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中村先生 教えて!たまごのこと【第1回テーマ:卵子のメカニズム】
妊娠は、卵子と精子が受精することからはじまりますが、卵子はいつ、どこで、どのようにつくられているのでしょうか。第1回は、卵子のメカニズムについて、なかむらレディースクリニックの中村嘉宏先生に伺いました。Q・卵子はどうやってつくられるの?A・生まれた時に一生分の卵子をもっています。 女性はお母さんのお腹の中にいる時から、卵巣の中に一生分の卵子をもっています。卵子のもとになる細胞は受精後2週間という妊娠の超初期につくられ、その後アメーバ状に運動しながら卵巣のもとになる臓器にたどり着きます。そして卵母細胞となり、どんどん数を増やしていきます。この細胞はつくられるとすぐに卵胞という袋につつまれ、原始卵胞になります。その数は妊娠5〜6カ月の胎児の頃が一番ピークとされ、700万個ともいわれています。 その後、卵子が新たにつくられることはなく、生まれた時にはすでに200万個、月経がはじまる頃には30万個ぐらいまで急激に減少します。そして排卵するしないにかかわらず毎日30〜40個ずつ減り、閉経近くなると数千個程度になります。女性が一生を通じて排卵する卵子の数はわずか500個ほどで、そのほかの卵子のほとんどは成熟せずに消滅してしまいます。卵巣の中の卵子の数には個人差がありますが、AMH(抗ミュラー管ホルモン)という卵巣予備能を調べる検査で、卵巣に残っている卵子の数をある程度予測することができます。 もう一点大事なことは、卵子は新しくつくられないため20歳の時に排卵された卵子は約20年間、40歳なら約40年間、卵巣の中にいたことになり、卵子は母体とともに加齢しダメージが蓄積していくことです。 Q・卵子はどのように成長するの?A・ホルモンによってコントロールされています。 卵子の成長にはホルモンが大きくかかわっています。脳にある視床下部からGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌されると、下垂体から卵胞の成熟をうながすFSH(卵胞刺激ホルモン)が分泌され、月経の頃に卵巣にある数十個の二次卵胞から通常1個の胞状卵胞(約5㎜)が排卵に向けて成長をはじめます(選ばれた卵胞を主席卵胞といいます)。 そしてFSHなどの作用により卵胞の中で卵子を包んでいる顆粒膜細胞からエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されます。約2週間かけて主席卵胞は、18〜20㎜の大きさに成熟し、卵胞から分泌されるエストロゲンはピークを迎えます。 エストロゲンの分泌がピークを迎えると、それを下垂体が察知して、排卵の合図であるLHサージを起こします。するとLHサージを合図に卵子は卵胞を破り、卵巣の外に飛び出します。これを排卵といいます。排卵後、卵胞は黄体という組織に変わり、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。プロゲステロンはエストロゲンで厚くなった子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に整えます。Q・排卵した卵子はどうやって子宮に届くの?A・卵管の先にある卵管采に吸い上げられていきます。 排卵された卵子は、卵管の先にある卵管采に取り込まれます。大切なことは、卵子が卵管采に飛び込んでいくのではなく、卵管采の運動によって卵子がタイミングよく吸い上げられていることです。卵管は卵巣と子宮をつなぐ10㎝ほどの器官で、常にくねくねとした運動(ぜん動運動)を繰り返しています。そして、手のひらのような形をした卵管采が、左右の卵巣の表面を常に撫でまわして排卵された卵子をうまくキャッチし、卵管の中に取り込んで精子が来るのを待ちます。卵子が卵管に取り込まれにくい原因として、クラミジアや子宮内膜症などによる卵管の炎症のため、卵管采が卵子をキャッチできない場合や、卵管が癒着を起こして卵管のぜん動運動が妨げられていることが考えられます。 Point! ★生まれた時から一生分の卵子をもっています。 ★卵子が新しくつくられることはありません。 ★年齢とともに卵子は減り、老化していきます。 ★卵子の成熟、排卵にはホルモンが関係しています。 ★卵子は卵管采によって吸い上げられます。 中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック) 大阪市立大学医学部卒業。同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013 年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。ユーチューブで落語を愉しむのが最近のリラックス法という先生。「大阪ネイティブなので、上方落語が好きです。おじいちゃんの愛らしさをもつ笑福亭松鶴師匠と、ふくよかな語り口の桂米朝師匠が好みです。生前に直で落語を見ることができなかったのが残念です」。≫ なかむらレディースクリニック出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.19
コラム 不妊治療
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妊娠前から食生活で予防しておきたい! 妊娠糖尿病という病気を知っていますか?
妊娠糖尿病をご存じでしょうか。一般的な糖尿病ほど重い病ではないものの、油断は禁物。放っておくと母体や胎児にさまざまな合併症を起こすリスクがあります。自身の妊娠糖尿病の経験を通して、「ロカロジ」という独自のメソッドを開発した一般社団法人ロカロジ協会 代表理事 金子洋子さんにお話を伺いました。 ロカロジとは? 低糖質(Low-Carb)×低GI(Low-GI)+運動から成る考え方が「ロカロジ」。血糖値が急上昇しないライフスタイルの実現のため、金子さんが独自に開発したメソッドです。 【問い合わせ】一般社団法人 ロカロジ協会 大阪府大阪市城東区古市2-6-63-216 ☎050-5309-3220 妊娠前から知っておきたい妊娠糖尿病妊娠前は糖尿病や肥満とはまったく無縁だった人でも、妊娠後、妊娠糖尿病にかかる可能性があります。妊娠糖尿病とは妊娠によって一時的に血糖値が高くなる病気です。 妊娠すると、胎盤から分泌されるホルモンが、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の効き目を弱めてしまいます。健康な妊婦さんなら、インスリンの量が自然に通常の3倍に増えて血糖値を上げないよう調整できているのですが、高齢や肥満の方、家族に糖尿病の方がいる方、また、体質的にインスリンが増えない妊婦さんは高血糖を引き起こしてしまいます。最近は、約10人に1人が妊娠糖尿病になっているそうです。いきなり襲いかかった妊娠糖尿病という現実私が妊娠糖尿病を発症したのは33歳の時。初めての妊娠で、妊娠後期にさしかかった頃でした。体重は約16㎏増えていましたが、それ以外、自覚症状がなかっただけに、あまりにショックで頭の中が真っ白になりました。 管理入院から始まって分割食(1日6回食)の指導を受けました。それでもいっこうに血糖値が下がる気配がなかったのでインスリンを打つことになり、すぐに自分で注射する方法も教えてもらいました。その頃、すでに妊娠8カ月。太ももに自分で注射を打つのは初めて。