 精の方法を変えたりしながら何回も根気よく繰り返すうちに、良好胚が得られるケースもあるのです。 -- 現在は完全自然周期での採卵しかされていません。卵胞刺激で良好胚になりますか? 山口先生: 受精は成立しているのですから、 調節卵胞刺激など他の方法を試しながら採卵を繰り返すことで望みはあると思います。 受精方法も通常の体外受精と顕微授精の2つのグループに分けて行うことで、グレー ドの良い胚が得られる可能性があります。 それでもなお、フラグメンテーションの多い胚しかできず、胚盤胞まで育たないのであれば、初期胚移植を試みるべきでしょう。通院されている施設では行っていないということなので難しいのかもしれませんが、初期胚と胚盤胞を二段階で移植してみるのもいいと思います。パピさんは以前に「初期の胚で妊娠できました」とのことですから、一度、初期胚での移植を試みる価値があるのではないでしょうか。そのような 治療のためにも、自然周期やクロミフェンだけでなく、もう少し刺激の強い方法で卵胞刺激を行い、1回の採卵数を増やすことがポイントかと思います。 -- 体内の環境についてはどうでしょうか? 山口先生: 妊娠率を上げるには、チョコレート嚢胞に対するアプローチを考えるべきかもしれませんね。チョコレート嚢胞を除去し、卵巣内での卵胞発育環境が良くなれば、 良好な卵子が採取できる可能性が高まると思います。フラグメンテーションが減るかどうかは試してみないとわからないのですが、術後の妊娠には母体年齢も大きく作用 します。まだ年齢がお若い段階で手術に踏み切って採卵に臨むというのは大変良い選択かと思います。 初期流産というつらい経験も、ご自身が自然に妊娠できる要素をお持ちだということです。マイナスばかりに目を向ける必要はありません。まずは腹腔鏡下手術によって卵管周辺や卵巣周囲の癒着の有無なども確認し、術後に低刺激での卵巣刺激で採卵してみるというのはどうでしょう。採卵時に排卵していたら人工授精を併用するのもいいでしょう。手術療法を試みて、同時に腹腔内の状態を確認することは、妊孕能を改善するうえでも重要なことです。治療の選択肢が大きく広がると思います。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.25 2015 Spring≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! 山口 剛史先生 奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学研究科統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都府立与謝の海病院産婦人科医長勤務などを経て、2010 年より醍醐渡辺クリニック勤務。O型・天秤座。大学時代はラグビー部に所属されていた先生は、現在も数年ごとにOB戦に出場。「試合後の回復力がどんどん落ちているのがツライ」と苦笑いされながら、日常でもランニングなどで体力維持に余念がありません。 相談者 パピ さん(33歳) 今まで完全自然周期で4回採卵しています。いつも2個から5個採卵するのですが、 受精はするものの、その後、分裂が止まったり、異常分割したり、分割してもフラグメンテーションが多く胚盤胞まで育ちません。見た目は問題なく、なぜかフラグメンテーションが増えすぎてしまうと言われました。初めての採卵で3日目の胚を戻して妊娠しましたが、 完全流産に終わりました。その後、左右に3cmほどのチョコレート嚢胞があるため、胚盤胞まで育 てたほうがよいと言われて採卵をしましたが、胚盤胞までいきませんでした。初期の胚で妊娠できましたが、採卵して培養できない限り、また初期の胚を戻すのでは流産になるので、やはり胚盤胞まで育てたほうがいいのでしょうか? 胚盤胞まで育つには何度も採卵を繰り返しやれば望みはありますでしょうか? 施設の方針により初期胚を戻すことはできません。 -- 採卵できて受精はするものの、なかなか胚盤胞まで育ちにくいというご相談です。 山口先生: 一部の細胞が不規則に分裂して生じる小さな断片をフラグメンテーションというのですが、なぜ発生するのか、はっきりとした原因はまだわかっていません。 数年前までは、このような断片化があることによって胚の発育が悪くなるといわれていたのですが、現在、フラグメンテーションがあっても時間がたてば再吸収されて、 胚のグレードが良くなるといわれています。 つまりフラグメンテーションが起こったから、もう受精卵が胚盤胞にならないかとい うと決してそうではなくて、卵胞刺激や受 精の方法を変えたりしながら何回も根気よく繰り返すうちに、良好胚が得られるケースもあるのです。 -- 現在は完全自然周期での採卵しかされていません。卵胞刺激で良好胚になりますか? 山口先生: 受精は成立しているのですから、 調節卵胞刺激など他の方法を試しながら採卵を繰り返すことで望みはあると思います。 受精方法も通常の体外受精と顕微授精の2つのグループに分けて行うことで、グレー ドの良い胚が得られる可能性があります。 それでもなお、フラグメンテーションの多い胚しかできず、胚盤胞まで育たないのであれば、初期胚移植を試みるべきでしょう。通院されている施設では行っていないということなので難しいのかもしれませんが、初期胚と胚盤胞を二段階で移植してみるのもいいと思います。パピさんは以前に「初期の胚で妊娠できました」とのことですから、一度、初期胚での移植を試みる価値があるのではないでしょうか。そのような 治療のためにも、自然周期やクロミフェンだけでなく、もう少し刺激の強い方法で卵胞刺激を行い、1回の採卵数を増やすことがポイントかと思います。 -- 体内の環境についてはどうでしょうか? 山口先生: 妊娠率を上げるには、チョコレート嚢胞に対するアプローチを考えるべきかもしれませんね。チョコレート嚢胞を除去し、卵巣内での卵胞発育環境が良くなれば、 良好な卵子が採取できる可能性が高まると思います。フラグメンテーションが減るかどうかは試してみないとわからないのですが、術後の妊娠には母体年齢も大きく作用 します。まだ年齢がお若い段階で手術に踏み切って採卵に臨むというのは大変良い選択かと思います。 初期流産というつらい経験も、ご自身が自然に妊娠できる要素をお持ちだということです。マイナスばかりに目を向ける必要はありません。まずは腹腔鏡下手術によって卵管周辺や卵巣周囲の癒着の有無なども確認し、術後に低刺激での卵巣刺激で採卵してみるというのはどうでしょう。採卵時に排卵していたら人工授精を併用するのもいいでしょう。手術療法を試みて、同時に腹腔内の状態を確認することは、妊孕能を改善するうえでも重要なことです。治療の選択肢が大きく広がると思います。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.25 2015 Spring≫ マガジンの記事がすべてご覧いただけます! 山口 剛史先生 奈良県立医科大学卒業。2007年京都府立医科大学大学院医学研究科統合医科学専攻、同博士課程修了。公立南丹病院、京都府立与謝の海病院産婦人科医長勤務などを経て、2010 年より醍醐渡辺クリニック勤務。O型・天秤座。大学時代はラグビー部に所属されていた先生は、現在も数年ごとにOB戦に出場。「試合後の回復力がどんどん落ちているのがツライ」と苦笑いされながら、日常でもランニングなどで体力維持に余念がありません。
2015.3.10
コラム 不妊治療
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採卵は多いほうがいい?最適な移植時期は?
