妊婦健診ではここをチェック!
2017/6/22 脇田 哲矢 先生(ワキタ産婦人科院長)
妊婦健診の一番の目的は?
妊婦健診とは、妊婦さんや赤ちゃんの健康状態を定期的に確認するために行うもの。妊娠は確かに病気ではありませんが、妊娠期間中を安心して過ごすためにもぜひ受けておきたいものです。
基本的に定期検診の目的は、切迫流産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、胎盤位置異常、胎児異常(発育遅延、胎位、羊水量など)、胎児機能不全など妊娠の異常の早期発見です。異常があった際に適切な処置を行うことで妊娠のリスクを大幅に下げることができます。
妊婦健診の受診の回数が減ってしまうと、それだけリスクを発見するチャンスが減ってしまうことになります。未受診の妊婦では、早産だったり、出産後に母や新生児に病気が残ることが確認されています。不安、不満が増して安心・安全な出産につながらないことも想像できます。そんな非常事態になる前に、トラブルを見つけて安心して出産できるようにするため、受けておこうというわけです。
出産するまでの健診の回数は基本的にどのくらい?
厚労省と産科のガイドラインでは14回ですが、当院は16回としています。健診の項目は概ね、厚労省のガイドラインのとおりです。
●厚生労働省が例示している妊婦健診のガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken13/dl/02.pdf
妊婦健診の回数や健診の内容は各施設(病院)によって様々。基本的に医師の自由裁量に任されています。私のところでは分娩まで任せていただいているので、通常より2回多く、16回にしている次第です。通っていただく間隔も妊婦さんの通いやすさを考慮したものにしています。この点が、厚労省のガイドラインとは微妙に違っています。
※ワキタ産婦人科の場合
妊娠初期~12週くらいまで 2週間に1回
妊娠中期の前半、20週くらいまで 4週間に1回
中期の後半、20週~35週まで 2週間に1回
後期の36週以降は分娩まで 1週間に1回
健診の負担は自治体が補助してくれる
ただし、健診で異常や病気が判明したら、保険適応に切り替わり「治療」を行うことになります。その負担は健康保険(自己負担率は3割など、加入保険組合によって異なる)が適応されます。
大枠の検査内容は?
そのほか、健診ごとに毎回行うのが体重、腹囲、子宮底長、血圧測定、尿検査、子心拍確認、むくみの検査です。これは厚労省のガイドライン通り。腹囲は
なお、子宮底長とは子宮の上端から恥骨までの長さです。
医師が気をつけているポイントは?
●妊娠5週目~12週くらいまで。
胎児にウエイトを置いて診ています。胎児の異常を発見しやすい時期です。初期のうちに異常を見逃すと、後々治療ができなくなる可能性もあります。また、流産の心配がある時期なので、医師はその危険性も見据えて診察しています。
●妊娠12週~36週くらいまで
胎児と妊婦さんの両方に注意して診察します。赤ちゃんの発育状況と母体の健康管理の指導が主になります。特に母体の体調管理が大切な時期です。
34週以降で逆子の場合は、帝王切開になります。
●36週以降~
ここからは主に母体にウエイトを置いて診察します。いかに安全な分娩につなげるかがとても重要なので、母体の体調管理に重きを置きます。
もちろん、どの時期も妊婦さんのことも、赤ちゃんのこともまんべんなく診ていますが、週が進むにつれ、妊婦さんが分娩の準備に入っていくことになるので、少しずつ診るポイントの比重が変わっていきます。
脇田先生より まとめ
妊娠中こそ、いつも以上に健康に気をつけるべき。妊婦健診を定期的に受診しましょう。妊婦健診を否定的にとらえていただきたくはありません。「赤ちゃんの成長具合を見ることができる」「今、自分がすべきことがわかる!」など前向きに考え、楽しんで受けてもらいたいのです。ふだんの悩みや不安を解消する場だと思い、通ってください。