血糖値測定のため、毎日指に7回も針を刺しているのに、さらに打たなくてはいけない。しかも目の前に食事を用意しておき、注射を打ってすぐに食べなければならず……。注射の痛さとストレスで泣いてばかりでした。 退院後はさらに大変でした。自宅では病院でのような食事は無理ですし、インスリンを打つ時も一人だし、倒れたらどうしようと本当に不安でした。しかも、いくらインスリンを打っても血糖値は下がりません。 妊娠糖尿病の人は出産時に合併症を起こして死亡するケースもあります。赤ちゃんも母体と一緒にずっと高血糖状態なので、出産後に低血糖を起こして昏睡状態になったり、巨大児として生まれることがあります。最も怖いのが子宮内胎児死亡を引き起こすこと。そんな想像をするだけで怖くなるし、精神的にかなり追い詰められていました。 出産中も、血糖値を測りながらブドウ糖を点滴。途中、危険な状態を繰り返し意識がもうろうとするなかで女児が生まれました。待機していた小児科医、助産師たちから拍手喝采。感謝の気持ちとともに、それほど危ないお産だったんだと改めて実感しました。妊娠糖尿病の経験から生まれた「ロカロジ」その後、血糖値はすぐ正常になったため、ふつうの生活に戻りました。育児に必死だったので、食事に気を使う余裕もなく、体重は16㎏増えたままでした。 娘が2歳になった頃、もう一人子どもが欲しいと思うようになりました。医師に相談したところ、妊娠糖尿病になるのは必至とのこと。そのため、1人目の時の苦しみを二度と味わいたくないと一念発起。妊娠前から糖質のコントロールと毎食後の運動にチャレンジすることにしました。まさに自分を使った人体実験です(笑)。 私が母親として直感したことが、極端な糖質制限は妊婦には大きなリスクだということ。そのため適正な糖質量を摂るために毎日、食べたものと血糖値の数値を記録。そのうち血糖値が上がる食材、上がらない食材がわかってきたので血糖値を120以下に抑えるレシピを数多く作成。赤ちゃんのためには炭水化物もある程度摂取する必要があるため、上がった血糖値を下げるように食後2時間歩くことにしました。 それも続けた甲斐があり、妊娠後期からインスリン注射を打つと予告されていたのですが、インスリンは使わず入院もなく、38週で破水から3時間で息子を無事出産! こうした妊娠糖尿病と向き合う妊娠生活で育んだノウハウをもとに開発したのが「ロカロジ」。血糖値が急上昇しない食事法と運動法から成るメソッドです。ロカロジを広めることで妊娠する女性たちをサポートしたい私は現在、妊娠糖尿病の方へ向けたセミナー、料理教室、食品販売を行っています。妊娠前から知っておいてほしいのは、妊娠糖尿病はふだんの食生活で十分予防できる病気だということ。私自身、お腹の赤ちゃんにとって必要な栄養をバランスよく送ってあげること。そして自分自身が食事を楽しむことをやめたくない! と考え、自分ができる最大限のリスク回避法は何か? を考えて得られたのが「ロカロジ」です。 ぜひ妊娠前から自分に合った適正な糖質量を知り、ほどよい運動をして血糖値を安定させる「ロカロジ」を取り入れて、妊娠を楽しめる体づくりを心がけてほしいと思います。 金子 洋子 さん(一般社団法人ロカロジ協会代表理事) 尿病を発症。つらい闘病生活のなかで血糖値の上昇を穏やかにする独自のメソッドを開発。15年妊娠糖尿病の会を、16年7月には一般社団法人ロカロジ協会を発足。現代表理事。12月に(株)ロカロジラボ設立、代表取締役社長就任。出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.19
コラム 妊娠・出産
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俵史子先生の生殖周産期講座〜妊活中から始める母体管理〜
妊娠がゴールではなく、母子ともに元気で出産することが最終目標。 産科に移る妊娠12週まで診察する「生殖周産期外来」を新設した、 俵IVFクリニックの俵史子先生が今から知っておきたい妊娠初期のリスクや 母体管理の重要性についてレクチャーします。 Pick up ●生殖周産期外来って?俵IVFクリニックで新たに設けた外来。心拍や胎のうが確認できてからも、安定しない妊娠8~12週目の妊娠初期の管理を徹底するため、1週間に1回の診察で超音波検査や体重・血圧測定、生活習慣指導などを実施。 妊娠前や妊娠初期の管理で妊娠中や分娩時のリスクが低下2007年の開院以来、当院では妊娠率の向上はもとより、お母さんの健康や元気な赤ちゃんの誕生、その後の健やかな成長を見据えた安全な不妊治療を提供することに力を注いできました。 分娩を扱う医療機関に協力を依頼し、当院での生殖補助医療を経て妊娠された方の妊娠・分娩の予後調査を行い、不妊治療の経過や背景因子と妊娠中の異常や胎児の状態との関連に焦点を当てた観察も行っています。 およそ10年間の集積データから明らかになったことは、妊娠前または妊娠初期からの生活習慣の見直しや体質改善が、その後の妊娠経過や分娩における異常発生のリスク低下につながるということです。 不妊治療を受けて妊娠されるとそれが大きなゴールで、その後の出産は普通にできるはず、と思っている方が多いようです。 なかには「不妊治療をして胎児に異常は出ませんか?」など、漠然とリスクを感じている方もいますが、それは赤ちゃんについてのリスクが主で、妊娠経過や妊娠後の母体に生じる合併症に関して不安を抱いて質問をされる方はほとんどいません。不妊治療に関しての知識はたくさんおもちでも、妊娠後の母体や分娩時のリスクについてはまだまだ認識が低いのかもしれませんね。 これまでは妊娠7週や8週で当クリニックを卒業し、産科の施設への転院手続きをしていたのですが、その後に流産してしまう方もいました。施設を移ってしまうと、何が原因で流産してしまったのか、こちらではなかなか究明できないことがあります。不妊治療をしたことが影響しているのか、それとも不妊だったその人自体に何か問題があったのか、もしくは妊娠時の管理が良くなかったのか。現状では原因ははっきりわかっていないので、そこをもっと突き詰めて調べていきたいとずっと考えていました。 また、妊娠初期というのは胎盤が形成される大事な時期なのですが、そういった時期、もしくは妊娠前からしっかり生活習慣指導などをして母体を管理すれば、正常な胎盤の形成、ひいては赤ちゃんの予後の改善にもつながっていくのではないかと思っています。 妊娠という目的を遂げる、元気な赤ちゃんを産むというのは考えられていても、「安全な妊娠生活」と「安全な出産」というのは意外に抜けている部分なのではないでしょうか。産科のある施設にお送りするまでの間、しっかり診て抜けている部分をフォローし、データを蓄積していくことで今後の不妊治療にも役立てられるのではないかと考え、当院では「生殖周産期外来」という科を設け、周産期専門医が担当することになりました。 外来受診の対象となるのは当院での治療による妊娠が成立し、胎児心拍確認後から妊娠12週頃までの方。一般不妊治療で妊娠した方も受診できますが、やはり体外受精や顕微授精を受けた方が多く、現在は全体の半数くらいの方が受診されています。心拍確認後から妊娠12週まで体重や血圧などをしっかり管理診察の内容は超音波検査で初期の胎児の状態をチェックするほか、体重や血圧管理、生活習慣指導も重要な項目としています。体重過多の人は不妊になりやすいので妊娠前からも当院では厳しく指導していますが、それが妊娠したら終わりではなく、妊娠後も妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を防ぐために引き続き管理をしていきます。 