相談者 シノさん(40歳)■ 3回目の胚盤胞移植で初めての陽性でしたが、2度目の流産が確定してしまいました。昨年採卵し凍結した胚盤胞があと2個ありますが、私の通う病院ではグレードを付けていないので心配です。高齢とAMH値の低さから、再度採卵したほうがいいのでは?と悩んでいます。 採卵しておくのも1つの方法 シノさんの場合は40歳と年齢が高いので、採卵しておきたいというお気持ちはわかります。たとえば、40歳で採った卵子を45歳で子宮に戻しても、40歳当時の妊娠率も凍結されているということなので、それも正解の1つ。ただ、残り2個の胚では心配とのことですが、年齢からいうと、去年採った卵子は今年採った卵子よりいいはず。だから、どちらも正解といえば正解なんですね。では、採卵するなら何個採ればいいのか……となると難しい。卵子が1個しか採れなくても1人産む方もいれば、200個採っても子どもをもてない方もいるように、すごく個人差がありますから。アメリカのデータでは、体外受精で15.1個に1人の赤ちゃんというのが平均です。1回の採卵で15個くらいまでは採れた卵子の数に従って妊娠率が上がっていくんですよ。ですから、1回の採卵で15~20個あればすごく有利です。現在は禁止されていますが、以前、韓国で卵子提供を行っていた時は、だいたい17個で1人の赤ちゃんが生まれるというデータがわかっています。もともと、それほど確率は高くないのです。だから、卵子を採っておくことも1つの方法ですし、あるいはその間に何か条件を整えるとか。当院では、42~43歳の重症の子宮筋腫の方が、先に何個か採卵した後に手術をして、44~45歳で移植して出産されたというケースもあります。 相談者 まるさん(32歳)■ 今まで移植5回のうち、4回初期胚移植↓陰性、1回凍結胚盤胞移植↓陽性、のち初期流産という結果でした。今週また採卵予定ですが、もし何個か受精できたら、胚盤胞まで培養してもらうか、初期胚で移植するか迷っています。 どちらがいいとは一概には言えません 初期胚と胚盤胞ではどちらを移植したほうがいいかというのは、本来、比べられないことです。そもそも体外受精は、初期胚移植から始まりました。体外受精の過程で、一番難しい技術が体外培養でした。胚盤胞培養は日進月歩で進歩し、今、ようやく実施できるようになってきた技術なのです。ですから、ラボの培養技術や手技が、胚盤胞の形成率にすごく影響してきます。ストレスに強い卵子かどうかの個人差や年齢の影響も大きく、若い方の場合は卵子が10個採れたら4~5個胚盤胞になるというのが平均ですが、40歳以上の方の場合は、胚盤胞になるのは1~3個ほどです。当初は期待して始められた治療法でしたが、決して成績がいいというわけではありません。その理由は、受精卵は長い間培養すると、負荷がかかります。胚盤胞培養は要するに、競技の予選と同じようなもので、負荷がかかっても、その逆境を乗り越えた卵は強く、妊娠率は高い。だから卵がたくさんある場合は「いい卵を選びやすい」という方法なのです。移植あたりの妊娠率は初期胚よりいいのですが、それは分母を絞っているだけなのです。胚盤胞までいかない胚は、数に入っていませんから。また、患者さんが高齢になると、予選でダメになる卵子が多いので、成績は期待できないということがあ ります。卵子が少なかったり、年齢が高い人の場合は、初期胚で早く子宮環境に戻してあげたほうが救える卵がいっぱいあるかもしれない。だから、胚盤胞と初期胚、どちらがいいかというのは、一概には言えないのです。どちらを選択するかは、その人の年齢や、予備能、できている受精卵の数などから判断して行うべきだと思います。 むしろ、新鮮胚移植か凍結胚移植かが重要 まるさんは、初期胚は新鮮胚移植をしたということですが、実は、ここにも大きな違いがあります。移植あたりの妊娠率は、新鮮胚移植と凍結胚移植で全然違うのです。同じ年齢の方で統計を取ると、凍結胚移植のほうが妊娠率は常にいいのです。そのため、当院では、新鮮胚移植は行わなくなりましたが、一応の基準は、40歳以下なら、一部の受精卵を1日目の一番ダメージが少ない前核期胚で凍結。残った受精卵のうち、胚盤胞になったものを凍結します。前核期胚も凍結しておくことで、胚盤胞に至る受精卵がなくても、移植できないという事態を防ぐのです。具体的にご説明すると、たとえば卵子が10個採れて、半分を前核期胚で凍結し、半分を培養したが1個も胚盤胞の凍結ができなかったとします。その場合、同じ時期に採れた卵子の前核期胚ですから、前核期胚の凍結卵でも妊娠は難しいのでは、と思いますよね。ところが、それを移植すると、ちゃんと妊娠率が出るのです。このように、無理に胚盤胞培養に持っていくと、移植のチャンスがあった方の機会をなくしてしまうと考え、当院では両方の凍結を行っているのです。また、40歳以上の方は凍結できる胚盤胞の数がグッと減りますので、基本的に前核期胚で凍結し、分割期胚で移植します。日本産科婦人科学会の全国平均や世界の状況を見ても、凍結胚のほうがいいという考えは間違いないので、私はすべて凍結しようと考えていますが、凍結技術が低い施設では、新鮮胚のほうが安全ですよ、ということになります。つまり、施設の技術の差がすごく大きく影響するんですね。ですから、凍結したほうがいいけれど、その施設の技術が高いことが前提条件です。 浅田 義正 先生 名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を 用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅 田レディース名古屋駅前クリニック開院。最近はテレビや雑誌などの取材が増えているそう。マスコミを通じて先生が推奨するAMHの計測などの認知度が高まり、「僕の望んできた状況になってきたというのが、今一番感じていることですね」と先生。 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 ■ あわせて読みたい ■ 体外受精の胚移植 6回の胚移植で結果が出ないのは卵子の質のせい?方法を変えたほうがいい? 子宮内膜症があります 9回胚移植していますが着床しないのはなぜ? 浅田レディースクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる 相談者 シノさん(40歳)■ 3回目の胚盤胞移植で初めての陽性でしたが、2度目の流産が確定してしまいました。昨年採卵し凍結した胚盤胞があと2個ありますが、私の通う病院ではグレードを付けていないので心配です。高齢とAMH値の低さから、再度採卵したほうがいいのでは?と悩んでいます。 採卵しておくのも1つの方法 シノさんの場合は40歳と年齢が高いので、採卵しておきたいというお気持ちはわかります。たとえば、40歳で採った卵子を45歳で子宮に戻しても、40歳当時の妊娠率も凍結されているということなので、それも正解の1つ。ただ、残り2個の胚では心配とのことですが、年齢からいうと、去年採った卵子は今年採った卵子よりいいはず。だから、どちらも正解といえば正解なんですね。では、採卵するなら何個採ればいいのか……となると難しい。卵子が1個しか採れなくても1人産む方もいれば、200個採っても子どもをもてない方もいるように、すごく個人差がありますから。アメリカのデータでは、体外受精で15.1個に1人の赤ちゃんというのが平均です。1回の採卵で15個くらいまでは採れた卵子の数に従って妊娠率が上がっていくんですよ。ですから、1回の採卵で15~20個あればすごく有利です。現在は禁止されていますが、以前、韓国で卵子提供を行っていた時は、だいたい17個で1人の赤ちゃんが生まれるというデータがわかっています。もともと、それほど確率は高くないのです。だから、卵子を採っておくことも1つの方法ですし、あるいはその間に何か条件を整えるとか。当院では、42~43歳の重症の子宮筋腫の方が、先に何個か採卵した後に手術をして、44~45歳で移植して出産されたというケースもあります。 相談者 まるさん(32歳)■ 今まで移植5回のうち、4回初期胚移植↓陰性、1回凍結胚盤胞移植↓陽性、のち初期流産という結果でした。今週また採卵予定ですが、もし何個か受精できたら、胚盤胞まで培養してもらうか、初期胚で移植するか迷っています。 どちらがいいとは一概には言えません 初期胚と胚盤胞ではどちらを移植したほうがいいかというのは、本来、比べられないことです。そもそも体外受精は、初期胚移植から始まりました。体外受精の過程で、一番難しい技術が体外培養でした。胚盤胞培養は日進月歩で進歩し、今、ようやく実施できるようになってきた技術なのです。ですから、ラボの培養技術や手技が、胚盤胞の形成率にすごく影響してきます。ストレスに強い卵子かどうかの個人差や年齢の影響も大きく、若い方の場合は卵子が10個採れたら4~5個胚盤胞になるというのが平均ですが、40歳以上の方の場合は、胚盤胞になるのは1~3個ほどです。当初は期待して始められた治療法でしたが、決して成績がいいというわけではありません。その理由は、受精卵は長い間培養すると、負荷がかかります。胚盤胞培養は要するに、競技の予選と同じようなもので、負荷がかかっても、その逆境を乗り越えた卵は強く、妊娠率は高い。だから卵がたくさんある場合は「いい卵を選びやすい」という方法なのです。移植あたりの妊娠率は初期胚よりいいのですが、それは分母を絞っているだけなのです。胚盤胞までいかない胚は、数に入っていませんから。また、患者さんが高齢になると、予選でダメになる卵子が多いので、成績は期待できないということがあ ります。卵子が少なかったり、年齢が高い人の場合は、初期胚で早く子宮環境に戻してあげたほうが救える卵がいっぱいあるかもしれない。だから、胚盤胞と初期胚、どちらがいいかというのは、一概には言えないのです。どちらを選択するかは、その人の年齢や、予備能、できている受精卵の数などから判断して行うべきだと思います。 むしろ、新鮮胚移植か凍結胚移植かが重要 まるさんは、初期胚は新鮮胚移植をしたということですが、実は、ここにも大きな違いがあります。移植あたりの妊娠率は、新鮮胚移植と凍結胚移植で全然違うのです。同じ年齢の方で統計を取ると、凍結胚移植のほうが妊娠率は常にいいのです。そのため、当院では、新鮮胚移植は行わなくなりましたが、一応の基準は、40歳以下なら、一部の受精卵を1日目の一番ダメージが少ない前核期胚で凍結。残った受精卵のうち、胚盤胞になったものを凍結します。前核期胚も凍結しておくことで、胚盤胞に至る受精卵がなくても、移植できないという事態を防ぐのです。具体的にご説明すると、たとえば卵子が10個採れて、半分を前核期胚で凍結し、半分を培養したが1個も胚盤胞の凍結ができなかったとします。その場合、同じ時期に採れた卵子の前核期胚ですから、前核期胚の凍結卵でも妊娠は難しいのでは、と思いますよね。ところが、それを移植すると、ちゃんと妊娠率が出るのです。このように、無理に胚盤胞培養に持っていくと、移植のチャンスがあった方の機会をなくしてしまうと考え、当院では両方の凍結を行っているのです。また、40歳以上の方は凍結できる胚盤胞の数がグッと減りますので、基本的に前核期胚で凍結し、分割期胚で移植します。日本産科婦人科学会の全国平均や世界の状況を見ても、凍結胚のほうがいいという考えは間違いないので、私はすべて凍結しようと考えていますが、凍結技術が低い施設では、新鮮胚のほうが安全ですよ、ということになります。つまり、施設の技術の差がすごく大きく影響するんですね。ですから、凍結したほうがいいけれど、その施設の技術が高いことが前提条件です。 浅田 義正 先生 名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を 用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅 田レディース名古屋駅前クリニック開院。最近はテレビや雑誌などの取材が増えているそう。マスコミを通じて先生が推奨するAMHの計測などの認知度が高まり、「僕の望んできた状況になってきたというのが、今一番感じていることですね」と先生。 【PR】体外受精をお考えなら。田村秀子産婦人科医院 ■ あわせて読みたい ■ 体外受精の胚移植 6回の胚移植で結果が出ないのは卵子の質のせい?方法を変えたほうがいい? 子宮内膜症があります 9回胚移植していますが着床しないのはなぜ? 浅田レディースクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる
2013.10.10
コラム 不妊治療
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胚移植後に三陰交へお灸をするのは、流産の原因になるのでしょうか?
相談者 ゆいかさん(35歳)■ 先月の29日に体外受精し、2日目に新鮮胚移植をしました。今月の1日に不妊に詳しいといわれている鍼灸院で、三陰交などへの鍼やお灸をしてもらいました。自宅での三陰交や関元へのお灸をすすめられ、計3回行いました。ところが、移植後は三陰交への鍼やお灸はしない方がいい、流産の原因になるという記事をネットで読みました。真実はどうなのか、とても不安です。 鍼灸は全身のツボを組み合わせて効果をだすから、1つのツボが流産を誘導はしない。三陰交は子宮の血流を増加させ、生殖機能を高める補腎・補血のツボとして古来より重要とされてきました。三陰交が流産を促すツボであれば、不妊の方への使用は禁忌となるはず ゆいかさんの月経の状態が年齢とともに変化してきたのは、加齢による「腎気」の低下かと思われます。「腎」は、月経や卵巣機能などの生殖器系をつかさどります。また、めまいや立ちくらみをおこしたり、落ち込みやすいことから気虚や血虚、腹部瘀血 やのぼせなどもあるかと思われます。東洋医学では「五行(木・火・土・金・水)」を体と対応させ、それらのバランスを調整することで妊娠力を向上させます。鍼灸の治療は全身のツボを組み合わせて効果をだすので、1つのツボが流産を引き起こすことはないのです。三陰交が流産を促すツボであれば、不妊の方への使用は禁忌となるでしょうが、そのような事実はまったくありません。 心と体は密接に結びついているので、ゆったりした気持ちで過ごすことが大切 心配事は体を緊張させ、気・血・津液の流れがとどこおり、子宮内の環境が悪化します。安心してゆったり過ごすことで、妊娠力を高めることができます。インターネットではさまざまなうわさが事実のように書き込まれていますので、心配の種を見つけることもあるかと思います。情報に振り回される性格だからと、妊娠中不要不急なネット検索を控えた方もいました。心と体は密接に結びついています。ゆったりした気持ちで過ごし、食事はバランスよく、冷たいものは控えます。さらに薄着は避けて冷えが気になるときはしっかり保温、それでも冷えるならカイロなどで加温し てください。しめつける服や下着は避けて、できれば靴下は五本指ソックスを履きましょう。赤ちゃんは天からの授かりものです。その赤ちゃんをお母さんがしっかり受け止めてあげることで、子宮に根を張り成長してくれます。赤ちゃんの生命力を信じ、ていねいな生活を送ることで妊娠力が向上します。ゆいかさんにコウノトリが飛んできますよう、心よりお祈りしております。 山田 紘子 先生 整形外科クリニックで鍼灸治療を学んだ後、外資系ホテル内スパ、表参道ヒルズ内スパにて、スパマネージャーとして勤務。予約の取れないセラピストとして活躍。現在八王子市に女性専用治療院を開設。東洋医学、西洋医学両方の観点から研究したオリジナルの子宝鍼灸治療を行っている。 相談者 ゆいかさん(35歳)■ 先月の29日に体外受精し、2日目に新鮮胚移植をしました。今月の1日に不妊に詳しいといわれている鍼灸院で、三陰交などへの鍼やお灸をしてもらいました。自宅での三陰交や関元へのお灸をすすめられ、計3回行いました。ところが、移植後は三陰交への鍼やお灸はしない方がいい、流産の原因になるという記事をネットで読みました。真実はどうなのか、とても不安です。 鍼灸は全身のツボを組み合わせて効果をだすから、1つのツボが流産を誘導はしない。三陰交は子宮の血流を増加させ、生殖機能を高める補腎・補血のツボとして古来より重要とされてきました。三陰交が流産を促すツボであれば、不妊の方への使用は禁忌となるはず ゆいかさんの月経の状態が年齢とともに変化してきたのは、加齢による「腎気」の低下かと思われます。「腎」は、月経や卵巣機能などの生殖器系をつかさどります。また、めまいや立ちくらみをおこしたり、落ち込みやすいことから気虚や血虚、腹部瘀血 やのぼせなどもあるかと思われます。東洋医学では「五行(木・火・土・金・水)」を体と対応させ、それらのバランスを調整することで妊娠力を向上させます。鍼灸の治療は全身のツボを組み合わせて効果をだすので、1つのツボが流産を引き起こすことはないのです。三陰交が流産を促すツボであれば、不妊の方への使用は禁忌となるでしょうが、そのような事実はまったくありません。 心と体は密接に結びついているので、ゆったりした気持ちで過ごすことが大切 心配事は体を緊張させ、気・血・津液の流れがとどこおり、子宮内の環境が悪化します。安心してゆったり過ごすことで、妊娠力を高めることができます。インターネットではさまざまなうわさが事実のように書き込まれていますので、心配の種を見つけることもあるかと思います。情報に振り回される性格だからと、妊娠中不要不急なネット検索を控えた方もいました。心と体は密接に結びついています。ゆったりした気持ちで過ごし、食事はバランスよく、冷たいものは控えます。さらに薄着は避けて冷えが気になるときはしっかり保温、それでも冷えるならカイロなどで加温し てください。しめつける服や下着は避けて、できれば靴下は五本指ソックスを履きましょう。赤ちゃんは天からの授かりものです。その赤ちゃんをお母さんがしっかり受け止めてあげることで、子宮に根を張り成長してくれます。赤ちゃんの生命力を信じ、ていねいな生活を送ることで妊娠力が向上します。ゆいかさんにコウノトリが飛んできますよう、心よりお祈りしております。 山田 紘子 先生 整形外科クリニックで鍼灸治療を学んだ後、外資系ホテル内スパ、表参道ヒルズ内スパにて、スパマネージャーとして勤務。予約の取れないセラピストとして活躍。現在八王子市に女性専用治療院を開設。東洋医学、西洋医学両方の観点から研究したオリジナルの子宝鍼灸治療を行っている。
2013.6.26
コラム 不妊治療
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不妊治療と鍼灸治療を併用していますが、日常生活で気をつけたらいいことは何ですか?
相談者 penginさん(38歳)■ 不妊治療をはじめて2年になり、体外受精にステップアップして4か月目です。今まで二度体外受精に挑戦し、1回目は移植後途中で分割がストップし、2回目は移植前に成長が止まってしまいました。先月から鍼灸院にも通っていますが、直後はポカポカしていてもすぐに腰から足にかけて冷えてしまいます。辛いものは苦手ですが、香味野菜は好きなので意識的に摂っています。 鍼で腎気を補って瘀血を改善させ、お灸で骨盤や内臓を温めてホルモンのバランスを調整する 20代の若い時期に、子宮内膜症になりかけて、8年間もピルを服用されていたことがとても気になります。というのも、ピルの長期間服用は腎虚傾向になりやすいからです。 過度のストレスは卵胞ホルモン、黄体放出ホルモンをアンバランスにする 腎虚になると、結果的に血流が悪くなり瘀血になります。Penginさんも腎虚からくる瘀血になっていると思います。瘀血になると、代謝異常や月経困難、湿疹など皮膚への影響もおきやすく、血圧異常や肥満傾向にもなります。また、腎の陽気を損なうので、下半身がとくに冷えやすくなります。腎は生殖機能をつかさどっているので、子宮・卵巣などへの影響も少なくないのです。間脳にある、視床下部は情動行動中枢で、ストレスの影響を受けやすい。また、体温調節中枢・下垂体ホルモン調節中枢でもあるので、過度のストレスは卵胞ホルモン・黄体放出ホルモンにアンバランスをおこすことがあります。趣味を見つけたり、気分転換をするなどして、できるだけストレスをためない生活を心がけましょう。 不妊治療のすべての過程が、幸せな気持ちで行えるような心構えが大切 辛いものは苦手とのことですが、適量の辛味は腎を助けます。また、肺や大腸にも効能があり、ストレスを発散し、体を温めてくれます。らっきょう、しそ、たまねぎなどを使ってみてはいかがでしょうか。鍼で腎気を補うことで瘀血を改善させ、お灸で骨盤や内臓を温めていくことでホルモンのバランスを調整していくことをおすすめします。鍼灸を続けることで、良い卵子ができるようになり、栄養に満ちたフカフカの子宮内膜に改善し、受精卵をしっかり着床することができるようになります。ただ、受精卵を着床させるために最も大切なことは、不妊治療が機械的な作業になるのではなく、プロセスをふくめて、すべての過程が幸せな気持ちで行えること、幸せな時間であることが、より効果をあげ てくれると思います。イライラやストレスがあると、せっかくの不妊治療、鍼灸治療も効果が半減されてしまいますから。 原 徳子 先生 女性特有の症状を専門にした治療を長年行っています。婦人科・マタニティ・不妊・ストレスなど、メンタル面のカウンセリングも同時に進めながら、心と体の両面をサポートしています。 相談者 penginさん(38歳)■ 不妊治療をはじめて2年になり、体外受精にステップアップして4か月目です。今まで二度体外受精に挑戦し、1回目は移植後途中で分割がストップし、2回目は移植前に成長が止まってしまいました。先月から鍼灸院にも通っていますが、直後はポカポカしていてもすぐに腰から足にかけて冷えてしまいます。辛いものは苦手ですが、香味野菜は好きなので意識的に摂っています。 鍼で腎気を補って瘀血を改善させ、お灸で骨盤や内臓を温めてホルモンのバランスを調整する 20代の若い時期に、子宮内膜症になりかけて、8年間もピルを服用されていたことがとても気になります。というのも、ピルの長期間服用は腎虚傾向になりやすいからです。 過度のストレスは卵胞ホルモン、黄体放出ホルモンをアンバランスにする 腎虚になると、結果的に血流が悪くなり瘀血になります。Penginさんも腎虚からくる瘀血になっていると思います。瘀血になると、代謝異常や月経困難、湿疹など皮膚への影響もおきやすく、血圧異常や肥満傾向にもなります。また、腎の陽気を損なうので、下半身がとくに冷えやすくなります。