また、血圧が高い、甲状腺異常や糖尿病などの疾患がある人は妊娠初期段階も適切なコントロールが必要です。明らかな異常がなくても、異常に近い数値の方たちも不妊治療の段階から管理して、妊娠後も観察していきます。 さらに最近、胎児の染色体異常を調べるNIPT(出生前診断)を希望する方が増えてきていますが、7週、8週だとそのようなお話も相談できずに転院して、よくわからないまま自己判断で検査を受けるという人も。当院では生殖周産期外来に通うことでゆっくり考える時間を設け、遺伝カウンセリング外来でも話を聞くことで、納得して検査を受けられるような形をとっています。 高齢で妊娠する方が増加している傾向がありますが、その分、どうしても妊娠中や出産時のリスクは上がってしまいます。 長期間不妊治療を受けてやっと妊娠となっても、それが最終ゴールではありません。1つステップを上がったら、今度は妊娠後、自分にどのようなリスクがあるのか、正確な情報を知ることが大切です。リスクがあったら、それを低減できるように自分の体をきちんと管理し、対応できるものに関しては適切な治療を続けていくことが必要です。 現在、当院の生殖周産期外来ではデータを蓄積しているところです。ある程度集まったら、まずそれを医療機関で情報共有し、将来的には患者さんにも勉強会という形で、妊娠前から知識をつけていただくことを目標にしています。 Point! 過体重、高血圧、甲状腺の異常や糖尿病などの疾患がある方のほか、年齢が高い方も妊娠中の母体や赤ちゃんへのリスクが高まります。自分にはどんなリスクが考えられるか、妊娠前から正しい知識を得ておきましょう。 先生から ・妊娠初期は胎盤が形成される大事な時期です ・過体重や血圧が高い人は妊娠前から、さらに妊娠後も気を緩めずにきちんと管理していくことが大切! 俵 史子 先生(俵IVFクリニック) 浜松医科大学医学部卒業。2004年愛知県の竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。2007年、俵IVFクリニックを開業。2015年静岡駅前に移転、リニューアルオープン。同院の「生殖周産期外来」は妊娠初期の方が通うので、不妊治療とは別のフロアに設ける配慮がされています。4週に1回の通常の妊婦健診と異なり、週1回赤ちゃんも超音波で確認できるので安心!≫ 俵IVFクリニック出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.19
コラム 不妊治療
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治療中のつらかった思い出を、封印していたのかも 子どもってなんでこんなにかわいいんだろう…。 夫婦だけの生活がずっと続くと思っていたけど、 欲しいと思った瞬間から、大変な治療が始まりました。
治療中のつらかった思い出を、封印していたのかも 子どもってなんでこんなにかわいいんだろう…。 夫婦だけの生活がずっと続くと思っていたけど、 欲しいと思った瞬間から、大変な治療が始まりました。夫婦二人、充実した生活。心境に変化が訪れたのは…あとわずかで2017年が終わろうとしている12月下旬。待ち合わせ場所で会ったAkiさん(44歳)と息子のSoくん(7歳)のほっこりとした雰囲気は、慌ただしい年末のひとときを癒してくれるよう。久しぶりのお天気で、ぽかぽか陽気。せっかくだからと海辺まで足をのばして治療や現在までのストーリーを聞かせてもらいました。 Akiさんが11歳年上のご主人と結婚したのは2001年。おいしい料理が大好きな二人は、県外までグルメ旅行に出かけるなど、結婚当初から充実した日々を過ごしていたそうです。 「主人はすでに自分の生活スタイルが完成していて、そこに私を入れてもらったっていう感じでした。特に子どもが欲しいとか、そういうわけでもなく、二人で仲良く暮らしていくことが当たり前のような気持ちに徐々になっていったような気がします」とAkiさんは振り返ります。 二人での生活を満喫していた日々のなかで、Akiさんの心境に変化が訪れたのは、姪っ子が誕生したこと。 「それがとてもかわいくて。子どもがいてもいいかな、楽しいかなっていう気持ちが芽生えたんです。ただ、年齢的なことを考えると、本気で子どもを望むなら時間はあまりないなって……」 ご主人に自分の気持ちを伝えてみると「意外にもすんなりと受け入れてくれて」自治体主催の不妊相談の窓口に出向いたAkiさん。担当してくれた大学病院のドクターに若干ぽっちゃり体型だと指摘され、まず1カ月間のダイエット入院に挑戦。この時、結婚から6年が経過していました。乗り切るために書き続けたダイエット入院の記録1日目「いよいよ」 今日から入院。残された夫よ、後をよろしく。お掃除頑張ってね。 6日目「うわー少なーい」 朝食をとろうとして、驚きました。2日目から1日摂取カロリーが1200kcalに設定されていたのですが、今日からは1000kcalに。 10日目「しみじみ体験中」 お腹すいてきたかも……。かといって、なにか食べたいってこともない。「食事も治療の一環と認識してるんですねー」と看護師さんは言うんだけど、そんなこともない。たぶん、いま、おもしろがってるんだと思う。私自身にどのような変化があるのか、興味あり。 26日目「2.5倍の幸せ」 今日は食事のたびに、ニヤニヤしっぱなし。朝は「食パンー!たまごの黄身だー!」と叫び、昼は「さしみー!」と叫び、夜は「からあげだー!」と叫ぶ。心の中でね。今日からしばらく1000kcal。米飯は倍の量になり、全体の摂取カロリーは2.5倍になりました。入院6日目に書いた1000kcalの印象と180度違うので、自分でも笑ってしまった。 28日目「ひまでした」 昨日より1.5 kgも増えてた。これが停滞期なんだな。食事では、久々に牛肉が出ました。大げさかもしれないけど、食べられる幸せを、しみじみ感じております。 33日目「ありがとうございました」 午後になり、夫が迎えに来てくれました。病衣を脱ぎ、いつもの服を着たんだけど、やっぱりあんまり変わってないです(^^;) 夕ご飯は夫が大分の郷土料理「りゅうきゅう」と「筑前煮」を作ってくれてました。ありがたいなあ。 〜Akiさん入院日記より抜粋。取材をきっかけに思い返す。私、実はつらかったんだな…マイナス5kgのダイエットを終えたAkiさんは、とにかく時間を有効に使うために最初から人工授精もしくは体外受精をしたいと担当のドクターに依頼。大学病院での治療は、第一に料金が安いというメリットがありましたが、最新の治療が受けられるプライベートクリニックとは違い、どうしても治療内容にもその差が出てしまいます。インターネットなどで常に最新の情報をチェックし、毎日の通院の大変さを訴えて自己注射を取り入れてもらうなど、自身の治療に対して積極的に向き合ったAkiさん。 「自己注射は、どこが一番痛くないかなって自分なりに研究したんです。お腹やお尻、ほかにもいろいろな場所に刺してみて、お腹が一番痛くないなってわかりました。針は太くも細くもないサイズがベスト。あまり細すぎると折れそうな気がするでしょ?」 「臨月で入院した時に健康サンダルを履いていたんですよね。そのツボ押しのあまりにもひどい痛みが陣痛よりも勝った瞬間は、自分のことながら苦笑でした」 当時のエピソードを笑顔であっけらかんと語ってくれたAkiさんですが、治療中のメンタルや体調など、実はとてもつらい状態だったようです。 「家族や友人に、ネタっぽく楽しく喋っていたんだけど、今思い返してみれば、起き上がれないほどの体のだるさがあり仕事にも行けなかったり、確実に早く結果が出る治療法でお願いしているつもりなのに生理がきて落ち込んだりもしていたなって……」 高度な治療を受ければ、すぐに子どもができるはず。最初の想像とは違い、なかなか結果が出ない日々。排卵誘発剤の副作用による倦怠感に悩まされながらも3カ月ごとにトライした人工授精は4回、5回と回数ばかりが増え続けるだけで着床してくれる様子はまったくありません。思いつめないようにしていたとはいっても、趣味の時間をつくる気力もなくなり、体は正直に不調を訴えてきます。頭の中も治療のことが大半を占めるようになって、治療の意味さえもわからなくなりかけたAkiさんは、半年間、治療をお休みすることに決めました。家族が増えたからこそ、夫婦の絆もより深まった体と心を整える充電期間を経て、これを最後にしようと決めた体外受精。半分は諦めかけていたAkiさんは、結果を聞きに行く時も自分なりに覚悟を決めて医師のもとへ出向きました。 「無事に妊娠できたと言われてもなかなか実感が湧かず、しばらくぼーっとしていました。主人への連絡も、大喜びするというよりもお互いが静かに噛み締めたという感じでしたね」とAkiさん。時間が経つにつれて、お腹の中に自分たちの子どもが宿っていること、そして順調に育っている幸せを感じるようになってきたそうですが、同時に妊娠中の体を絶不調が襲います。 排卵誘発剤の副作用よりもさらにひどい倦怠感、頭がぐるぐると回って起き上がることもできず、一日中布団から出られないことも多々ありました。さらに、40週を超えて、41週目に入って陣痛も消えてしまったため、急遽、帝王切開での出産を余儀なくされました。 それでも、無事に誕生してくれたSoくん。夫婦二人での充実した生活に満足していたはずなのに、今、三人になったからこそ何倍にも幸せに満ちたかけがえのない毎日をAkiさんとご主人は過ごしています。結婚後も続けていたグルメ旅行のパートナーが、お互いから家族へと変わり、時にはご主人とSoくんが男二人旅にも出かけているのだとか。 「Soを産んでから、夫婦の絆も深まったような気がします。私は40代なかばに差しかかってきたけど、まだまだ主人には女性として見てもらいたいと思うようになったし、そのための努力を自分でもするようになったかな!」 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.19
コラム 不妊治療
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「子どもがいると楽しいだろうな」と考えるも積極的になれず… タイミング法で妊娠すると思っていたけれど、 夫の精子の数が少ないことが判明。 治療への興味もあって顕微授精へ。
妊活説明会に参加したものの、まだ他人事だった二人。 最初はそれほど子どもを望んでいなかったマミさんが 歩んできた不妊治療の道のりです。子どもが欲しい主人と今じゃないと思う私の葛藤取材に応じてくれたのは、少しお腹のふくらみを感じるくらいの妊娠中期に入ったというマミさん。 ご主人との出会いは恋活パーティで、いわゆる婚活イベント。出会って2週間でつきあいはじめ、その月にはプロポーズされたそう。この時子どもがあまり好きではなかったというマミさんでしたが、「この人と子どもがいる生活ができたら楽しいだろうな」と直感し、理想の家族像が浮かんだのだとか。 とはいえ、結婚後もあまり子づくりに積極的ではなく、「主人は兄弟も多く、子ども好きで、早く欲しがっていました。でも私は二人の時間も楽しみたいし、いずれ…くらいにしか思っていなかったんです」。 そんなふうになんとなく子づくりに対して、のらりくらりとやり過ごしていたのですが、結婚して1年2カ月くらい経った頃、ご主人に「家族というのは子どもがいて、子育てをして成長していくものだと思う。子どもがいなかったら結婚している意味がないよ」と言われたそうです。マミさんは「結婚ってそれだけじゃない…」と意見が合わず喧嘩。 「主人に“働く意味が見いだせない、子どもがいることで仕事も頑張れる”と言われて、もう何も言えなくなりました」とマミさん。“子どもがいたら楽しいのだろうな”と自己暗示をしながら葛藤する日々が続きました。 「私は二人のままでも幸せだと思っていたのですが、主人がかわいそうというか…子づくりへの転機でしたね」 子づくりを決断すると、ご主人から“子どもができたらなかなか旅行にも行けなくなるから、今のうちに行っておこう”と提案が。ディズニーランドが大好きなマミさんを、本場アメリカまで連れていってくれたのです。「本音をいうと、あ~、もうこれで逃げられないなって思いましたね」と苦笑するマミさん。自然妊娠を望むも…思うようにいかず悩む日々これまでにも冷えの予防のために、鍼灸院に通っていたマミさん。妊娠にいいといわれるツボを聞き、自宅でお灸をすることも。本格的に妊活に取り組むべく、スマートフォンのアプリを活用して、妊娠しやすい時期を予測し、タイミング法での自然妊娠を期待していました。 「すぐ妊娠すると思っていたのに、毎月生理がきてしまって…。そのたびになんだか悲しくて。私が心の底で妊娠しないことを望んでいるから、なかなか妊娠しないのかもと疑心暗鬼になっていました」 30歳を目前に控えていることもあり、不妊外来を受診してみようかと意識してはいるものの、まだ自分はそこまでしなくても…と悩んでいた時に、県が主催している妊活を応援するプロジェクトで説明会をやっているのを知り、ご夫婦で参加しました。 「説明会で初めて、体外受精や顕微授精という治療法があること、治療や検査に対して県の助成金があることを知りました。ただ、その説明を聞いて、なんとなくタイミング法以外は人工的な感じがしたので、タイミング法でできなければ赤ちゃんは諦めようと、二人で話しました」夫婦二人で検査を受け、顕微授精への決断通っていたスポーツジムで先輩女性たちからのアドバイスや、インターネットでも調べて、近くて通院しやすい不妊治療クリニックへ通うことに。「受診する前に説明会に参加するのですが、びっくりしたことにそれが2カ月待ちだったのです。こんなに治療したい人がいるということに驚きました」とマミさん。 説明会後、2回目の受診時にはフーナーテストとAMHの検査。AMHの値が40代という結果にショックを受けつつも、すぐさま精液検査も受けると、精子が少ないことが判明。その検査結果を受けて医師から「顕微授精でしか赤ちゃんは授からないよ」と伝えられました。 「主人はショックだったようですが、もともとタイミング法以外は治療をしないと考えていたので、もう治療は終了かなって思いました」 クリニックの先生からは、顕微授精へのステップアップを促されたそうですが、検査結果を受けて二人で再度話し合うことに。 「主人は子どもが欲しいという気持ちがあったので、『治療は継続してほしい。また顕微授精は高度な医療なので、興味がありやってみたいと思う』と言われました」 さまざまな妊活ブログに、“治療はつらい”と書かれているのを見て“本当につらいの?”という怖いもの見たさもあり、また「事前に費用が40~60万円くらいと聞いていたので、これくらいならチャレンジしてもいいかな」と治療を進めることに。 麻酔が効いていてマミさんは覚えていなかったそうですが、採卵時に過呼吸のようになり、恐怖でかなり叫んでいたと、看護師さんたちに後から聞いたそう。 卵子は17個採卵でき、9個受精しました。 「ここで初めて知ったのですが、採卵した分だけ費用がかさむのです。たくさん採卵できたことをまずは喜びつつも、正直大変だなって思いました」 顕微授精という人工的な治療に抵抗はあったものの、受精したと医師から聞いた時は“子どもを授かるって奇跡なのだ”と改めて感動したというマミさん。