腎は生殖機能をつかさどっているので、子宮・卵巣などへの影響も少なくないのです。間脳にある、視床下部は情動行動中枢で、ストレスの影響を受けやすい。また、体温調節中枢・下垂体ホルモン調節中枢でもあるので、過度のストレスは卵胞ホルモン・黄体放出ホルモンにアンバランスをおこすことがあります。趣味を見つけたり、気分転換をするなどして、できるだけストレスをためない生活を心がけましょう。 不妊治療のすべての過程が、幸せな気持ちで行えるような心構えが大切 辛いものは苦手とのことですが、適量の辛味は腎を助けます。また、肺や大腸にも効能があり、ストレスを発散し、体を温めてくれます。らっきょう、しそ、たまねぎなどを使ってみてはいかがでしょうか。鍼で腎気を補うことで瘀血を改善させ、お灸で骨盤や内臓を温めていくことでホルモンのバランスを調整していくことをおすすめします。鍼灸を続けることで、良い卵子ができるようになり、栄養に満ちたフカフカの子宮内膜に改善し、受精卵をしっかり着床することができるようになります。ただ、受精卵を着床させるために最も大切なことは、不妊治療が機械的な作業になるのではなく、プロセスをふくめて、すべての過程が幸せな気持ちで行えること、幸せな時間であることが、より効果をあげ てくれると思います。イライラやストレスがあると、せっかくの不妊治療、鍼灸治療も効果が半減されてしまいますから。 原 徳子 先生 女性特有の症状を専門にした治療を長年行っています。婦人科・マタニティ・不妊・ストレスなど、メンタル面のカウンセリングも同時に進めながら、心と体の両面をサポートしています。
2013.6.26
コラム 不妊治療
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冷え性で体外受精を4回しましたが、 一度も着床しません。年齢的に卵の老化が心配
相談者 TOAさん(42歳)■ 冷え性が体質だと思っていましたが、不妊治療をはじめたころから、冷えは良くないことを知りました。漢方薬を服用しましたが、長年の冷えは解消されませんでした。子宮筋腫が大きくなってきているといわれ、体外受精は4回したのですが、一度も着床しません。年齢的に卵が老化してしまっているのではないかと不安です。どのように体質改善したらいいのでしょうか? 原因をいろいろ探して悩むよりも、体質改善のために不妊に詳しい漢方薬局で相談を 不妊治療で卵巣やホルモンなどの生殖能力に関係する臓器は「腎」で、その働きが重要です。自覚症状を診てみますと、低温期が長い、月経期間が短い、月経血量が少ないなど、「腎陰」の働きが弱いし、高温期が短い、体温が全体的に低い、冷え性など「腎陽」の働きも弱いようです。 生殖能力の働きを高める動物生薬が配合されている「補腎薬」を用いる 疲れやすい、足腰のだるさや冷えなどから「脾腎両虚」の症状があります。また、子宮筋腫が大きくなっていることから「瘀血」の症状もみられます。治療のポイントとしては、生殖能力の働きを高める「補腎薬」を用います。八味丸も補腎薬ですが、動物生薬が配合されている中成薬で「腎精不足」を補います。それから子宮筋腫が大きくなってきているということなので、瘀血症状をより改善するために「活血破血薬」を用います。さらに着床がしにくいことから、子宮内膜を補う「補血薬」も用います。「当帰芍薬散」は補血薬ですが、補血薬に補気薬も配合されていて、疲れやすい状態も改善される「気血双補薬」の方がいいでしょう。 不安な気持ちは「不妊カウンセラー」に相談すると気持ちが安らかになる 年齢的に卵が老化しているのかが不安ということですが、それに関連する検査の1つである「AMH」の数値はどうなのでしょうか?不妊治療は、みなさん不安で一杯です。その不安を「不妊カウンセラー」の方に相談してみてください。きっと気持ちが安らかになると思います。日常生活では、体を冷やさないように、冷たい飲食物は控えめにしてください。またホルモンの働きが良くなるように、午後10時~午前2時は熟睡しているように、早寝の心がけを。瘀血の改善、予防にはウォーキングなどの軽い運動や、体を温めて血行を良くする入浴を毎日しましょう。不妊の原因をいろいろ探して悩むよりも、今より少しでも妊娠しやすい体質に変えるために、不妊に詳しい漢方薬局で相談をしてみてください。西洋医学と中医学を上手に組み合わせて、TOA さんが子宝に恵まれますように。 渡邊 英俊 先生 薬剤師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・教員免許を持つ。西洋医学を学び、中医師より中医学の教えを受け、北京で研修をする。また不妊学会で研鑽を積み、学会認定の「不妊カウンセラー」「生殖医療相談士」を取得する。県外からも男女不妊症の患者様が来店され、信頼を得ている。NHK や民放のテレビ・ラジオに出演したり、専門学校の講師や講演会でも活躍中。 相談者 TOAさん(42歳)■ 冷え性が体質だと思っていましたが、不妊治療をはじめたころから、冷えは良くないことを知りました。漢方薬を服用しましたが、長年の冷えは解消されませんでした。子宮筋腫が大きくなってきているといわれ、体外受精は4回したのですが、一度も着床しません。年齢的に卵が老化してしまっているのではないかと不安です。どのように体質改善したらいいのでしょうか? 原因をいろいろ探して悩むよりも、体質改善のために不妊に詳しい漢方薬局で相談を 不妊治療で卵巣やホルモンなどの生殖能力に関係する臓器は「腎」で、その働きが重要です。自覚症状を診てみますと、低温期が長い、月経期間が短い、月経血量が少ないなど、「腎陰」の働きが弱いし、高温期が短い、体温が全体的に低い、冷え性など「腎陽」の働きも弱いようです。 生殖能力の働きを高める動物生薬が配合されている「補腎薬」を用いる 疲れやすい、足腰のだるさや冷えなどから「脾腎両虚」の症状があります。また、子宮筋腫が大きくなっていることから「瘀血」の症状もみられます。治療のポイントとしては、生殖能力の働きを高める「補腎薬」を用います。八味丸も補腎薬ですが、動物生薬が配合されている中成薬で「腎精不足」を補います。それから子宮筋腫が大きくなってきているということなので、瘀血症状をより改善するために「活血破血薬」を用います。さらに着床がしにくいことから、子宮内膜を補う「補血薬」も用います。「当帰芍薬散」は補血薬ですが、補血薬に補気薬も配合されていて、疲れやすい状態も改善される「気血双補薬」の方がいいでしょう。 不安な気持ちは「不妊カウンセラー」に相談すると気持ちが安らかになる 年齢的に卵が老化しているのかが不安ということですが、それに関連する検査の1つである「AMH」の数値はどうなのでしょうか?不妊治療は、みなさん不安で一杯です。その不安を「不妊カウンセラー」の方に相談してみてください。きっと気持ちが安らかになると思います。日常生活では、体を冷やさないように、冷たい飲食物は控えめにしてください。またホルモンの働きが良くなるように、午後10時~午前2時は熟睡しているように、早寝の心がけを。瘀血の改善、予防にはウォーキングなどの軽い運動や、体を温めて血行を良くする入浴を毎日しましょう。不妊の原因をいろいろ探して悩むよりも、今より少しでも妊娠しやすい体質に変えるために、不妊に詳しい漢方薬局で相談をしてみてください。西洋医学と中医学を上手に組み合わせて、TOA さんが子宝に恵まれますように。 渡邊 英俊 先生 薬剤師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・教員免許を持つ。西洋医学を学び、中医師より中医学の教えを受け、北京で研修をする。また不妊学会で研鑽を積み、学会認定の「不妊カウンセラー」「生殖医療相談士」を取得する。県外からも男女不妊症の患者様が来店され、信頼を得ている。NHK や民放のテレビ・ラジオに出演したり、専門学校の講師や講演会でも活躍中。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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不妊治療と漢方薬を併用していますが、薬の数が多くなり金銭的なダメージがあります
相談者 祈梨さん(31歳)■ 病院の先生からは「とくに問題ない」といわれますが、体外受精しても着床しづらく、うまくいきません。体質改善のため漢方専門のの薬局でアドバイスをもらい漢方服用を始めたら、基礎体温が整ってきました。このまま続けて妊娠までいきたいのですが、薬の数が多くて服用するのが苦痛なうえ、薬代がとても高額になり、金銭面、精神面でもダメージがあります。 治したい症状が多い程、漢方薬せて、日常生活での養生も行いましょう 気になる症状から診て、「血虚」「肝気鬱血」「瘀血 」の状態が考えられます。中医学では、血と気はつながっていますので、気のめぐりが悪いことから、血のめぐりも悪くなり(逆もある)、結果、瘀血の状態になり、いろいろな症状がでているのだと思います。 周期調節法をメインにしながら、補血作用のある婦宝当帰膠をベースにする 血虚の状態は子宮内膜の血流も悪くなりますし、内膜症などの基礎疾患も卵巣機能の低下により着床に影響がでている可能性があります。妊娠しやすい体質にするには血虚、肝鬱、瘀血の状態を少しで改善していくことで、子宮内膜も血流が良くなり、フカフカの温かいベッドをつくることで着床しやすい体になると思います。また、血が増えて血のめぐりが良くなると気のめぐりも良くなり、精神的にも落ち着き、ストレスにも強い体になります。すでに漢方薬で基礎体温が整ってきたようなので、体外受精をされるなら、なおさら漢方薬で心身のバランスを整えておくことをおすすめします。周期調節法をメインにしながら、補血作用のある婦宝当帰膠をベースに、月経の状態、FSH,LH,CA125,などの検査データ、基礎体温表などを考慮しながら漢方薬を決めていく必要があります。 