その後、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)でお腹が張ったり、情緒不安定でご主人と喧嘩することもあったそうです。さまざまな不安を抱え、カウンセリングを活用「一般的に妊活をされる方と比べ、私はそこまで赤ちゃんが欲しいと思っていなかったこともあり、不安な気持ちもあまり人に話せなかった」というマミさん。そんな気持ちを癒してくれたのがクリニック内のカウンセリングでした。感情を素直にぶつけることができて、気持ちを落ち着けることができたのだそうです。 「この時点でこれまでの検査や治療費を一括請求されたのですが、当初言われていた費用の上限を超えていました。これから移植するのに…どれだけかかるんだろうって不安にはなりましたね」 それからまた気持ちの浮き沈みもあり、カウンセラーに「もう流れに任せるしかないね」と背中を押してもらったこともあり、治療を継続。体調を見ながら時期を見計らい、グレードの一番良い卵をお腹に戻しました。 一度で妊娠したことが判明した時は冷静に受け止めつつも、自然と顔がほころび笑顔になったというマミさん。その時の気持ちをあらためて伺うと、「1回で成功したことに驚いて、なんだかふわふわした気分でした。口元が緩み、主人に妊娠を伝えるメールを打つ手が震えていたのを覚えています」。 妊娠初期は眠気やお腹の痛みのようなハリで体調があまり思わしくなかったそうですが、現在は気持ちも落ち着いてきて食欲もモリモリ。「赤ちゃんに本の読み聞かせでもしようかな」と思ったり、「お風呂で“気持ちいいね”ってお腹に話しかけている自分がいます」と少しはにかみながら話すマミさん。 「これからどんな日々が待っているかわかりませんが、今は身を任せようと思います」 また、「悩むなら、できるだけ早く夫婦で検査をしてほしいですね」と取材を締めくくってくれました。自分の妊活を記録に留めておこうと、「妊活まんが」を記していました。夫婦の心情や治療内容が一目でわかるイラストが描かれています。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.19
コラム 不妊治療
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着床不全の診断や子宮外妊娠を乗り越えて 「納得いくまでほかを探そう」 あの日の夫の言葉がなかったら この子は、ここにいなかった—。
はじめは「病院に行ってまで子どもが必要かな?」と 不妊治療に乗り気でなかったご主人。 けれども徐々に、同じ方向に、同じ歩調で歩き始め 4年をかけて待望の我が子を授かった夫婦のストーリーです。当初の気がかりはご主人との気持ちの温度差結婚後、子どもが欲しいなと考え出してから2年ほどしても妊娠に至らなかったというクミコさん(仮名)。ちょっと診てもらおうかな? と、まずは近所の総合病院の婦人科へ足を運んだそうです。多忙な専門職だったことから時間のやりくりが難しく、一通りの検査を受け終わった時点ですでに半年が経過。ようやく、卵管が両方とも詰まりぎみであるため、自然妊娠は難しい状況であることがわかりました。 結果を受けてクミコさんはご主人に「専門の病院に通ったほうがいいのかな」と相談。ですが返ってきたのは「そこまでしなくてもいいんじゃない? 無理してまで頑張る必要はないよ」というのんびりとした返事でした。そしてそのまま1年ほどが経過。「このままじゃいつまでも子どもができない」と一念発起したクミコさんは、夫婦を対象とした不妊治療の説明会にご主人を誘ってみました。 説明会をきっかけにご主人も検査を受けてみたところ、精子の状態が良くないことが判明。自分にも原因があるということにショックを受けた様子のご主人でしたが、それでも積極的に治療をしようという気持ちには至りませんでした。 「私は気になってネットで調べたりしていたので、主人とは知識の量も、焦燥感も段違いでした。当初は、夫婦間のそうした認識の隔たりが課題でしたね」私は普通じゃないんだ…4年間で一番つらかった日そのまま説明会を主催したクリニックに通い始めたクミコさん。まず、卵管の癒着を剥がす手術を受けました。 「夫婦ともに子どもができにくい体質なので、手術しても自然妊娠は難しいだろうという説明は受けていました。それを承知であえて受けようと決めたのは、入院・手術という一大事を通して、主人の気持ちをもっと動かしたいという思いからでした」 クミコさんの期待通り、ご主人の心境は徐々に変わり、少しずつ協力的になっていったそうです。 次の段階では、精子の状態から判断して人工授精ではなく一気に体外受精を試みることになりました。一度目の移植の結果は化学流産、二度目は子宮外妊娠。子宮外妊娠はクリニックが休みになる年末年始の時期と重なったこともあり、クミコさんはいっそう不安でつらい時間を過ごさねばなりませんでした。そして三度目に卵を戻した際には、着床も見られないという結果に。「着床不全」という診断が下り、先が見えない思いに心がしぼみました。 ですが唯一の救いは、つらい経験を通してご主人の気持ちがしっかりとクミコさんに追いついてきたこと。この頃には二人は同じ熱量で、積極的に不妊治療に向かい合うようになっていたそうです。 そしてクミコさんが一人でクリニックを訪れたある日、今後の方針を話し合うなかで、いったん子宮を休ませるためのホルモン剤の服用を提案されます。服用する期間は未定との説明でした。とはいえ一般的にはどのくらいの期間が必要となるのか、目安が知りたかったクミコさんは「普通はどのくらい飲み続けるものなんですか?」と尋ねました。その問いに対して、医師は「普通は、もうすでに妊娠して、うちの病院から卒業してるんですよ」と…。 もしかしたら、叱咤激励のつもりで、あえて答えになっていない厳しい言葉を投げかけたのかもしれません。けれどその答えにクミコさんは「私は普通じゃないんだ」と頭が真っ白になり、言葉も出ないほどの大きな衝撃を受けました。 その夜、ご主人に病院でのことを報告すると、ご主人は「クミコは今の病院のやり方では納得できないんじゃない? 納得できるところに出会うまで、二人でほかの病院も回ろうよ」と背中を押してくれたそう。そうして夫妻は、より自分たちに合うクリニック探しを始めたのです。ターニングポイントは納得できる医師との出会いいくつかほかの不妊治療専門のクリニックに当たってみたなかで、二人が転院を決めたのは「古賀文敏ウイメンズクリニック」でした。決め手は、あまり期待せずに送った質問メールに、古賀先生自身から真摯な返事が送られてきたこと。それに、転院枠があり最短の2カ月待ちで受診することができたこと、の二点です。 実際に会った古賀先生に、前の病院で着床不全といわれましたが…と相談すると、「僕はそうは思わない。妊娠する可能性は十分にあると思います!」と、励ましてくれました。 よし、頑張ろうという気持ちで迎えた転院後初の移植では、胎嚢が見えたものの流産に。クミコさんは、その時にクリニックの看護師が一緒に涙を流して悲しんでくれたことを、ありがたく思い出します。「もし古賀先生のところでもうまくいかなかったら、その時は納得して不妊治療を諦められるな」という心境にまで至ったそうです。 そして、次の移植にチャレンジ。またうまくいかないかも…という心配を打ち明けると、古賀先生は「もう一度同じ治療をする意味は十分にあると思うよ」と、請けあってくれました。心穏やかに挑めたそのタイミングで、二人は、元気な赤ちゃんを授かることができたのです。今振り返ってみると、悪いことだけじゃなかったこうして、望んでいた形で不妊治療を終えたクミコさん。思い返すと、お仕事と治療とを両立した日々は過酷なものだったそうです。 「急に次の日また病院に行かなければならなくなって、詰め込んでいた予定を調整しなければいけなくなることもたびたび。お腹が痛くて冷や汗をかきながら仕事に行ったこともあります」 ですが仕事のスケジュールを優先していたら、不妊治療は停滞してしまいます。 「途中から割り切って、優先順位を変えるようにしました。直属の上司が理解のある方だったことに、ずいぶん助けられました」 そしてやはり、治療をしながらも仕事を続けてきて良かったという気持ちがあるそうです。 「不妊治療だけに専念していたら、私の場合抱え込みすぎてもっとつらい思いをしたと思います」 不妊治療の大変さは、経験した人でないとわからないもの。ですが、自分にとって悪いことだけではなかったとクミコさんは振り返ります。 「自分が体験した分、誰しもそれぞれにつらいことがあると思いを巡らすことができるようになりました。私なりに、不妊治療を頑張っている後輩の相談に乗ることができるのも、いいことなのかなと。 不妊治療の最中には、なんで自分だけ…と塞ぎ込むこともあると思います。周囲の声にショックを受けることも多かったり。私もそうでした。でも、一人ぼっちじゃないです!たくさんの方が頑張っています。それに、不妊治療専門のクリニックは、方針もやり方もそれぞれ。一つのクリニックで無理だったからと諦めず、相性のいい先生を探してみることをおすすめします」 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.19
コラム 不妊治療
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【ジネコ厳選】今人気!のインスタグラマー、ブロガーさん紹介
妊活中の人も多く利用していると思うInstagramやブログ。人気が高く注目したい方を紹介しています。
2018.2.17
まとめ 女性の健康
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【先生監修】独自視点の冷え対策を伺いました
そろそろ寒さもひと段落?まだまだ油断はできません。今回は、婦人科の先生に独自の視線で冷え対策を伺いました。
2018.2.16
まとめ 女性の健康
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大きく3タイプに分かれる冷え症。 治療アプローチもそれぞれ
大きく3タイプに分かれる冷え症。 治療アプローチもそれぞれほとんどの女性の悩みの種といっても過言ではない「冷え症」。この冷え症が不妊の原因になること、ご存知ですか? 多くの女性が冷え症だからと、安易に考えてはいけません。とはいっても、冷え症には具体的に「平熱の何度から」といった基準はないのです。ですから、本人が生活するうえで、冷えによってストレスを感じるかどうかで決まるのですが、不快感などの自覚症状がない人もいます。つまり、冷え症になっていても何の治療も対策もしていないケースも多々あるのです。 現代成人女性の7割が抱えているともいわれる冷え症。妊娠しやすい人と妊娠しにくい人を比べたとき、妊娠しにくい人が冷え症であるという共通点も、7割という数字を聞けばうなずける話です。 冷え症は東洋医学独特の概念で、西洋医学にはないものです。さらに冷え症には3つのタイプがあり、そのタイプによって治療のアプローチも異なってきます。 その3つのタイプは以下のとおりです。 ①.体力が落ちて自ら体を温める力がなくなっている。 ②.ストレスや緊張などから常時体に力がはいって、血流や気の流れが悪くなっている、気滞(きたい)・瘀血(おけつ)タイプ。 ③.①と②の混合タイプ。 20代、30代前半の女性の冷え症には②の気滞・瘀血タイプが多いのですが、アラフォー女性になってくると③の混合タイプが増えてきます。20、30代からの気滞・瘀血に加えて、加齢による体力の減少から③のタイプになってしまうのです。 不妊治療の場合、子宮、卵巣を中心に治療をしますが、冷え症を改善することも肝要なので、全身の血流をよくして、年齢相応の健康体に近づけていく治療も並行して行います。 冷え症の人は生活養生も大切になってきます。冷たい飲み物、食べ物はますます体をひやしますからNGです。また、意識的に歩くことを積極的にしてほしいのです。下半身を動かすと体の気の巡りが良くなります。特に地方にお住いの方は、車生活が当たり前になっていますが、車で5分の場所なら歩く習慣を身につけましょう。 パクス・テルレーナ治療室 副院長 湯浅 佳子先生東京衛生学園専門学校東洋医療総合学科卒業。在宅医療研修、アロママッサージサロンなどで臨床経験を積み、 パクス・テルレーナ治療室を開院。鍼灸専門、女性・小児専門の治療院として子どもから大人まで様々な症例の臨床に取り組む。 <外部サイト>店舗で相談してみる→ パクス・テルレーナ治療室 http://pax-terrena.com/
2018.2.16
コラム 不妊治療
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妊活に東洋医学を取り込む
「私って妊娠しづらい体質なのかしら?」と気になりだしたとき「自然界の動物や植物からできている薬だから身体に優しそう」と、漢方薬での体質改善を考えたことはありませんか? 漢方薬はとても奥が深い薬なんです。漢方薬は東洋医学に基づいて作られている薬です。より効果的に東洋医学で妊活するために、ちょっとだけ、東洋医学について知識を深めてみませんか?東洋医学と西洋医学の違いを知っておくまず、東洋医学と西洋医学。あなたはその違いがわかりますか?どちらが優れているということではありません。そもそも医学の成り立ちが異なるし、病気へのアプローチも違いますから‥‥。 西洋医学は解剖学や生理学といった、科学的に人の体を捉えるのが特徴。身体の細胞レベルまで細かく診て、検査データを重要視し、その結果をもとに治療します。だから、検査に現れない不調は病気ではないとなります。急性疾患、検査でわかる疾患、外科手術などで、体に不要なものを取り除くなどが西洋医学の得意なこと。 一方、東洋医学は人の体は全身が関連していると考えます。その病気がその部分だけの問題なのか、身体全体のバランスの乱れが原因か、さらに生まれ育った環境や季節までも含め、さまざまな視点から病気を追求していきます。病院の検査では異常が現れない〝不定愁訴〟についても、自己治癒力を高めることで改善できるという考えが基本。 つまり病名じゃなくて、体質と症状を組み合わせて治療するんです。得意なのは、慢性疾患、不定愁訴、虚弱体質、ホルモンの失調、免疫の異常、老化現象など、どれも西洋医学では原因がわからないようなものです。 東洋医学は自然のものに目を向けますから、和漢薬、温灸、マッサージ、鍼、アロマなどで治療を行います。 成分を調べるとかではなく、体全体のエネルギー(気・血・津)がスムーズにうまく流れていくのかを調べます。全身によく回っていれば健康だし、滞ると体調不良になると考えます。 ですから、その人、その人の状態に合わせた、オーダーメイドの治療を行うのです。西洋医学に東洋医学を取り入れるのが世界的傾向東洋医学と西洋医学は相容れないように思えますが、最近は併用することでより効果的な不妊治療が行えることがわかってきています。 例えば、オレゴン・カレッジの和漢薬治験審査委員会は、不妊治療と合わせて東洋医学(生薬や漢方、鍼治療など)によるアジュバント療法(補完療法)を行ったところ、体外受精における受精卵移植の成功率を高めたと発表しています。 