日常生活の養生で漢方薬の種類を減らし、1つずつ症状を改善していきましょう ご質問にもあるように金銭面での心配は当然あると思います。専門薬局でそのことも相談しながら、できる範囲で行うのがいいと思います。漢方薬で、一番辛い症状から1つずつ改善していき日常生活での養生も併せてぜひ行ってみてください。 ①食事は野菜中心の和食に良質のたんぱく質 ②女性ホルモンの分泌が盛んになる夜10時、遅くても11時には眠れなくても横になる ③ヨガやストレッチなどの適度な運動で、全身の血流と気の流れを良くしましょう ④肩の力を抜いて、ゆったりと過ごす時間、リラックスできる時間をつくる。交感神経と副交感神経のバランスをとることがホルモン分泌にも関係してきます以上のことをぜひ楽しみながら続けてみてください。 岡 理絵 先生 板橋中央総合病院で病棟薬剤師などを経て、大慶堂漢方薬局で「子宝相談」を専門に、中国研修や日本不妊カウンセリング学会などで日々鍛錬中。ゆっくりと相談ができ、癒されていただける環境づくりをモットーに本来持っている妊娠力を高め、妊娠しやすい心とカラダづくりを応援します。 相談者 祈梨さん(31歳)■ 病院の先生からは「とくに問題ない」といわれますが、体外受精しても着床しづらく、うまくいきません。体質改善のため漢方専門のの薬局でアドバイスをもらい漢方服用を始めたら、基礎体温が整ってきました。このまま続けて妊娠までいきたいのですが、薬の数が多くて服用するのが苦痛なうえ、薬代がとても高額になり、金銭面、精神面でもダメージがあります。 治したい症状が多い程、漢方薬せて、日常生活での養生も行いましょう 気になる症状から診て、「血虚」「肝気鬱血」「瘀血 」の状態が考えられます。中医学では、血と気はつながっていますので、気のめぐりが悪いことから、血のめぐりも悪くなり(逆もある)、結果、瘀血の状態になり、いろいろな症状がでているのだと思います。 周期調節法をメインにしながら、補血作用のある婦宝当帰膠をベースにする 血虚の状態は子宮内膜の血流も悪くなりますし、内膜症などの基礎疾患も卵巣機能の低下により着床に影響がでている可能性があります。妊娠しやすい体質にするには血虚、肝鬱、瘀血の状態を少しで改善していくことで、子宮内膜も血流が良くなり、フカフカの温かいベッドをつくることで着床しやすい体になると思います。また、血が増えて血のめぐりが良くなると気のめぐりも良くなり、精神的にも落ち着き、ストレスにも強い体になります。すでに漢方薬で基礎体温が整ってきたようなので、体外受精をされるなら、なおさら漢方薬で心身のバランスを整えておくことをおすすめします。周期調節法をメインにしながら、補血作用のある婦宝当帰膠をベースに、月経の状態、FSH,LH,CA125,などの検査データ、基礎体温表などを考慮しながら漢方薬を決めていく必要があります。 日常生活の養生で漢方薬の種類を減らし、1つずつ症状を改善していきましょう ご質問にもあるように金銭面での心配は当然あると思います。専門薬局でそのことも相談しながら、できる範囲で行うのがいいと思います。漢方薬で、一番辛い症状から1つずつ改善していき日常生活での養生も併せてぜひ行ってみてください。 ①食事は野菜中心の和食に良質のたんぱく質 ②女性ホルモンの分泌が盛んになる夜10時、遅くても11時には眠れなくても横になる ③ヨガやストレッチなどの適度な運動で、全身の血流と気の流れを良くしましょう ④肩の力を抜いて、ゆったりと過ごす時間、リラックスできる時間をつくる。交感神経と副交感神経のバランスをとることがホルモン分泌にも関係してきます以上のことをぜひ楽しみながら続けてみてください。 岡 理絵 先生 板橋中央総合病院で病棟薬剤師などを経て、大慶堂漢方薬局で「子宝相談」を専門に、中国研修や日本不妊カウンセリング学会などで日々鍛錬中。ゆっくりと相談ができ、癒されていただける環境づくりをモットーに本来持っている妊娠力を高め、妊娠しやすい心とカラダづくりを応援します。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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冷え性や月経不順、イライラや落ち込みを解消して、妊娠力を上げたいのですが
相談者 ひまりさん(35歳) 体外受精をしていますが、着床するまでにいたりません。月経がくるたびにがっかりして落ち込んでしまいます。下痢をしやすく、足腰のだるさや冷えを感じ、疲れやすいのも気になります。 28才以降妊娠力は徐々に低下していくので、妊娠力を上げる腎の機能を補う漢方薬と鍼灸の治療を 冷え症や下痢をしやすく足腰がだるいことから「脾腎陽虚」の体質だと思います。また、冷えが進むと血液循環が悪くなる「瘀血」体質が子宮筋腫、子宮内膜症などの原因になっているのでしょう。 妊娠機能をつかさどる「腎」のサポートは多くの女性にとって必要なこと 月経前のイライラや怒りっぽく落ち込みやすい、「肝鬱」もあるので、これらの体質を踏まえて月経周期に合わせた漢方の服用がおすすめ。妊娠機能をつかさどる「腎」をサポートしていくことは多くの女性にとって必要なこと。とくに、ひまりさんの年齢になると、腎の働きを助ける漢方薬が必要となってきます。東洋医学では「女性は7の倍数」で体が変化すると考えられており、28才が最も妊娠に適している時期で、それ以降妊娠力は徐々に低下していくと考えられています。ですから妊娠力を上げるためには、腎の機能を補う漢方薬が不可欠となります。 漢方薬と鍼や灸を併用は血液循環がよりよくなり冷えの改善や着床を手助けする 日常生活では体を冷やさないことを心がけます。外からの防寒はもちろんですが、体のなかから温めるために、冷たいものは控えます。加えて体を温めるような食材でバランスのとれた食事を摂るようにしましょう。また、腰回りの血流を良くするために腹筋、背筋を使うような運動を積極的に行いましょう。夜は疲れた体を休める時間です。十分な英気を養うために、せめて日付が変わらないうちに寝るようにしましょう。冷え症には婦宝当帰膠、当帰芍薬散などの補血薬を服用します。また、血液循環を良くするために冠元顆粒、桂枝茯苓丸などの活血薬を併せるのもいいでしょう。さらに腎の機能を高めるために、さらに参茸補血丸(さんじょうほけつがん)、八味地黄丸などの補腎薬、そして気持ちを安定させるために逍遥丸、加味逍遥散などの疏肝薬も併せて服用することをおすすめします。漢方薬に加えて、鍼や灸を併用すると血液循環が良くなり、冷えの改善や着床の手助けをしてくれると思います。家庭で手軽にできる、温灸やツボ刺激療法を行ってみてください 古村 滋子 先生 薬剤師・鍼灸師・国際中医専門員・不妊カウンセラー。大学在籍中より漢方を学び、病院などで漢方相談を経験の後、健伸堂薬局と市兵衛薬局で不妊を中心に相談を受けている。 ■ あわせて読みたい ■ 冷え性なのに汗っかきなので温めると逆に冷えてしまう。なにか対策はある? 半身浴や運動も効果無い40年来の冷え性。33歳以降の月経変化。気になるこの2点は改善できるの? ひどい冷え性と不妊治療でストレスを感じていること に悩んでいます 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる 相談者 ひまりさん(35歳) 体外受精をしていますが、着床するまでにいたりません。月経がくるたびにがっかりして落ち込んでしまいます。下痢をしやすく、足腰のだるさや冷えを感じ、疲れやすいのも気になります。 28才以降妊娠力は徐々に低下していくので、妊娠力を上げる腎の機能を補う漢方薬と鍼灸の治療を 冷え症や下痢をしやすく足腰がだるいことから「脾腎陽虚」の体質だと思います。また、冷えが進むと血液循環が悪くなる「瘀血」体質が子宮筋腫、子宮内膜症などの原因になっているのでしょう。 妊娠機能をつかさどる「腎」のサポートは多くの女性にとって必要なこと 月経前のイライラや怒りっぽく落ち込みやすい、「肝鬱」もあるので、これらの体質を踏まえて月経周期に合わせた漢方の服用がおすすめ。妊娠機能をつかさどる「腎」をサポートしていくことは多くの女性にとって必要なこと。とくに、ひまりさんの年齢になると、腎の働きを助ける漢方薬が必要となってきます。東洋医学では「女性は7の倍数」で体が変化すると考えられており、28才が最も妊娠に適している時期で、それ以降妊娠力は徐々に低下していくと考えられています。ですから妊娠力を上げるためには、腎の機能を補う漢方薬が不可欠となります。 漢方薬と鍼や灸を併用は血液循環がよりよくなり冷えの改善や着床を手助けする 日常生活では体を冷やさないことを心がけます。外からの防寒はもちろんですが、体のなかから温めるために、冷たいものは控えます。加えて体を温めるような食材でバランスのとれた食事を摂るようにしましょう。また、腰回りの血流を良くするために腹筋、背筋を使うような運動を積極的に行いましょう。夜は疲れた体を休める時間です。十分な英気を養うために、せめて日付が変わらないうちに寝るようにしましょう。冷え症には婦宝当帰膠、当帰芍薬散などの補血薬を服用します。また、血液循環を良くするために冠元顆粒、桂枝茯苓丸などの活血薬を併せるのもいいでしょう。さらに腎の機能を高めるために、さらに参茸補血丸(さんじょうほけつがん)、八味地黄丸などの補腎薬、そして気持ちを安定させるために逍遥丸、加味逍遥散などの疏肝薬も併せて服用することをおすすめします。漢方薬に加えて、鍼や灸を併用すると血液循環が良くなり、冷えの改善や着床の手助けをしてくれると思います。家庭で手軽にできる、温灸やツボ刺激療法を行ってみてください 古村 滋子 先生 薬剤師・鍼灸師・国際中医専門員・不妊カウンセラー。大学在籍中より漢方を学び、病院などで漢方相談を経験の後、健伸堂薬局と市兵衛薬局で不妊を中心に相談を受けている。 ■ あわせて読みたい ■ 冷え性なのに汗っかきなので温めると逆に冷えてしまう。なにか対策はある? 半身浴や運動も効果無い40年来の冷え性。33歳以降の月経変化。気になるこの2点は改善できるの? ひどい冷え性と不妊治療でストレスを感じていること に悩んでいます 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる
2013.6.25
コラム 不妊治療
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月経の周期が不安定で、排卵誘発剤を使用しても卵がたくさんできず、無排卵となることもあります
相談者 ショコラさん(41歳)■ 去年の夏に18週で流産し、翌年の4月に再度体外受精したのですが、採卵のタイミングは前回より早まり分割も遅くて、結果着床しませんでした。その後2か月間、低刺激で排卵誘発を行いましたが、卵が育たなくて無排卵で終わりました。それ以降、たまに鍼灸へ通っていますが、月経後2週間で月経になることが、連続ではないけど2回ほどありました。 病院だけでなく漢方薬で体質改善を行い、卵巣機能を高めることをおすすめします 漢方医学から診ると、腎虚、瘀血、肝気鬱結の症状が見られます。無排卵性月経や無月経、排卵誘発剤を使用してもたくさん卵ができない、稽留流産したことがある、初経が同世代のなかで遅かった、足腰のだるさや冷えを感じる、40歳以上であることから「腎虚」症状が考えられます。 複雑な腎虚の症状が、体外受精などで卵巣に負担をかけ、さらに進んでしまった 月経終了から後に腰やお腹が重くて痛い、子宮筋腫、内膜症、卵巣嚢腫、子宮ポリープ、卵管癒着などがあるのは「瘀血」の症状です。「肝気鬱結」は、月経前にイライラしやすく、怒りっぽい落ち込みやすい、体温の上下変動が激しい、月経周期が不安定、低温期から高温期の移行に時間がかかるなどから考えられます。腎虚にはいろいろなタイプがあります。ショコラさんは、初潮が遅かったなどから卵巣機能低下が見られるので、基本的には腎精不足です。しかし、冷え症などから腎陽虚、エストロゲンの不足から腎陰虚の症状もあるなど複雑です。低刺激で排卵誘発しても卵が育たなかったことから、腎虚の症状は軽くないようです。そこへ体外受精をくり返したことで卵巣に負担がかかり、さらに腎虚の症状が進んだと思われます。 難しいケースだが、体質に合った漢方薬で卵巣機能を改善していくことは可能 通常の植物性の補腎薬ではあまり効果が期待できないので、鹿茸・紫荷車(胎盤エキス)・亀板などの〝血肉有情の品〟といわれる動物性生薬を配合した補腎薬をぶといいと思います。次に瘀血も少し重いようなので、水蛭・三陵・我朮などの作用が強く嚢腫や癒着を改善する効果が優れた駆く瘀血薬を選びましょう。最後に肝気鬱結ですが、肝気をめぐらせてストレスをやわらげる柴胡香附子をふくむ漢方薬がおすすめです。状況から見て簡単に改善するケースではないと思われますが、流産前までは排卵していたのなら、体質に合った漢方製剤を服用することで、卵巣機能が改善する可能性はあると思います。むしろ、漢方薬でしか現在の状況の改善は難しいと思います。 小島 晃 先生 東京薬科大学を卒業後、北京中医薬大学日本校で中医学を研鑽。現在、湖北中医薬大学客員教授。小島薬局漢方堂で漢方相談を行いながら、後進の指導や中医学の普及に努めている。著書に『女性の悩みは漢方で治すー赤ちゃんができる周期療法』(知道出版)がある。 相談者 ショコラさん(41歳)■ 去年の夏に18週で流産し、翌年の4月に再度体外受精したのですが、採卵のタイミングは前回より早まり分割も遅くて、結果着床しませんでした。その後2か月間、低刺激で排卵誘発を行いましたが、卵が育たなくて無排卵で終わりました。それ以降、たまに鍼灸へ通っていますが、月経後2週間で月経になることが、連続ではないけど2回ほどありました。 病院だけでなく漢方薬で体質改善を行い、卵巣機能を高めることをおすすめします 漢方医学から診ると、腎虚、瘀血、肝気鬱結の症状が見られます。無排卵性月経や無月経、排卵誘発剤を使用してもたくさん卵ができない、稽留流産したことがある、初経が同世代のなかで遅かった、足腰のだるさや冷えを感じる、40歳以上であることから「腎虚」症状が考えられます。 複雑な腎虚の症状が、体外受精などで卵巣に負担をかけ、さらに進んでしまった 月経終了から後に腰やお腹が重くて痛い、子宮筋腫、内膜症、卵巣嚢腫、子宮ポリープ、卵管癒着などがあるのは「瘀血」の症状です。「肝気鬱結」は、月経前にイライラしやすく、怒りっぽい落ち込みやすい、体温の上下変動が激しい、月経周期が不安定、低温期から高温期の移行に時間がかかるなどから考えられます。腎虚にはいろいろなタイプがあります。ショコラさんは、初潮が遅かったなどから卵巣機能低下が見られるので、基本的には腎精不足です。しかし、冷え症などから腎陽虚、エストロゲンの不足から腎陰虚の症状もあるなど複雑です。低刺激で排卵誘発しても卵が育たなかったことから、腎虚の症状は軽くないようです。そこへ体外受精をくり返したことで卵巣に負担がかかり、さらに腎虚の症状が進んだと思われます。 難しいケースだが、体質に合った漢方薬で卵巣機能を改善していくことは可能 通常の植物性の補腎薬ではあまり効果が期待できないので、鹿茸・紫荷車(胎盤エキス)・亀板などの〝血肉有情の品〟といわれる動物性生薬を配合した補腎薬をぶといいと思います。次に瘀血も少し重いようなので、水蛭・三陵・我朮などの作用が強く嚢腫や癒着を改善する効果が優れた駆く瘀血薬を選びましょう。最後に肝気鬱結ですが、肝気をめぐらせてストレスをやわらげる柴胡香附子をふくむ漢方薬がおすすめです。状況から見て簡単に改善するケースではないと思われますが、流産前までは排卵していたのなら、体質に合った漢方製剤を服用することで、卵巣機能が改善する可能性はあると思います。むしろ、漢方薬でしか現在の状況の改善は難しいと思います。 小島 晃 先生 東京薬科大学を卒業後、北京中医薬大学日本校で中医学を研鑽。現在、湖北中医薬大学客員教授。小島薬局漢方堂で漢方相談を行いながら、後進の指導や中医学の普及に努めている。著書に『女性の悩みは漢方で治すー赤ちゃんができる周期療法』(知道出版)がある。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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卵胞はできても着床しません。良い卵を育てるにはどうしたらいいのでしょうか?…
相談者 うさうささん(47歳)■ 現在体外受精を行っています。ショート法で4~10個の卵胞ができ、半分は受精しますが、まだ一度も着床したことはありません。少しでも良い卵を育てるにはどうしたらいいのでしょうか?低温期に二至丹、杞菊地黄丸、水快宝を、高温期にオリジン、海精宝を服用しています。 卵胞の数がしっかりあるので、食養生、生活養生、漢方養生の力で元気な卵に 低温期が高く周期が短くなってきた場合、FSH(卵胞刺激ホルモン)の数値が上がってきている可能性があります。FSHは卵巣機能低下と関係あるといわれています。うさうささんの場合もFSHが高いなら、卵巣機能やバランスをつかさどる「腎」の働きを高める、補腎の漢方を増やすのもいいかと思います。 体質と状況によって使う漢方は違ってくるため、もう一度よく相談を 子宮筋腫、内膜症、卵巣膿腫、子宮ポリープ、卵管癒着などは、いろいろな汚れが溜まっておこると漢方では考えます。これが低温期の体温が上がる原因にもなります。さらに血流を悪くして、卵巣機能の低下、着床率が下がる原因にもなります。体質、状況、月経周期によって使う漢方は違ってきますが、子宮に筋腫、嚢腫、ポリープがある影響を考えると、汚れを綺麗にする漢方を強化するのも良い方法かと思います。 卵巣機能やバランスを整えるには「血」と「腎」の養生が大切 血は全身をめぐって、臓器や組織に栄養を届け、老廃物を処理して潤いをあたえたり、精神状態を安定させる働きがあります。食養生として赤や黒いもの(人参、ほうれん草、黒ゴマ、黒砂糖黒豆、レバー、豚肉、鶏肉、なつめ、クコの実など)がおすすめです。腎は生殖機能、成長、発育、ホルモンの分泌、免疫全般など生命活動の根本を担っています。年齢の影響がでやすいのですが、食事や生活習慣の養生でスピードを減速することは可能です。食養生として、木の実や粘り、渋みのある(くるみ、松の実、クコの実、黒ゴマ、山芋など)、温性の食材がおすすめです。卵巣機能やバランスを整えるには「血」と「腎」の養生がとても大切です。毎日の生活養生としては、冷たいものの飲食は控え、なるべく温かいものにする。とくに月経中は体を冷やさないようにする。入浴や散歩など、心と体をリフレッシュすることを心がける。ストレス発散の工夫も大切です。体外で育つ卵胞の数や受精する卵胞の数がしっかりあるので、食養生と生活養生、漢方養生が力となって、喜びの声につながることをお祈りします。 深谷 幹子先生 国立湖北民族大学客員教授、広西中医学大学講師、妊娠授乳サポート薬剤師。周期調節法の第一人者である南京中医薬大学の夏教授、男性不妊専門病院の叢先生のもとで外来研修受ける。妊娠に向け、母体の健康維持も考えながら行う、体にあったアドバイスと漢方処方は定評がある。 相談者 うさうささん(47歳)■ 現在体外受精を行っています。ショート法で4~10個の卵胞ができ、半分は受精しますが、まだ一度も着床したことはありません。少しでも良い卵を育てるにはどうしたらいいのでしょうか?低温期に二至丹、杞菊地黄丸、水快宝を、高温期にオリジン、海精宝を服用しています。 卵胞の数がしっかりあるので、食養生、生活養生、漢方養生の力で元気な卵に 低温期が高く周期が短くなってきた場合、FSH(卵胞刺激ホルモン)の数値が上がってきている可能性があります。FSHは卵巣機能低下と関係あるといわれています。うさうささんの場合もFSHが高いなら、卵巣機能やバランスをつかさどる「腎」の働きを高める、補腎の漢方を増やすのもいいかと思います。 体質と状況によって使う漢方は違ってくるため、もう一度よく相談を 子宮筋腫、内膜症、卵巣膿腫、子宮ポリープ、卵管癒着などは、いろいろな汚れが溜まっておこると漢方では考えます。これが低温期の体温が上がる原因にもなります。さらに血流を悪くして、卵巣機能の低下、着床率が下がる原因にもなります。体質、状況、月経周期によって使う漢方は違ってきますが、子宮に筋腫、嚢腫、ポリープがある影響を考えると、汚れを綺麗にする漢方を強化するのも良い方法かと思います。 卵巣機能やバランスを整えるには「血」と「腎」の養生が大切 血は全身をめぐって、臓器や組織に栄養を届け、老廃物を処理して潤いをあたえたり、精神状態を安定させる働きがあります。食養生として赤や黒いもの(人参、ほうれん草、黒ゴマ、黒砂糖黒豆、レバー、豚肉、鶏肉、なつめ、クコの実など)がおすすめです。腎は生殖機能、成長、発育、ホルモンの分泌、免疫全般など生命活動の根本を担っています。年齢の影響がでやすいのですが、食事や生活習慣の養生でスピードを減速することは可能です。食養生として、木の実や粘り、渋みのある(くるみ、松の実、クコの実、黒ゴマ、山芋など)、温性の食材がおすすめです。卵巣機能やバランスを整えるには「血」と「腎」の養生がとても大切です。毎日の生活養生としては、冷たいものの飲食は控え、なるべく温かいものにする。とくに月経中は体を冷やさないようにする。入浴や散歩など、心と体をリフレッシュすることを心がける。ストレス発散の工夫も大切です。体外で育つ卵胞の数や受精する卵胞の数がしっかりあるので、食養生と生活養生、漢方養生が力となって、喜びの声につながることをお祈りします。 深谷 幹子先生 国立湖北民族大学客員教授、広西中医学大学講師、妊娠授乳サポート薬剤師。周期調節法の第一人者である南京中医薬大学の夏教授、男性不妊専門病院の叢先生のもとで外来研修受ける。妊娠に向け、母体の健康維持も考えながら行う、体にあったアドバイスと漢方処方は定評がある。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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「ロング法が一番質のいい卵子が採れます」と言われます。結果が出ていないので排卵誘発の方法を変えたほうがいいのではないでしょうか。【福田 勝先生】
相談者 ドロシーさん(41歳)■ 移植や排卵誘発はどんな方法を選んだらいいのですか?今までロング法での採卵を3回、移植を4回しています。1回目の採卵では受精卵12個、2回目の採卵では受精卵7個、3回目の採卵では受精卵8個できています。グレードも毎回よく、先生も「ロング法が一番質のいい卵子が採れます」と言っています。でも、結果が出ていないので排卵誘発の方法を変えたほうがいいのではないでしょうか。年齢が高いのでショート法とかがいいのでは? ジネコ:ドロシーさんはロング法で3回卵巣刺激をされていますが、このまま同じ方法を続けていってもいいのでしょうか。 福田先生:41歳という年齢でもしっかり卵子が採れていて、受精卵のグレードもいいということ。僕はロング法でも特に問題はないと思いますね。 ジネコ:「ロング法は年齢の高い人には向かない」ということを聞きますが、その点はどうですか? 福田先生:年齢が高い方でも、ドロシーさんのようにロング法でいい反応をする方もいます。実年齢と卵巣年齢が違う方もいるのですね。卵巣年齢が若ければ、ロング法でもいいのではないでしょうか。先生も卵巣の状態をきちんと評価したうえでロング法を選択されているのだと思います。 採れる卵子の数が少なかったり、受精卵のグレードがよくない場合は、卵巣刺激法の変更が必要になってきますが、グレードのよい受精卵ができるということであれば、もう少し同じ方法を試していってもいいのではないでしょうか。 ジネコ:グレードのよい受精卵でも、なかなか結果が出ないのはどこに問題があるのでしょうか? 福田先生:卵巣刺激の方法に疑問を持たれていますが、問題はその先にあるのではないでしょうか。質問には移植の方法が書かれていませんでしたが、もしかしたら胚の戻し方に工夫が必要なのかもしれません。 質のよい卵子が採れたら、それをどうするのか。胚盤胞で戻すのか、初期胚で戻すのか。新鮮胚、もしくは凍結したものを戻すのか。凍結胚を自然周期で戻すのか、人工周期で戻すのか。このように胚の戻し方をどうするかで、結果も変わってくるのではないかと思います。 いい卵子を採るために卵巣刺激法を的確に選ぶことは重要ですが、胚の戻し方も妊娠に大きく影響する部分です。選択肢や組み合わせはいくつかあるので、試して結果を評価しながら合ったものを選んでいく。ドロシーさんの卵巣機能はまだ高いようなので、この点にも着目していけば、妊娠されるチャンスは十分あると思います。 福田 勝 先生順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォルニア大学産婦人科学教室留学後、順天堂大学医学部産婦人科学教室講師を経て、1993年福田ウイメンズクリニック開院。プライベートでは先生はゴルフ、奥さまはテニスと、ご夫婦でスポーツが趣味。メジャーリーグ、ヨーロッパサッカー、ゴルフ、テニスなど、テレビでスポーツ観戦するのもいい気分転換になるとか。 ■ あわせて読みたい ■ 高度不妊治療① 卵巣刺激の方法 排卵誘発剤の注射HMGで卵巣が腫れ腹水の副作用が。継続?それとも体外受精? 高刺激で注射を多く打ってもほとんど卵が採れません。自然周期でもいいのでは? 福田ウイメンズクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO 相談者 ドロシーさん(41歳)■ 移植や排卵誘発はどんな方法を選んだらいいのですか?今までロング法での採卵を3回、移植を4回しています。1回目の採卵では受精卵12個、2回目の採卵では受精卵7個、3回目の採卵では受精卵8個できています。グレードも毎回よく、先生も「ロング法が一番質のいい卵子が採れます」と言っています。でも、結果が出ていないので排卵誘発の方法を変えたほうがいいのではないでしょうか。年齢が高いのでショート法とかがいいのでは? ジネコ:ドロシーさんはロング法で3回卵巣刺激をされていますが、このまま同じ方法を続けていってもいいのでしょうか。 福田先生:41歳という年齢でもしっかり卵子が採れていて、受精卵のグレードもいいということ。僕はロング法でも特に問題はないと思いますね。 ジネコ:「ロング法は年齢の高い人には向かない」ということを聞きますが、その点はどうですか? 福田先生:年齢が高い方でも、ドロシーさんのようにロング法でいい反応をする方もいます。実年齢と卵巣年齢が違う方もいるのですね。卵巣年齢が若ければ、ロング法でもいいのではないでしょうか。先生も卵巣の状態をきちんと評価したうえでロング法を選択されているのだと思います。 採れる卵子の数が少なかったり、受精卵のグレードがよくない場合は、卵巣刺激法の変更が必要になってきますが、グレードのよい受精卵ができるということであれば、もう少し同じ方法を試していってもいいのではないでしょうか。 ジネコ:グレードのよい受精卵でも、なかなか結果が出ないのはどこに問題があるのでしょうか? 福田先生:卵巣刺激の方法に疑問を持たれていますが、問題はその先にあるのではないでしょうか。質問には移植の方法が書かれていませんでしたが、もしかしたら胚の戻し方に工夫が必要なのかもしれません。 質のよい卵子が採れたら、それをどうするのか。胚盤胞で戻すのか、初期胚で戻すのか。新鮮胚、もしくは凍結したものを戻すのか。凍結胚を自然周期で戻すのか、人工周期で戻すのか。このように胚の戻し方をどうするかで、結果も変わってくるのではないかと思います。 いい卵子を採るために卵巣刺激法を的確に選ぶことは重要ですが、胚の戻し方も妊娠に大きく影響する部分です。選択肢や組み合わせはいくつかあるので、試して結果を評価しながら合ったものを選んでいく。ドロシーさんの卵巣機能はまだ高いようなので、この点にも着目していけば、妊娠されるチャンスは十分あると思います。 福田 勝 先生順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォルニア大学産婦人科学教室留学後、順天堂大学医学部産婦人科学教室講師を経て、1993年福田ウイメンズクリニック開院。プライベートでは先生はゴルフ、奥さまはテニスと、ご夫婦でスポーツが趣味。メジャーリーグ、ヨーロッパサッカー、ゴルフ、テニスなど、テレビでスポーツ観戦するのもいい気分転換になるとか。 ■ あわせて読みたい ■ 高度不妊治療① 卵巣刺激の方法 排卵誘発剤の注射HMGで卵巣が腫れ腹水の副作用が。継続?それとも体外受精? 高刺激で注射を多く打ってもほとんど卵が採れません。自然周期でもいいのでは? 福田ウイメンズクリニック 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2012.11.7
コラム 不妊治療
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成熟卵を多く採ることよりも、患者さんに合った卵巣刺激法を選ぶことが大切 ~体外受精の目安~