さらにノースウェスト・センターは、不妊治療と合わせて東洋医学療法を受けた不妊治療患者の体外受精における出生率は85.7%だったのに対して、不妊治療のみを受けた患者の体外受精における出生率は62.5%だったと報告しています(調査対象は患者自身の卵子、提供卵子による体外受精で、凍結卵子による体外受精は除かれています)。 このように体外受精と合わせて東洋医学療法を施すことで、体外受精の成功率は高まることが立証され、世界的に東洋医学を取り入れる傾向になってきているといっても過言ではないでしょう。 東洋医学の不妊治療は健康保険がきかないので自費となります。若いご夫婦が妊活するのは経済的な面でストレスになることもあります。そのときは可能な範囲で治療をおこなえばいいのです。 妊活はストレスとの戦いともいえます。赤ちゃんを望むなら、どのような生活にしたらいいのか、それを考えて日常を見直すだけで薬になるのです。そして妊活期間を6か月から8カ月とはっきり期限を決めると、ストレスは軽減されます。 無理をせず、できることから始めていきましょう。 橋本 幸恵 先生 名城大学薬学部卒業 薬剤師漢方療法推進会会員、子宝カウンセラーの会認定会員、細胞免疫研究会会員、日本制ガン研究会会員、瀬戸内むびょう研究会会員、健康科学協会会員、動物生薬研究会会、 アーユルヴェーダ国際普及協会美容痩身研究会会員。 橋本漢方相談堂では、橋本薬局として香川県高松市、讃岐の国の一宮に昭和48年に開局してから40年、相談件数は3000件を超えました。40年の経験を活かし、お役にたちたいと願っています。 ≫ 橋本薬局
2018.2.15
コラム 不妊治療
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男性不妊ってなに? その症状とは
不妊原因は男性側にあることも多いと言われています。「男性不妊」とは医学的にはどんな状態なのかご紹介します。
2018.2.15
まとめ 不妊治療
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妊娠にまつわる“言い伝え”、信じる?信じない?
世の中には妊娠や出産にまつわる噂やジンクスがたくさん存在します。「どうせ迷信に過ぎない」と思ってはいても、妊活・妊娠中はなにかと不安が多いため、こういった“言い伝え”とどのように付き合っていくべきか、宮川医院の宮川智幸先生に伺いました。
2018.2.14
インタビュー 妊娠・出産
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<3/3>不妊治療の基礎知識デビュー編★噂のウソ・ホント
妊活や妊娠出産についての噂やジンクスには「それホント?」というものも。ドクターの解説で、真実を知りましょう!
2018.2.13
まとめ 不妊治療
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もうすぐバレンタインデー。ご主人に渡す?義父には?
バレンタインデーと言って盛り上がったのも今や昔。ご主人に渡す?義父には?むしろありがた迷惑?
2018.2.10
まとめ 女性の健康
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アスピリンの服用期間について
ELLEさん(43歳)43歳、体外受精で初めての妊娠11週です。血液検査で抗リン脂質交代症候群でループスアンチコアグラントが引っかかり、ヘパリン注射とアスピリン81gを処方されていましたが、11週の検診ですべてストップしていいと言われました。しかし何もしなくて本当に大丈夫なのか不安になり、ドクターに伝えたところ、「希望するならアスピリン飲んでもいいよ。34週までなら大丈夫だから」とおっしゃいます。私としては、「どっちでもいいよ」と言われるとどっちがいいのかわからないので不安です。飲むのと中止するのとどちらがよいのでしょうか。 奥 裕嗣 先生 (レディースクリニック北浜) 私共は患者様一人ひとりとの出逢いを大切に、 徹底したインフォームド・コンセントを理想に掲げ、 スタッフ一同、すべての患者様に赤ちゃんのご縁がありますよう 切に願いながら、日々生殖医療に全力で取り組んでおります。 当院では最先端の生殖医療技術をご利用いただくとともに、 永く愛されるオリジナルの漢方療法もお受けいただけます。 また患者様の心理的なご負担にたいして優しいサポートが 出来るように、心理カウンセリングを備えました。 多様化する患者様の生活条件に合わせて、便利で快適に、 高度で確かな不妊治療を安心して受けていただけるように、ここ 「ザ・北浜プラザ」の医療モールにて開院することとなりました。 どうぞお気軽に、ご安心なさって、まずは扉をたたいてみてください。 ■略歴 1987年 愛知医科大学卒業 愛知医科大学産婦人科学教室入局 1988年 愛知医科大学大学院入学 女性ホルモンの動脈硬化抑制についての研究を行う。 (更年期障害の基礎的研究) 1992年 同大学院卒業 エラジン酸の抗酸化作用 (アンチエージング作用)の研究にて博士号修得 総合大雄会病院勤務 1995年 蒲郡市民病院勤務 1998年 アメリカ合衆国に留学 Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて、体外受精、顕微授精等 最先端の生殖医療技術を3年間研修 2001年 IVF大阪クリニック勤務 2004年 IVFなんばクリニック勤務 2005年より副院長として勤務 2010年 レディースクリニック北浜開設 ≫ レディースクリニック北浜 抗リン脂質抗体症候群は、おもに血栓症や不育症を引き起こす自己免疫疾患で、不育症検査の一つである着床不全検査でわかります。原因についてははっきりとわかっていませんが、遺伝や環境因子など複数の要因が重なり合っていると考えられています。 抗リン脂質抗体は、ループスアンチコアグラントや抗カルジオリピン抗体(IgG・IgM)など複数の抗体からなり、これらの物質が増えることで血液の循環が悪くなったり、血管が詰まって血栓ができやすくなります。そのため、妊娠後の流産・死産や妊娠高血圧症、胎盤早期剥離などのリスクが高くなるとされています。 抗リン脂質抗体症候群の治療には、血液の循環を良くし、血栓をつくりにくくする、低用量のアスピリンやヘパリンを用います。投与期間については、一般的にアスピリンは28週までとされています。また、ヘパリンは最低でも36週投与します。半減期(お薬が作用する時間の目安)が12時間とされているため、当院では分娩の前日まですすめています。また、アスピリンとヘパリンは、それぞれ単独で使うよりも両方併用するほうが、正常な赤ちゃんを出産できる確率が高いといわれています。併用する場合は28週まで投与します。 不育症検査(着床不全検査)では、抗リン脂質抗体症候群のほかに、プロテインS欠乏症が10〜20%の確率で見つかることがあります。そのような場合、妊娠中期以降の胎児死亡のリスクが高くなり、アスピリン+ヘパリンの併用を長期間おこなうことが有効とされています。ただ、ヘパリンの投与期間については、先生によって意見がわかれるところですので、最終的な判断は産科の先生におまかせしています。アスピリンは28週まで服用しても問題ないでしょう。
2018.2.8
専門医Q&A 女性の健康
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皆さんの秋冬の冷え対策とは?
ジネコメルマガでは月1アンケートを実施中!今回のテーマは「あなたの秋冬の冷え対策教えてください!」
2018.2.8
まとめ 女性の健康
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旦那への仕返し、不妊治療とお金など。【1月の人気まとめベスト5】
2018年1月の10本のジネコまとめで、アクセス数の多かった記事をご紹介します。皆さんが一番気になったまとめは?
2018.2.7
まとめ 女性の健康
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健康管理★頑張りすぎずに健康管理 、女性の活躍とかかりつけ医
精一杯真面目にやっているから 疲れていることに気づけない 職場でも家庭でもフレキシブルに働く女性は、一見、颯爽としてパワフルに見え日々充実しているようですが、じつは心も身体もかなり疲れきっている。 診察室ではそんな姿が垣間見えます。 彼女たちは、自分や周囲の期待にこたえるため、真面目に一生懸命、それも無意識に頑張っているからなのです。 今の働く女性の多くは、十分な休息をとれないまま必死に走り続けている状態です。 仕事の面白さややりがい、プレッシャーをかかえながら頑張り、つい身体のことを後回しにしがちです。 また、特に40代以降の女性は、幼少期に「良妻賢母」の教育を受けてきた世代なので、何事も一人で頑張ってしまいがちです。 体調が悪くてもつい無理して仕事をこなしてしまったり、不調を我慢しなくてはと育てられてきた世代だからです。 疲れの原因は何にせよ、ちょっとの不調が積み重なると、身体はいつしか悲鳴を上げてしまいます。 心にも余裕がなくなり、気づいた時には、先の見えない暗闇を歩いているようなつらい精神状態に陥ってしまいます。自分を知って、心と身体の健康をコントロールするには人は、精神と身体両方のバランスがうまくいかないと健康ではいられません。 だからこそ、自分で心身をコントロールする力を身につけるために、自分を知ることが大切です。 これからの女性に必要なのは、ヘルスチェックを含めて自分を知ること、そしてその結果を通じて心身の自己管理がきちんとできるかどうかということです。 体の声を聞いて、小さな不調を無視せず気づいてあげる。 不調を感じたら周囲に遠慮しすぎず、しっかり休息をとり、気分転換もする。 不調をおして頑張りすぎないことで、大きな不調を避けられます。また、決定的な病気になった時に病院に行くだけではなく、不調を感じたタイミングでかかりつけの医師に相談できる関係があるといいでしょう。 日々を充実させ、人生を楽しく過ごすためには、医師の力を借りて自分の状態を知り、自分で良い方向に向けていくアクションが必要です。 自治体のがん検診を受けるのも、今の自分の体を知る方法の一つでしょう。 今、女性は社会で働くのがごく普通の時代です。忙しく働きながら、プライベートでも重要なことを決断し、ベストな道を選択していくわけですが、常に大きなエネルギーが要り、決して楽な道ではありません。 だからこそ、日頃から自分のことをよく知って、専門家を含めて、自分の心身について第3者の意見を仰げる人間関係を築いておくことが大切です。大切なのは、「医師を活用する」 という遠慮のない気持ちそこで、活用して欲しいのが女性のためのクリニックです。 産婦人科は女性の生涯の健康にかかわる分野です。 健康にまつわる常識が目まぐるしく変化する時代、忙しく働く女性が健やかに過ごすには、かかりつけのクリニックを持ち、医師を上手に活用するのが秘訣でしょう。 そして「先生にすべてお任せ」という依存した気持ちではなく、自分の状況に応じて、必要なアドバイスを医師に求めてみては。 医師を活用しながら冷静に自分の生活を見直し、柔軟性をもって自分の人生を組みたててはどうでしょう。 これからは、女性が真にいきいきと活躍するためにかかりつけの女性クリニックをもって、自分の心身をコントロールするという時代なのかもしれません。 海老根真由美(白金高輪海老根ウィメンズクリニック) 埼玉医科大学医学部卒。埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センターで講師および病棟医長として、緊急性の高い母体救急を専門とし、助産師や臨床心理士と共に妊娠中から産後のメンタルケアに携わり、平成25年白金高輪海老根ウィメンズクリニック開業。自身の仕事、結婚、妊娠、出産、子育ての経験を生かし、一人ひとりの女性のライフスタイルに合った医療を提供。周産期カウンセリングや産前・産後の母親学級・両親学級にも力を入れる。管理栄養士を4名抱え、充実した栄養指導も実施。現在、順天堂大学付属順天堂医院産婦人科教室の非常勤講師として産後メンタルケアの専門外来も行っている。 ≫ 白金高輪海老根ウィメンズクリニック
2018.2.7
インタビュー 女性の健康
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ジネコショップスタッフが 見つけた気になるニュース 2018年1月
ジネコショップでは、スタッフが見つけた気になるニュースを紹介しています。2018年1月に見つけた、気になるニュースです。
2018.2.6
まとめ 女性の健康
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「鬼」はお姑さん?ご主人?それとも自分?
2月3日は節分。皆さんの周りの鬼は誰ですか?お姑さん?ご主人?それとも自分?
2018.2.3
まとめ 女性の健康