不妊治療は、医師の方針や患者さんの希望などで、さまざまな治療の選択肢があるのが特徴です。 そこで今回は、5人の先生に同じ質問をしてみました。 Question2体外受精の際、目安(理想、目標)としている成熟卵の数、子宮内膜の厚さ、受精率(顕微授精含む)、培養液の種類について、基本としている治療方針をお聞かせください。 成熟卵を多く採ることよりも、患者さんに合った卵巣刺激法を選ぶことが大切 ジネコ:体外受精の際、吉田先生が理想とする成熟卵の数は?吉田先生:患者さんによって違いがありますから、「何個が理想」と明言することはできません。一人ひとりの卵巣予備能力が違いますし、どういう卵巣刺激をするかによっても違ってきます。1個でも大丈夫な人はいますし、8個は欲しいと思う人もいますが、多ければ多いほどいいという問題でもないと思っています。たくさんの成熟卵を採ることがゴールではありませんから。当院は高刺激が主流と思われているようですが、実は半分は低刺激です。「高刺激で、とにかくたくさん採ろう」という方針ではありません。成熟卵をできるだけたくさん採ることだけを目的にせず、それぞれの患者さんに合った卵巣刺激をするということを最も重視しています。卵巣刺激に関しては「若い患者さんだからロング法」というように決めてかからないことが重要だと思います。AMHをはじめとしたさまざまな検査で卵巣年齢や予備能力を測り、反応をみながら、1回目で結果が出なければ、また違う方法で刺激してみるというように、患者さんにできるだけ負担をかけないかたちで、ベストな状態の成熟卵が採れるのが理想ではないでしょうか。ジネコ:子宮内膜の厚さ、顕微授精の受精率についてはいかがですか。吉田先生:子宮内膜の厚さは、目標としては8mm。6mm程度でも、十分にチャンスはあると思います。受精率については、当院は低いほうになるかもしれませんね。ただ、クリニックを比較するうえで顕微授精の受精率を指標にするのは、非常に難しいと思いますよ。体外受精で済むようなケースをわざわざ顕微授精させているようなところや、卵胞が14mm以上でないと採卵しないといったクリニックであれば、当然受精率はかなり高くなるでしょう。精子が極端に少ない難しいケースを多く扱う当院のようなクリニックの受精率は、どうしても低くならざるを得ません。ジネコ:培養液の種類についてはいかがですか?吉田先生:最低でも、2種類には分けています。複数の培養液を使うようになったのは当院が先駆けではないでしょうか。仮に8個の卵が採れれば、4個はA社の培養液、他4個はB社の培養液というように分けています。2種類の培養液を用いれば、手間も2倍かかりますが、リスク分散としては大いに役立つと思います。一度結果が出ていて、こちらの培養液のほうがよかったとわかっていれば、次回は1つに絞ることもありますが、同じA社の培養液であっても、作られた時期などによって多少バラつきがあるように感じます。製薬会社によって成分がすべてオープンにされていない以上、何がよかったのか、悪かったのか、さらにどれを用いるかを見極めるのは非常に難しいところでもありますね。 木場公園クリニック 吉田 淳先生愛媛大学医学部卒業。産婦人科・泌尿器科医。東京警察病院産婦人科、池下レディースチャイルドクリニック、東邦大学第一泌尿器科非常勤講師などを経て、1999年木場公園クリニックを開院。≫ 木場公園クリニック 【特集】 先生の治療方針聞かせてください! Question1:体外受精の胚移植 ≫ 着床率が高いのは一度凍結させた胚の自然周期での移植だと考えています ≫ 妊娠率を上げるために胚盤胞で凍結させた胚の移植を基本に考えています ≫ 胚盤胞まで育てた受精卵の移植で、さらにすべて凍結してシート法で戻す方法を基本としています ≫ 初回は初期胚移植で。なるべく手を入れず、シンプルにいったほうがいいと思います ≫ 良好な胚盤胞を得ることが妊娠率を上げるポイントだと考えています Question2:体外受精の目安 ≫ 目安はあくまで目安、問題にぶつかった場合に他院の先生方との連携も重要だと感じています ≫ 初回採卵での高い妊娠率を目標に、患者さんに適した刺激法を選択します ≫ 卵巣予備能力=抗ミュラー管ホルモン(AMH)を一番の目安としています ≫ リスクと妊娠率のバランスを考えると低刺激法で6~8個が理想的だと思います Question3:ステップアップについて ≫ 女性の年齢と卵巣予備能力、精子の状態、治療回数、不妊原因を総合的に加味して考えています ≫ 基本的なデータを参考にしつつもご夫婦そろって納得できるかが決め手になります ≫ 生活や個人によって基準はそれぞれ。時にはジャンプアップも提案します ≫ ステップアップ治療は一つの目安。治療のプランや内容を知ることで不安は解消。 ≫ まずは効果的な治療方法や妊娠率などの情報を提供。ご夫婦の意思を最優先して一緒に決めていきます 女性のための健康生活マガジン JINEKO 不妊治療は、医師の方針や患者さんの希望などで、さまざまな治療の選択肢があるのが特徴です。 そこで今回は、5人の先生に同じ質問をしてみました。 Question2体外受精の際、目安(理想、目標)としている成熟卵の数、子宮内膜の厚さ、受精率(顕微授精含む)、培養液の種類について、基本としている治療方針をお聞かせください。 成熟卵を多く採ることよりも、患者さんに合った卵巣刺激法を選ぶことが大切 ジネコ:体外受精の際、吉田先生が理想とする成熟卵の数は?吉田先生:患者さんによって違いがありますから、「何個が理想」と明言することはできません。一人ひとりの卵巣予備能力が違いますし、どういう卵巣刺激をするかによっても違ってきます。1個でも大丈夫な人はいますし、8個は欲しいと思う人もいますが、多ければ多いほどいいという問題でもないと思っています。たくさんの成熟卵を採ることがゴールではありませんから。当院は高刺激が主流と思われているようですが、実は半分は低刺激です。「高刺激で、とにかくたくさん採ろう」という方針ではありません。成熟卵をできるだけたくさん採ることだけを目的にせず、それぞれの患者さんに合った卵巣刺激をするということを最も重視しています。卵巣刺激に関しては「若い患者さんだからロング法」というように決めてかからないことが重要だと思います。AMHをはじめとしたさまざまな検査で卵巣年齢や予備能力を測り、反応をみながら、1回目で結果が出なければ、また違う方法で刺激してみるというように、患者さんにできるだけ負担をかけないかたちで、ベストな状態の成熟卵が採れるのが理想ではないでしょうか。ジネコ:子宮内膜の厚さ、顕微授精の受精率についてはいかがですか。吉田先生:子宮内膜の厚さは、目標としては8mm。6mm程度でも、十分にチャンスはあると思います。受精率については、当院は低いほうになるかもしれませんね。ただ、クリニックを比較するうえで顕微授精の受精率を指標にするのは、非常に難しいと思いますよ。体外受精で済むようなケースをわざわざ顕微授精させているようなところや、卵胞が14mm以上でないと採卵しないといったクリニックであれば、当然受精率はかなり高くなるでしょう。精子が極端に少ない難しいケースを多く扱う当院のようなクリニックの受精率は、どうしても低くならざるを得ません。ジネコ:培養液の種類についてはいかがですか?吉田先生:最低でも、2種類には分けています。複数の培養液を使うようになったのは当院が先駆けではないでしょうか。仮に8個の卵が採れれば、4個はA社の培養液、他4個はB社の培養液というように分けています。2種類の培養液を用いれば、手間も2倍かかりますが、リスク分散としては大いに役立つと思います。一度結果が出ていて、こちらの培養液のほうがよかったとわかっていれば、次回は1つに絞ることもありますが、同じA社の培養液であっても、作られた時期などによって多少バラつきがあるように感じます。製薬会社によって成分がすべてオープンにされていない以上、何がよかったのか、悪かったのか、さらにどれを用いるかを見極めるのは非常に難しいところでもありますね。 木場公園クリニック 吉田 淳先生愛媛大学医学部卒業。産婦人科・泌尿器科医。東京警察病院産婦人科、池下レディースチャイルドクリニック、東邦大学第一泌尿器科非常勤講師などを経て、1999年木場公園クリニックを開院。≫ 木場公園クリニック 【特集】 先生の治療方針聞かせてください! Question1:体外受精の胚移植 ≫ 着床率が高いのは一度凍結させた胚の自然周期での移植だと考えています ≫ 妊娠率を上げるために胚盤胞で凍結させた胚の移植を基本に考えています ≫ 胚盤胞まで育てた受精卵の移植で、さらにすべて凍結してシート法で戻す方法を基本としています ≫ 初回は初期胚移植で。なるべく手を入れず、シンプルにいったほうがいいと思います ≫ 良好な胚盤胞を得ることが妊娠率を上げるポイントだと考えています Question2:体外受精の目安 ≫ 目安はあくまで目安、問題にぶつかった場合に他院の先生方との連携も重要だと感じています ≫ 初回採卵での高い妊娠率を目標に、患者さんに適した刺激法を選択します ≫ 卵巣予備能力=抗ミュラー管ホルモン(AMH)を一番の目安としています ≫ リスクと妊娠率のバランスを考えると低刺激法で6~8個が理想的だと思います Question3:ステップアップについて ≫ 女性の年齢と卵巣予備能力、精子の状態、治療回数、不妊原因を総合的に加味して考えています ≫ 基本的なデータを参考にしつつもご夫婦そろって納得できるかが決め手になります ≫ 生活や個人によって基準はそれぞれ。時にはジャンプアップも提案します ≫ ステップアップ治療は一つの目安。治療のプランや内容を知ることで不安は解消。 ≫ まずは効果的な治療方法や妊娠率などの情報を提供。ご夫婦の意思を最優先して一緒に決めていきます 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2010.11.25
コラム 不妊治療